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静岡ブルーレヴズ観戦記・第4節・1/11vs横浜キヤノンイーグルス〜果てしなき蒼海を〜


1、神は再び現れる


  
 カラリと晴れた東京の午後。
 昼に【稲庭うどん】を平らげ準備は万端、鏡開きの餅を焼きながらレトルト汁粉の封を開ける。
 
 チャンネルはJ SPORTS、
 見るのは、この試合❗️

 2024/1/11 ジャパンラグビーリーグワン2024/25season D1第4節 キヤノンイーグルスvs静岡ブルーレヴズ@ニッパツ三ツ沢球技場

 出場選手はすでに発表されていた。

 サム兄さんに続きSH岡崎さんが前節の負傷で欠場😱レヴズ今季早くも緊急事態🆘

 SHには新人北村さんが先発、田上さんが今季初めてメンバー入りした。
 
 【ハーフ団=外国籍スター選手or日本代表経験者】
というチームが大半のリーグワンにおいて、レヴズは【北村さん22歳、SO家村さん23歳】という代表経験のない若きハーフ団がチームを牽引する🔥

 対する横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜と表記)も選手を発表していた。

 スターティング15の殆どは、他チームからの移籍組もしくは海外スター、
 という横浜の選手構成は、リーグワン創設当時、企業スポーツの形態を残すリーグワンで異彩を放っていた(もちろん、いい悪いの問題ではない。)
 リーグ4シーズン目の今季、
 主力選手の移籍は当たり前になり、今季からはシーズン途中の選手レンタル制度も導入される。
 気がつけば、レヴズも含め多くのチームがガラリとメンバーを一新した。
 結果チーム間の戦力も拮抗し、開幕節から
『下剋上❗️』
 という勝利チームに少々失礼な言葉がSNS上に飛び交う。
 
 レヴズもまた開幕節で神戸を撃破、3連勝で敵地横浜に乗り込んだ🔥
 対する横浜は1勝2敗、
前季覇者ブレイブルーパス、神戸に競り負け、前節浦安戦で待望の今季初勝利を挙げた。
 当然の事ながら、ガチでレヴズを倒しにくるだろう😱
 画面には、腕を組み選手達に厳しい視線を送るツーブロの【彼】が映し出されていた。
 『彼』の故郷秋田県男鹿半島では、大晦日に【福来神】が各家々を訪ね歩くという。
 終戦までは小正月の行事であり、今もその慣習を守り、大晦日と小正月の2度、この神が現れる集落がある。
 この日は小正月に少し早いが、『彼』はあの【神】の如く三ツ沢の地に降臨し、グラウンドへ終始睨みを効かせた。
 結果として、
 『彼』はイーグルスファンに『勝利』なる福をもたらし、反面レヴニスタを悲嘆の底に突き落としたのだが、、

*      *       *
   おそらくレヴニスタの誰もが、餅を食い直して厄を払ったであろう『三ツ沢の悲劇』、忘れたい方も多いだろうから、今回は極めて『サラッと』書き綴ることにする。

 2、前半〜抛つことなかれ〜


 この試合は最後まで壮絶だった。
 前半だけで
 イーグルス5トライ、
 レヴズ2トライ。
 イーグルスのスピード感は想像以上だった。
 それを可能にしたのは、
 🌟デクラーク様&優さん🌟
 という黄金ハーフ団のゲームコントロールだっただろう。
 とにかく視野が広い。
 【遠く、速く、キレがある】
 デクラーク様の球出しは、レヴズのディフェンス範囲をどんどん広げてしまった。
 そのパスを受けた優さんの変幻自在な攻撃、それがパスであれ、キックであれ、イーグルスに絶好のトライチャンスを生み出した。
 
 とはいえ、
 レヴズは決して悪くはなかった。
 北村さんの球出しは早かったし、家村さんのキック成功率も高かった。
 ハーフ団に関しては、イーグルスが、特に優さんが絶好調だった。
 前半33分くらいまで、なんだかんだで僅差で戦っていたのだ。
 しかしこの日は、
 😱三つの厄があった😱

①太陽
  1月&キックオフ14:30、低い太陽がどれ程選手の目に入ったかは分からない。ただあんなに繰り返しイーグルスのキックを取りこぼしたことに無関係ではないだろう。
 試合開始早々のイーグルス二つのトライは、レヴズに幾分運がなかったかもしれず、あるいは、この要素も含めて優さんのキックが冴えていたのかもしれない。
②ケガ 
 前半終盤の、3番平ちゃんの負傷、13番マフーザ兄さんの脳震盪がレヴズのゲームプランを混乱させた事は間違いない😢😢
 マフーザ兄さんに代わりSH田上さんが入ったのも、この日BKの控えが2人だった事による。
 これが三連勝の代償なのか。
 前半のレヴズは動きが硬かった。
 あるいは、先手必勝でイーグルスが猛烈なスピード勝負に出て、それが当たった、という事かもしれないが。
③レフリー
 もちろん、
 あのMr.ビーン似のレフリーの公平性に問題があるのではない。
 レヴズ攻守の要『スクラム』について、このレフリーの意図とレヴズの認識が最後まで一致しなかった。
 ベテラン平ちゃんの離脱も痛かったのだろう。
 ただ、私のような素人ファンには、スクラムに関するレフリーの判断基準というのは難解でよくわからない。特にスクラムのタイミングについては、何が悪いのかさっぱり分からない💦
 この試合に、点差以上に後味の悪さが残るのは、『わからない判定があった』という辺りに原因があるのかもしれない。
 もちろん、どんなレフリーにも合わせるのがプロであり、この日はその点でイーグルスが優っていた。
 さて、前半、
 トライをとってもすぐ突き放される展開だったが、上記『厄』がなかったら、もう少し違う展開だったかもしれない。
 もちろんそれは仮定の話に過ぎない。
 現実は20点差、後半のイーグルスに余裕を持たせるには十分すぎる点差だ😢

3、後半〜山川異域 風月同天〜

 後半だけ見ると、19ー21 とレヴズが勝っている。しかし、
 レヴズがレヴズ陣内でペナルティーを取られた際、それを確実にトライに繋げたイーグルスはやはり強かった。

 でも、レヴズはやられっぱなしだった訳ではない。
 レヴズのトライも爽快だった🌟
 マリー兄さん、マロ兄さん、ティファレ兄さん激走からの北村さん、
 前半終盤からの陰鬱な気持ちを吹き飛ばすトライだった🌟🌟
 だからこそ悔やまれるのは、
 『スクラム』
 これに尽きる。
 
 後半、
 11点差まで追いつきながら最後の最後にダメ押しトライを喰らった。このトライの遠因となったのも、ノックフォワードとその後のスクラムだった。
 ノーサイド
 53ー35  18点差の完敗だった😢
 しかも、怪我人続出で次節以降に不安を残す敗戦だった。
 試合後、
 足を引きずりながら観客に手を振る選手達の姿があり、心の痛みを抑えて選手にエールを送るレヴニスタ達がいた。

〜あとがき〜

 法多山で厄祓いしたい❗️
 と思うほどレヴニスタには辛い試合でした。
 こういう日もあります。ファンは切り替えが大切❗️
 まずは怪我をした選手の方々のご回復を心からお祈りいたします。
 選手スタッフの皆様、とにかくお疲れ様でした。
さて、
  今回の副題、目次は、
 井上靖の代表作『天平の甍』をモチーフにしました。
 時は奈良時代、遣唐使として海を渡った学僧達は、日本に正しい仏法を広めるべく高僧鑑真に来日を請います。
 それに応え、5度の難船をも乗り越え来日を果たした鑑真は、年老い既に盲目の身となりながら、日本の仏教興隆に貢献しました。
 鑑真来日から今年で1272年、
 今季躍動するレヴズ外国籍選手達もまた、自らの人生を賭け、
 太平洋を渡り極東の島国に身を投じました。
 彼らだけではありません。
 首都圏ではなく静岡のプロチームで生きることを選んだ日本国籍選手も、
 自らの可能性とチームの可能性を信じて移籍を決断したイーグルスの選手達もまた、
 強い意志と決意をもち、挑戦の日常を生きています。
 試合とは、選手達の夢と人生が交錯する場であり、だからこそ、どんな試合も、生観戦ならなお一層心打たれるものがあるのでしょう。
 
 鑑真が建立した寺が、レヴズ藤井監督の故郷奈良県にあります。
 唐招提寺
 ほぼ創建時そのままの姿で残る伽藍、空に輝く蒼い甍は、決意と挑戦の尊さを静かに伝えています。
 

唐招提寺 金堂の鴟尾


 (なお、国の重要無形民俗文化財『男鹿のなまはげ』に関する記述は、元秋田経済法科大学法学部教授 稲雄次先生の『ナマハゲを知る事典』(柊風舎)を参照しました。)

 



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