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魔界フェス廣島のこと。
9/1の魔界フェスの事をどう振り返ればいいものかと思うけど書いてみます。なお、写真は魔界フェス関係者が共有した600枚近くある写真から拝借してます。
「なんだったのかと言われたらよくわかんないんだけど、とにかく楽しかったなぁ」とは私が打ち上げのヲルガン座で漏らした感想だが、隣にいた本家魔界フェスのサイキシミンのえとーさんが「そういうもんなんすよ」と深く頷いた。
朝10時にベースメイクだけの薄い顔でPARCOに集合。みんなで、よろしくお願いします、と言い合いながら準備。私は昼は物販なので、メイクと夜のリハとブース準備してたらあっという間に12時になって焦った。因みにこれはあとで終わってから写真(あんまり自分たちを撮ってなかったので少ない)見て思ったけど、思ってるのより3倍濃い目のメイクすればよかったな…
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関係者があらかた白塗りになると気が大きくなると言うか、それが当たり前のような別の世界観が生まれて変な気分だった。白くなっても顔見知りの人は誰が誰かはわかるもんだな、とも。
物販は急遽隣に佐伯物産ブースが来ることになったのですぐ商品に食いつく。佐伯物産を販売してるのは紛れもなくサイキシミンさん達なんだけど、人のいいお兄さん達なんだなぁ、という印象。
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他の人たちの作るものたちもみんな魔界フェスの為に新作がたくさん。かなり悩んだが私はカシナポのクッキーブローチと、佐伯のごまだしを購入。私のブースはというと出展者が本を買ってくれたのがかなり嬉しかったのと、チープなお手製縁日アイテム「鬼火釣り」が子供も大人も遊んでくれたのが良かった。
隣のesora・cotoさんのかなりキュートなお化けのお人形を買ったあやこさんがずーっとモニュモニュ触ってた。たしかにクセになる感触だった。
おそらくこの日参加したブースの皆さん誰も儲けたいという気持ちよりもこの日に何か面白いものを作りたい!という気持ちでの参加だったと確信する。そういうものを作る動機は理想的なことだと思う。私も声かけて売らせてもらった作家さんたちは忙しいにも関わらず大ノリで作品を提供してくれたのだった。
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昼のフロアでは2つのステージ、ロビーに1つのステージが昼の演者達の場所。歌に演芸に大道芸など。ジャンルも入り乱れているけど魔界なので気にならない。お客さんも移動が大忙しのことだろうが、短い動線だから苦がないところが緩くて優しいフェス。お子様連れも多いのが良い。参加型の椅子取りゲームやジャンケン大会、盆踊りなどで人間も魔界の人も混じって遊ぶ時間もあってとにかく魔界は境目を取り払う優しい世界、というシュールで平和な景色が広がっていた。
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夜の部のオープニングショーが私のもう一つの役割で、チャールストン部としてステージに立ってすえたけさんのMCと共に踊る。かなり楽しみだったので、練習もかなりしたし、間違えることもないであろうくらいにはなったのに、ステージにはやはり魔物というものがいるらしい(魔界だもんね)。想定外のことは起こる。 羽織った着物のまま立ちあがろうとした瞬間、肩の紐が片方壊れたのである。 しかも朝壊れたものを直したばかりだったというのに。最悪のタイミング。 戻れないし何しろもう前に出なくてはならないって時に。
というわけで本当に本当に大変でしたがなんとか最後まで踊りました。
なんの試練だったのだ...
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人生初のクアトロステージがどうとかの感慨以前の問題でした。悔しい。 終わった後、次々友達が大変だったねえと声をかけてくれましたが遠目に見てた何人かはああいう衣装だと思っていたらしい。ま、それも良いか…
どっと疲れが抜けた終演後はようやくお酒の味がする。ふと見渡すとフロアで人間の顔をしていた人たちの顔の白塗率が少しずつあがっていた。 物販は照明が暗いしほとんどやる気がなくなった。 爆音のローゼンを見て、ようやく「あ、ここクアトロ(ライブハウス)だったんだなあ、なんで私あそこにいたんだろう」と不思議な感慨に包まれた。
ローゼンの迫力も音圧も、ものすごかったがMCは優しかった笑。
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そのあと、ヒトカゲさんを見に行ったら動く放送事故状態で阿鼻叫喚になっていて相当爆笑した。 満面の笑顔でジョンポさんが「やーヒトカゲさん、衝撃だったなあ、本当によかったよ」と言ったらモリソンさんが「そんなにいいわけないだろ(笑)」と秒で突っ込んでいてよかった。
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ねこ虫のステージはまさに60年代の日本のアングラ芝居小屋が眼前に現れたようなステージで、たまげました。イズミさんのこの日1日の顔だけでもいくつあるのだろうと思わされるんだけど、この世界観とそこを支えるバンドの音も格好良くて目が足りない気持ちで見た。途中にスクリーンが出てシルエットで、お城のように積まれた積み木が崩れて家の形になってそこにありまさんがぴょこっ と収まる演出に猛烈に目から鱗が落ちたが、打ち上げ時に聞くとこれまた魔物の仕業のハプニングが奇跡を呼んで成立した展開だったらしい。そんなことあるんだ。
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ミカカさんがすっかり出来上がって5歳児みたいになっているのを横目に、トリの前のサエキクミンの寸劇からサイキシミンのくだりも大概よかったが、サイキシミンのライブは何度も目頭が熱くなった。町名がバンド名になっているのにこの街が大嫌いと歌い葛藤し、この街で暮らして、そこから魔界フェスが生まれて、広島に飛び火した経緯もなんだかとんでも無く馬鹿馬鹿しくて愛おしい流れだと思う。
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白塗りという謎のボーダレスが一体感を生む最高のイベントでした。みんな笑ってた。
フロアもトゲトゲ頭の人や、お姫様の白塗りやら、ふと見ると全身赤タイツのコクオウさんが全ステージを終え疲れ果てていたり、全員癖が強すぎるんじゃ…
つくづくゴトウイズミさんのマルチプロデューサーぶりと、そこに乗っかる人たちのスキルの高さと人の良さよ。最高にバカ で愛らしいイベントでした。
打ち上げの挨拶で酔っていたイズミさんは感極まって泣いていた。白塗りで。
イズミさんの誕生日の9/2になるのはあっという間だった。
打ち上げになってまたフェス中はゆっくり話せなかった人たちとたくさん喋って舞台裏のあれこれをお互い喋るのも楽しかった。
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東京から広島に行くときの理由の一つに、何もないから作れるものが地方にあるように思える、それを知りたい。と思ったがそれがまさか魔界フェスだとは。
余韻が抜けなくて困っている。