ちなつさん全ツ演目『琥珀色の雨にぬれて』を深掘りしてみた①〜クロードはクズなの⁉️
1、若い子にはわからない⁉️
鳳月杏さん=ちなつさん
月組トップスター・プレお披露目公演として、全国ツアーが始まりました⭐️⭐️
【琥珀色の雨にぬれて】
今回、この作品の初演年を調べて驚きました。
1984年❗️
意外と新しい❗️40年前ですけど💦
てっきり60年代あたりの作品だと思ってました。
内容以前に、歌が、、
あのムード歌謡的メロディーに乗せて、
『♪悲しいよね 人生は♪』
とくるのですから😳😳
1984年のヒット曲、調べました。
チェッカーズ『涙のリクエスト』
吉川晃司『モニカ』
小泉今日子『渚のハイカラ人魚』
松田聖子『ロックンルージュ』
郷ひろみ『エキゾチックジャパン〜二億四千万の瞳』、安全地帯『ワインレッドの心』、、
そう、
時代はバブル真っ只中、JーPop全盛期なのです😳😳
もしかして、この頃既に
ヅカファンは【高齢化】していたのでしょうか⁉️
さて、
この作品に関して
『若い人には理解しにくいよね』
という感想をSNSでいくつもお見かけましたが、おそらく初演を見た方も当時同じ感想だったのでは⁉️
ちなみに、
この年の大ヒット曲に
テレサ・テンの『つぐない』があります。
♪愛をつぐなえば 別れになるけど
こんな女でも 忘れないでね♪
当時カラオケでこの曲を歌う世代、
それが主たるヅカファンの年齢層であり、この作品のターゲットだったのかもしれません。
2.クロードの『戦後』
スカステのナウオンステージでは、
ちなつさんもじゅりちゃんも
『演じてから共感できるところがあった』
という趣旨の発言をしていました。
彼女達も若い、ちなつさんですら今のヅカファンの主たる層よりはるかに若いのです。
役作りにさぞ困惑したでしょう、、
さて、
この話の舞台は1922年、となっています。
第一次世界大戦終結は1918年、
クロードは戦地から帰還し4年余り、ということになります。
この作品を書かれた柴田先生は1932年生まれ、1945年の終戦の時13歳でした。
徴兵前とはいえ戦争の記憶が鮮明に残っていた世代です。
戦地から戻ってきた兵隊さん、、
先生は、彼らがその後どう生きたのか、色々な例をご存知だったでしょう。
どうも『生真面目』らしいクロード、
今のウクライナやパレスチナ自治区のような環境に身を置き、目の前で人が殺され、自分も人を殺す、
戦場は過酷です。
表面上、戦地から生還し颯爽と新たな人生を歩み始めたクロードですが、内心は、どうだったのでしょうか。
シャロンに出会ってから別れるまで、
クロードの行動は支離滅裂を極めています。
『優柔不断のクズ』
としか言いようがないのですが、、、
純粋無垢
クロードはシャロンをそう表現しました。
あの雰囲気のシャロンに⁉️
マヌカンなんて仕事をしてるのに⁉️
さて、マヌカン=モデル(全くイコールではないでしょう)という仕事、
おそらくシャロンは、
いつも斬新な最新モードの服を身につけて、顔はもちろんプロポーションも抜群⭐️
ココ・シャネルがパリの目抜き通りに店を構えたのもちょうどこの時代、
男に媚びない装いを公然とアピールする女性、
そりゃ、新鮮で魅力的です⭐️⭐️
ここでいう純粋無垢とは、
『何も知らない』ではなく、
『何にも染まらない』
という意味でしょうか。
ただ、彼は確かに、この何にも縛られない自由なシャロンに恋をした、しかもかなり激しく🔥
でも、、
分別がありました。
愛は本能、結婚は分別、という現実、、
さて、
この作品をBlu-rayで初めて見た時、まず疑問に思ったのは、
共和制のフランスになぜ貴族がいるの⁉️
でした。
調べました。
確かに法律上は存在しない、しかし、事実上存在する、のだそうです。ややこしい💦
革命後に再度王政が復活したこともあり、『血を〇〇まで辿ると貴族です』という自己紹介が許されるそうで、、フランスらしいなあ🇫🇷
クロードは公爵、爵位としてはは1番上です⭐️
婚約者フランソワーズも伯爵令嬢、
まさに『お似合い』の2人です。
ここで、『2人の愛がどれだけ盛り上がったか』は大した問題ではなく、
『両家がどの程度合意に至ったか』
がずっと大切なのでしょう。
【親に紹介できない女とは結婚できない】
クロードは『当たり前の分別』としてこの規律を信じていたでしょうし、
愛してるから一緒にいたい=結婚したい
ではなかったのでしょう。
もちろん、クロードは気心知れたフランソワーズを好ましく思っていますし、、
嫌いじゃない、よりは心を寄せていますが、
恋してる、訳でもなくて、、
でも結婚してもいい、2人で幸せになれる、とは思っています、おそらくは。
クロードの内心、意外と普通の男なのでは⁉️
でも、シャロンに恋してしまった、、
両親に紹介とか入籍とか、フランソワーズと離婚とか、会社は解散とか、とても考えられないけど、
でも恋はしてるしどうしよう❗️
あれ⁉️これに似た葛藤を抱えた男を月組公演で見ました。
【グレート・ギャツビー】のニックです❗️
中西部ミネソタ州の名士の息子でエール大学を卒業後軍隊へ、
彼もまた戦場から帰還した男でした。
舞台では触れていませんが、帰還後田舎の生活に馴染めず、就職を口実に(実は彼にそんな必要はなかったのです。)ニューヨークに出てきました。
プロゴルファーというこれも斬新な職業の女性に恋をしますが結局は破局、原作ではニック自身から別れを告げています。
彼もまた、恋すると交際する(=結婚前提)は別でした。
破天荒すぎたギャツビーも含めて、
戦争とその後の世界は彼らの心に何をもたらしたのでしょうか。
偶然にも、グレート・ギャツビーの時代設定は、琥珀と同じ1922年、
この年アイルランドとエジプトがイギリスから独立を宣言、ロシア帝国は崩壊しソビエト連邦が成立、世界は新たな時代に入っていました。
クロードの衝動的な恋はこんな時代のお話、もしかして、
グズだけど、クズじゃないのかも。
初演時柴田先生は52歳、ヅカファンの主たる年齢層はもう少し上でしょう。となると、
当時の観客は、私達よりもっとリアルにこの物語を理解していたのでしょうか。
先生がご存命なら今年で92歳、戦争をリアルに知る世代は僅かになりました。
ちなつさん達の役作り、難しくて当然だったのかもしれません。