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宝塚歌劇星組『1789〜バスティーユの恋人たち』観劇メモ①〜『ヅカ革命』の足音〜

【まえがき】

 この原稿を投稿をしようとした直前、宝塚歌劇団より、星組公演の休演が発表されました。体調を崩された方々の1日も早いご回復をまずはお祈りいたします。
星組頑張れ❗️応援しています❗️❗️

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『1789』

東京宝塚劇場エスカレーター脇の看板を撮影

 言わずと知れた宝塚の人気ミュージカル⭐️⭐️

 2015年月組の初演を私は生で見ていません。
 しかし、映像でも十分伝わる
歌とダンスのスペクタクル感🔥】
は、ある意味『エリザ』『ロミジュリ』を超えています😳😳
ここから先は、多少『ネタバレ』&極めて『個人的意見』になるので、ご興味ある方のみご覧ください🙇‍♂️🙇‍♂️

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さて、
『多少』
とわざわざ前置きしたのは、乱暴な言い方をすれば、そもそもこのミュージカルには具体的なストーリーは
  『ほぼない』からです。
 悪い意味ではありません。
 このミュージカルは、
①世界史で出てくる歴史的事実と登場人物
②様々な階層の恋人達の出会いと別れ
の二つで構成されています。

 しかも、①がストーリーの柱となる以上、ネタバレに属するのは、架空の人物たる主人公ロナンとオランプの恋の行方、くらいです。初演見ていなくても想像はつきますよね、『別れ』で終わることくらい😭

 このミュージカルは、ここは、あくまで個人的な意見ですが、
 ストーリーは二の次、というか、
フランス革命前夜から勃発に至る【救いようのない重荷を背負いつつ、遥か彼方に見える希望の光を目指し歩き出した人々、この激しい時代の唸りそれ自体】を、歌とダンスで表現する、
 これがテーマか、と感じます。

さらにいえば、フランス人からすると、
一種の『鎮魂歌=レクイエム』的作品に感じます。
夥しい無辜の血が流れ、その犠牲の上に人々が勝ち取った今日のフランス🇫🇷民主主義。
 日本人が昨日の終戦の日に思いを馳せるように、フランスの人々は折に触れこの革命を思い返し、犠牲者を追悼する💐
 そんな感じでしょうか。
 もう一つ、
 『個人主義』という言葉で表現されることの多いフランス人🇫🇷。
 彼らにとって、日本人の価値観が『忠臣蔵』に凝縮されるのと同様、『革命』をテーマにした作品群は、彼らのアイデンティティを刺激し、ある種の安心感に浸れるのでしょうか。

 フランスで『革命』ものは、興行的成功が見込めるエンタメ鉄板ネタなのかもしれません。

 こっちゃん率いる星組の『1789』は、見事にこの重く難解なテーマをやり切りました⭐️⭐️【言葉にならない感動🥺】
とはまさにこの事。

 初演より、明らかにスピードアップしていました。限界まで激しく踊り、高らかに歌う、その繰り返しでラストに突入するのです⭐️⭐️

 今思えば、まさお率いる月組初演の時、まさお達はどれ程試行錯誤してお稽古を積んだ事か、もう想像を絶する程です。
 ①なによりテーマが難しく、国の成り立ちが異なる日本人には掴みにくい。何を一番観客に伝えればいいのか、様々な選択肢が模索されたでしょう。しかも、
 ②フレンチ・ミュージカルの1789は『女性だけの劇団』が演じる事を前提に作られた訳ではありません。イケコ先生が宝塚的に潤色したとはいえ、この体とノドにハードな作品を、
『役がわり』なしで、約2ヶ月、ほぼ毎日、日によっては昼夜2公演、病気怪我なく女性だけでやりきるのは容易ではないでしょう🥺🥺

 強烈な個性際立つトップスターまさおが舞台を牽引し、脇を固めるかちゃ、ミヤちゃん、もう1人の主役となった娘役トップちゃぴ等個性あふれる面々がさらに舞台を輝かせる、
映像からは、宝塚の新境地に挑む覚悟を感じます⭐️⭐️

いい意味で、『ギラギラ』感ある1789でした。

あれから8年、
おそらくタカラジェンヌ全体の歌唱力、ダンスの技量が向上した事も少なからず関係しているでしょう。よりスピード感ある演出に踏み切りました。

 星組1789は、ハイクオリティで洗練された、という意味で『スッキリ』した仕上がりとなっています⭐️⭐️

これもおそらく理由があって、
①とにかくスピードがあるので、セリフも自然と早くなり、ストーリーを咀嚼する前に場面が展開していく(悪い意味ではありません。この作品は『グランドホテル』のようにストーリーをじっくり噛み締める作品ではないので。)

②ロナンとオランプに焦点を当てたので、『身分違いの結ばれぬ恋』が重層的に描かれた初演より、革命の志士達との絆=志高き青年達の友情が色濃く描かれ、作品に清々しさがプラスされる結果に。

特筆すべきは、
誰一人、歌が破綻しなかった』という事。
難解なメロディー、しかも、あれだけ激しく踊りながらの歌唱です。

 星組さん、お見事👏👏👏👏です。
 もちろん、ダンスは言うに及ばず、最後のフィナーレまでスピード衰えず『完璧』でした👏👏👏👏👏👏

 もちろん、初演月組との間に優劣は感じません。娘役トップのひっとんをオランプに配した結果、テイストの異なる作品になった、と感じます。いずれも名演名作です😭😭

観劇後は、
【これから1年間、全組が1789でいい。】
とさえ思いました。それほど素晴らしい作品でした⭐️⭐️

 しかし、すぐに思い直しました。
 タカラジェンヌは女性です。
 この作品は、彼女達の体力の限界を超えているのではないか、このレベルの作品をやり続けるのは不可能、というより、それを求めるのは彼女達に酷ではないか、と思います🥺

 その意味で、こっちゃんが千秋楽後に休養するのも、その間の外箱に専科のマイティーが主演で参加するのも正しい判断だと思います。もちろん、娘役トップひっとんや主要キャストのデムーランを演じたありちゃんは休まなくていいのか、という疑問は残るのですが🥺

5組のトップがいつも主役を演じ、大劇場、東京宝塚劇場、外箱、もちろんその合間に稽古、という、大相撲並みにハードなノルマを課されているタカラジェンヌ、

これでいいのか、宝塚⁉️

『宝塚は、こんなハイレベルなミュージカルが上演できる』
雪組ファントム上演時に話題になった
『宝塚を超えた』という表現。今回は更なる宝塚の新境地を示した作品だった、と思います。

しかし同時に、
宝塚よ、このままで持続できるのか⁉️

という危機感も抱かせました。
 
 その意味で、この作品は、
『宝塚が変わりゆく試金石』
と、なるのではないか、と感じます。
 このレベルの作品を今後も宝塚に求めるならば、ファンは『宝塚の大変革』を受け止める必要があるでしょう。

タカラジェンヌの『舞台人』としての寿命を理不尽に縮めないためにも。






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