戻ってきたリング
結婚した時は、エンゲージリングも、結婚指輪もなく、宝石とは縁がなかった。そういうものより欲しいものがあった。私が選ぶ「今」という自由が。
祝福より圧倒的に心配と反対の嵐の中に、こんなに強い自分がいるんだと自覚させられた結婚。カタチより、ホンモノが欲しかった。しかも私が感じるホンモノを。
結果的に夫婦というカタチになり、息子が生まれて家族というカタチになっていった。息子が生まれて、私は自分のために小さなダイヤを買った。0.03ctの小さなダイヤのついたリング。私がお母さんになった決意から出産までの全ての想いをこめて買ったリングは当時5万円くらいだったと思う。
その後、カウンセラーとして起業し、私なりにカタチになったと感じた時に、ダイヤを(0.3ct)を買った。ダウジングをして選んでもらったその石は、スロートチャクラに対応するダイヤらしく、「声を使う職業の方ですか?アナウンサーとか、講師とか」と、質問されたことを思い出す。
私の指に2本のダイヤのリングをしていたのだが、ある時、1本にして欲しくて、リフォームして以来、ずっと愛用していた。
一昨年、三男の結婚にあたって、お嫁さんに私の0.3ctのダイヤを結婚指輪にしてもらった。まさか義母のダイヤなんて要らないだろうと思っていたのだが、喜んで受け取ってくれるというから喜んで差し上げた次第。
それ以来、小さなダイヤ(0.03ct)はルースで持っていて、いつか何かの石に合わせてつけようと思っていた。一番思い入れのある石。
その石が、2年ぶりに私のリングとして戻ってきた。メインのダイヤは、夫からの0.77ctのグリーンイエローダイヤ。そこに大切なファーストダイヤがいてくれて、やっぱり安心感がある。
宝石の面白さは、やはり人生の分岐点での自分の想いと切り離せないこと。その出会いは、結婚や大きな出来事のように運命的なものを感じるのだ。
多くの人が宝石と縁が生まれる結婚するときに、その時の私には縁がなかった。でも節目節目で出会ってきて、そして、宝石と太い縁が繋がったのは東日本大震災の直後という、まさに運命的だった。それは、自分自身との調和や人生の舵取りに大きな安心感を与えてくれるように思う。だからこそ、人生という冒険に向かうことができるのだと感じている。まさに人との出会いと同じものを感じるのだ。
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