「改めての全員集合」
高台を後にした僕は、無心で皆んなが住む一軒家へと黙々と歩く。
さっきまでは長く感じていた一軒家までの道のりもあっという間に過ぎ、気付けば僕は一軒家の前に立っていた。
中へ入ろうとしたと同時に、外へゴミ出しに出て来た峰尾さんと鉢合わせをする。
「あら、おかえりなさい。早かったのね!ご飯の準備が出来てるから、皆んなと食べましょ!」
「あ、はい。有難うございます。」
僕は明るく話しかけてくれた峰尾さんに対して何故か申し訳無さを感じ、少し俯き一軒家へ逃げる様に入った。
入ってすぐのリビングに皆んなが集まり、ダイニングキッチンから料理を手分けして運んでいる。
単体でお会いしていたから気付かなかったが、揃ったら揃ったで沢山に感じた。
ダイニングキッチンからリビングへ料理を運び終え、リビングの中心にある少し古びた大きな木製のテーブルに並ぶ様々な料理。
それを囲む様々な顔ぶれの人達。
そして少し経った頃、神様と岡田が帰って来た。
岡田は僕の右斜め前に。
神様は僕の左隣りに座り、蓄えた白い髭を触りながら口を開く。
「皆んなにはもう紹介しに回って改めてのお話しになるのじゃが、今日こちらの佐藤くんが新しい住人の一人になる。今後も今と変わらず皆んなで仲良く暮らしておくれ。…佐藤くんから一言お願い出来るかい?」
「あ、はい。…正直、まだこの状況に混乱してますが、早く慣れる様に努めます。皆さん、宜しくお願いします。」
挨拶が終わり、神様からの乾杯の合図で一斉に皆んなが峰尾さんが作ってくれた料理に箸を伸ばす。
沢山あった料理も三十分程で綺麗に無くなり、僕は片付けをしていた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。僕らも手伝おうか?」
海幸くんと山幸くんが、僕を二人で挟んで見上げてそう尋ねて来てくれた。
「有難うね。でも大丈夫よ。僕の為に開いてくれた会だから、僕が片付けるから。気持ちだけ受け取っておくね。」
そう言うと二人は何も言わずに顔を見合わせて、どこかへ走り去って行った。
二人を目で追うと同時に、ただ一人でリビングのテーブルに座る岡田と目が合った。