岸岡智樹くんに贈る言葉〜トップリーグ開幕を前に〜
クボタスピアーズ所属
岸岡智樹 様
岸岡さんを初めて見たのが何の試合映像だったか定かではありません。
『なんだか面白い子』
それが私の第一印象でした。貴方と殆ど歳の変わらない娘達がいるので、つい『子』という言葉が口をつきましたが。
どこか大人のようで しかしまだ子供のようで
何とも言えぬ独特の雰囲気を醸していたのを覚えています。
大学選手権準決勝は秩父宮で、決勝はテレビで拝見しました。
経歴を読めば、貴方が学業優秀な青年であることが判ります。ただ、私が興味を持ったのは別のところにありました。
あれはもう新型コロナウイルスが日本国内でも騒がれるようになった頃。
偶然読んだ貴方のnote記事が興味を引いたからです。
貴方はNZにいました。短期ラグビー留学をしていましたね。
あなたの作る食事は、理系らしく栄養バランスが取れていて、それでいて男の子らしく量や組み合わせが時にアンバランスで、何とも微笑ましいものでした。
私が感心したのは、
貴方が食事一つとっても、よく考えて日々試行錯誤を繰り返していた事です。
サプリメントの様な『簡単で便利』なものに頼ることはいくらでもできるのに。失敗も一つの学習として翌日も料理に挑む、
『模索を続ける意欲』と『失敗を恐れない心』に感心しました。
新型コロナウイルスがNZにも上陸し、早期の帰国を強いられたと知った時、とても残念に思いました。海外生活、貴方には合っていると感じていましたから。
それからしばらく時が経ち、note記事で親しんだ貴方が『オンラインでラグビーサークルを作る』と知りました。
私はすぐ入会申し込みをしました。
『岸岡智樹のラグビーラボ』
略して#トモラボ
リモートワークと チーム練習の自粛
新入社員かつ新入部員の身で、貴方は未曾有の困難に直面していました。私は貴方にささやかなサポートをしようと思いたちました。
その時から、もうすぐ一年になりますね。私はコロナ禍の孤独な一年を、#トモラボでの交流で何とか乗り切れた気がします。
この暖かく優しい空間を作ってくれてありがとう。
貴方は、この期間もプラスの経験に変えようと必死でしたね。SNS上で展開した積極的な活動、それは
これからのラグビー選手の生き方
に確かな一石を投じたと思います。
とはいえ、
私は何度か貴方に小うるさい事を言いました。
私は基本的に
若い世代の活動はやりたいだけやってもらう
という考えです。しかし、『活動』には時として『相手』を伴う事があります。
その活動から影響を受ける人達に何らかの配慮はあるのか
私は大人ですから、この点に懸念が生じればお伝えする、それが大人の義務だと思ってきました。
うるさい、とお感じになった事も多々あるでしょう。私の厳しい言葉に傷ついた事がもしあったらこの場を借りてお詫びいたします。
明日はいよいよ開幕戦。
本当なら昨年4月にはデビューしていたはずなのに、長い長い待機期間でしたね。
精神的にも辛かったと思います。
アスリートは一年一年が勝負ですから。
明日の試合に向け、
私が貴方に贈る餞の言葉はただ一つ。
『誠実であれ』
貴方には貴方の『夢』があるでしょう。誠実に生きたからといって、その夢が叶うかはわかりません。
でも『誠』の心を持って人に接すれば、それはいつか
『愛』
となって、あなたのところに帰って来ます。
この『愛』の蓄積を、人は
『幸福』
と呼びます。
『幸福』になりましょう。
#トモラボを始めてもうすぐ一年、
運営パートナー馬場さんを始めとする#トモラボの皆さんが、
貴方の活躍を祈り、これからの成長を暖かく見守っている事を
どうか忘れないでください。
明日からは、今日までの全ての思いをエネルギーに変えて、より高い場所を目指しましょう。
私は貴方を今日まで
岸岡さん
と呼んできました。お若いとはいえ子供扱いはしたくなかったからです。でも
#トモラボの皆さんが堅苦しい思いをされているかもしれませんから、今からは
トモキくん、あるいはトモくん
とお呼びすることにしましょう。
トモキくん
出発の時間が来ました。
長い旅に出ましょう。
#トモラボの仲間と共に、心には『誠』を抱いて。
あなたの目の前には
『人生』という名の大海が広がっています。