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ATRACK株式会社が倒産しました――社長のリアルな体験記
はじめまして。
ATRACK株式会社の元代表取締役、國俊です。
以前からYouTubeなどで情報発信をしていましたが、
このたび弊社が倒産(現在は整理手続き中)となり、
その経緯や実際に起こったこと、倒産後のリアルな状況を伝えたいと思い、動画を撮影しました。
この記事では、その動画の内容を文字に起こしてまとめています。
「倒産」については、世間一般であまり語られることがありません。
「夜逃げ」という言葉が先行し、ネガティブなイメージだけが広がりがちです。
しかし実際には、そこに至るまでの過程や法的整理の手続きなど、
想像もしていなかったリアルな出来事がたくさんあります。
この記事が、いま経営に悩んでいる方や、
会社の資金繰りに苦しんでいる方の参考になれば幸いです。
倒産後、社長はどうなるのか?
まず率直に申し上げると、「倒産後に社長はどうなるのか?」
という疑問についてお話しします。
倒産という言葉から連想される
「逃げる」や「夜逃げ」というイメージは、
現実とはかなり異なります。
実際、倒産手続きを進めると、
債権者(お金を請求する権利を持つ人たち)からの
督促は弁護士が窓口となり、
直接自分への連絡や取り立ては止まります。
ただし、「逃げられた」と見られることもあるのが現実です。
私の場合も、事業が立ち行かなくなり、
支払うべきお金が払えない状態に陥りました。
弁護士に依頼し、法的整理を進める段階になれば、
経営者への直接請求は来なくなりますが、
それを「逃げた」と言われても仕方がない面があります。
しかし、金融機関との信用関係を考えると、
夜逃げのように無責任に投げ出すことは、
今後の人生でも大きなリスクを伴いますので
夜逃げは良い選択肢とはいえないと考えます。
(気持ちはとてもわかりますけどね)
倒産に至るまでの経緯
今回、倒産に至るまでの経緯を詳しくお話しします。
私が倒産を決断せざるを得なくなったのは、
2024年9月頃が大きな転機でした。
「うまくいっている」と思い込んでいた
当時、会社の売上は順調に伸びており、
1億円近くまでいきそうな勢いがありました。
「儲かっている」「社長としてやっていける」
という思い込みもありました。
しかし一方で、なぜか現金が増えないという違和感を薄々感じていました。
帳簿が追いついていなかった
弊社は役員4名と休職中の社員1名だけ。
経理は業務委託に任せていました。
さらに税理士とも「記帳作業はしない」前提で顧問契約をしていたため、
数字の管理が大幅に遅れていたのです。
ようやく2024年9月頃に当期の帳簿がまとまってきたところで、
実は2,000万円以上の赤字という衝撃的な事実が判明しました。
原価と固定費の把握ミス
私たちはスクール事業をメインで行っていましたが、
役員の一人が講師さんたちへの報酬を管理できていなかったため、
「講師への外注費」が想定より大幅に膨らんでいました。
経理の外注費も最終的には月75万円ほどにまで上り、
売上があるのに全く利益が残らない構造になっていたのです。
また、役員報酬を高く設定しすぎていたことも原因の一つでした。
集客の一時停止と資金繰り
9月に帳簿を確認して「大赤字だ」と気づいた直後、
集客面でも重大なトラブル(SNSアカウントBANなど)が発生し、
新規の生徒さんがゼロになりました。
さらに金融機関からの融資も断られ、資金調達ができない状況に。
売上は止まったまま、翌月や翌々月に支払わなければならない外注費は減らないという、
まさに八方ふさがりの状態でした。
自殺未遂――極限状態での誤った選択
追い詰められた私は、10月下旬頃に自殺未遂をしてしまいました。
お酒を飲んで浴槽で手首を深く傷つけ、意識を失いました。
しかしながら、なぜか携帯が風呂の手元に落ちていて、
そこに業務委託先の方から電話が入り、
その方が駆けつけてくれたことで一命を取り留めました。
強い覚悟でことに及びましたので
私の記憶では100%書斎の書類の束の一番下に
スマホを入れたのを覚えています。
引き返す気はありませんでしたので。
しかし、なぜかスマホは浴室に落ちていました。
これは今考えても不思議な現象です。
警察や家族にも連絡が入り、私は留置所で保護された後、
結局生き延びることになったのです。
今思えば、「逃げたい」という気持ちから来た最悪の選択でした。
業務委託への支払い延期と事業停止
自殺未遂後、逃げるわけにはいかないと決心し、
業務委託の方々に
「今月の報酬を満額お支払いできない」
「分割にさせていただきたい」
というお願いを一斉にしました。
当然、激しい叱責もあり、人間関係は大きく崩れました。
それでも「ATRACKが好きだ」と言って残ってくれる
有志の方々とどうにか再建を図ろうと試みましたが、
弁護士から
「このまま事業を継続するのは債権者に対して不誠実になる」
と指摘され、最終的には事業停止の決断をしました。
11月の半ばだったと思います。
事業譲渡(M&A)の奇跡
その後、「事業そのものをM&Aできないか」という考えに至り、
仲介会社などと相談を重ねた結果、奇跡的に事業譲渡が成立。
一部のスタッフや生徒さんを、他社が新たに受け入れてくださることになりました。
結果として、働く場所を守れた方、生徒サポートを継続できた方はわずかですが存在します。
法人破産手続きと「経営者保証ガイドライン」
私自身は、商工会議所の「活性化協議会」に相談し、
倒産(法人破産)の手続きを進めています。
併せて、「経営者保証ガイドライン」を利用することで、
個人破産を回避できる可能性も模索しています。
ただし、すべてがうまくいくわけではなく、
**倒産には必ず費用がかかる(200万円程度)**という問題もあり、
私自身の手元にはほとんどお金がありません。
まとめ
ここまでが倒産までの経緯と、その後のリアルな体験談です。
経営状況悪化の事実を知るのが遅れた。
集客不振と資金断絶が重なった。
精神的に追い詰められて自殺未遂を起こしてしまった。
一部の事業譲渡(M&A)で生徒やスタッフを救うことはできたが、社長である自分には何の保障もない。
倒産には多額の費用がかかる。
名誉を傷つけられても、なかなか対抗手段がない。
最も大事なのは「早めの決断と準備」。
こうした体験は、経営者や起業志望の方にとって他人事ではないと思います。
万が一、同じように追い詰められたとき、
この記事の内容が少しでも役立てばうれしく思います。
ちなみに、今の私は無収入に近い状態で新たな仕事を模索しているところです。
もし「倒産手続きについて詳しく聞きたい」という方がいれば、
私に直接お声がけいただければ、体験談をシェアできます。
たとえば、有料のコンサルや
食事をご馳走になりながらの相談という形でもかまいません。
倒産経験者ならではのリアルを惜しみなくお伝えします。
1/15 動画で話しました。
後半で経営者が倒産するときの具体的なノウハウと心構え、抑えておくべき教訓をフルバージョンではお話ししています。
経営に悩んでいる方に限らず全経営者に見ておいていただきたい内容です。
生活難につき、有料で公開しておりますのでぜひご協力お願いします。
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