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どうなる 巨人軍、令和の世代交代【投手編】

 遅くなりましたが皆様、新年明けましておめでとうございます。
 昨年は皆様より沢山のご好意を頂きまして大変感謝しております。
 今年もまったり気まぐれではありますがnoteをupしていこうと思っておりますのでよろしければご贔屓のほどよろしくお願い致します。

 さて、2022年1本目のnoteはタイトルにもあるように真面目なやつからスタートとなります。

投手編、内野手編、外野手編の3本に分けてのシリーズになりますので飽きなければ是非ご覧下さい。

 リアルな話題ではありますがそこまで肩に力を入れずに見て頂ければ幸いです。

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 どんなスター選手や名プレーヤーであれ、いつまでもチームの中心選手でいてくれる訳ではない。
 近年の巨人軍でいえば、なんとなく「生涯巨人でいてくれるんだろうな」と思っていた、内海哲也や長野久義、澤村拓一等はもう巨人以外のユニフォームを着てプレーしているし、阿部慎之助や亀井善行は現役を引退した。

 巨人軍に限らずだが、レギュラー格の選手がいなくなった時の後継者の発掘、育成というのはチームの運営において必ず付きまとう大仕事の1つだ。
 そのレギュラー格の選手が活躍すればするほど"その後"の心配を我々ファンはどうしてもしてしまう。

 事実、近年の巨人軍界隈では「エース 菅野智之と球界最高遊撃手 坂本勇人の後継者問題」について多く取り沙汰されている。

 そこで今回は、過去の巨人軍の世代交代遍歴を振り返りながら今後の巨人軍を占ってみたいと思う。

過去の巨人軍レギュラー遍歴

 ではまずはこれまで多くの名プレーヤーを抱えてきた巨人軍のレギュラー陣がどのように移り変わってきたのかを振り返ってみよう。

 上記の表は2000年〜2021年の間のレギュラー遍歴である。

 名だたる名選手が名を連ね、長い間レギュラーが固定されているポジションもあれば変動的なポジションもある。

 ポジション別に見ていこう。
 第1回の今回は投手編である。

先発投手(エース)

 まずは先発投手。いわゆるエースの遍歴から見ていこう。
 上表ではチーム内最多勝利投手を代表で選出しているので様々な投手が名を連ねているが、総合面で見ると、上原浩治→内海哲也→菅野智之
 という流れで世代交代できていると言っていいだろう。

 上原は1999年の入団以降、8年間で6度の規定投球回クリア、沢村賞や最多勝等数々のタイトルや表彰を受けてきた言わずと知れた巨人軍のエースである。

 そんな上原がメジャー挑戦を視野に入れ始めた'00年代半ばに入ると内海が台頭。2006年から9年連続で規定投球回をクリアし、7度の二桁勝利など投手陣のリーダーとしてチームを引っ張った。
 そんな内海も30代半ばに差し掛かり、衰えが見え始めると、2013年に鳴り物入りで入団した菅野への世代交代が進む。

 菅野は1年目からローテーションに入り '10年代半ばからは球界のエースとして国際大会などでも実績を残すなど国内の現役投手では圧倒的な実績を誇る。
 また、'00年以降では最多となる5度のチーム内最多勝利を記録するなどチームの大黒柱として現在も投手陣を引っ張っている。

 また、各世代において工藤公康、杉内俊哉、山口俊とエース格のFA投手を獲得しているが、決して世代交代の繋ぎ役ではなく、Wエースもしくはエースのサポート役としてもチームに貢献している点も見逃せない。

まとめ

 先発投手は上原→内海→菅野と円滑に世代交代が進んでいる。
 また、各世代においてFA投手(工藤,杉内,山口など)や外国人投手(メイ,グライシンガー,マイコラスなど)の補強によりエースの負担を軽減できており、それぞれ長くエースを張れている要因の一つとも言える。(7年〜8年)

【エース遍歴】
'99〜'05    上原浩治 1229.0回   94勝45敗 防2.99
'06〜'12    内海哲也 1265.1回   91勝58敗 防2.75
'13〜現在 菅野智之 1475.2回 107勝56敗 防2.39

 これから

  ではこれからのエースはどう引き継がれていくだろうか。
 正直、菅野も試合を作る力はあるが、故障がちになり全盛期は過ぎている。先人達を見ても完全に落ちてから世代交代した訳ではなく、ある程度余力を残した状態から次のエースが台頭しているのでその点から見ても菅野の次のエースを担う投手はもう出てきて、ある程度の実績が欲しいところだ。

 そうなると候補に挙がるのは戸郷翔征高橋優貴だろう。
 戸郷は高卒2年目から2年連続で9勝をマークし、昨年はリーグ最多の先発登板を記録するなど着実に経験を積んでいるエース候補筆頭だ。
 高橋は戸郷と同年の2018年ドラフトの1位で入団し、3年目の昨季にチーム最多の11勝をマークしブレイクした。
 
 共にまだ荒削りで課題はあるが今年の活躍次第で一気に世代交代が進む可能性も高いので2人で高め合って欲しい。

 また、過去の傾向であった"サポート役"だが、引き続き山口俊や、未知数ではあるがメジャーリーガーの新外国人アンドリースにその役割を期待したい。

 さらに下の世代では堀田賢慎山崎伊織など楽しみな投手も多く、順調にいけば10年はエースに困らないかもしれない。

救援投手(リリーフエース)

 次はリリーフエース。
 個人的に'00年代前半はホールドなどの目に見える活躍指標が無かったこともあり、「〇〇がリリーフエースだ」という定義が曖昧な印象がある。
 登板数でいうと岡島秀樹林昌範といった生え抜き選手、前田幸長豊田清ら移籍組らが混在してそれぞれブルペンを支えていたが今のような目に見える数字で貢献度が計れなかったという点で不遇な時代かもしれない。

 '00年代後半になると元祖育成の星 山口鉄也が台頭し、一気に登板数,ホールド数などの面で好成績を残し、リリーフエースに上り詰める。
 越智大祐との風神雷神コンビは短命ではあったが強い巨人軍の象徴だった。
 また、山口は9年連続60試合登板という金字塔を打ち立てたりNPB初の200ホールド達成など、球史に残る救援投手でもあった。

 また、陰のリリーフエースでお馴染みの久保裕也や球団最優良助っ人投手のマシソンなど、好投手が多く在籍していたのが'10年代の巨人軍ブルペンでもある。

 そんな潤沢なリリーフ陣も年齢が近いメンバーばかりだったこともあり衰退期も被ってしまう。それが'10年代後半である。
 先発から配置転換された澤村拓一や手負いのマシソンらが踏ん張っていたが、やはり世代交代は急務だった。
 若手が伸び悩む中、台頭したのが中川皓太だった。阿部慎之助の助言で'18オフに腕の位置を下げるフォーム改造に取り組むと翌'19年に大ブレイク。セットアッパーとクローザーの両輪でフル回転し67試合に登板。昨年はキャリアハイの25ホールドを挙げるなどチームのリリーフエースとなった。

 第3次原政権で活発に行われたトレードで鍵谷陽平高梨雄平ら実績のある救援投手を獲得し、マシソン以来の3〜4年目のシーズンを迎えるデラロサビエイラといった息の長い外国人投手もおり、ここ数年で一気に整備されたブルペン陣。
その中心で腕を振る令和のリリーフエースは中川皓太に間違いないだろう。

まとめ

 登板数=活躍度だった'00年代前半から、ホールドなどの救援投手の活躍指標が登場した'00年半ばに時代が変わると同時に山口鉄也という剛(つよ)いリリーフエースが台頭。生え抜き選手でスムーズに世代交代とはいかなかったものの補強選手でカバーしながら中川皓太という次のリリーフエースが無事に台頭できた。

【リリーフエース遍歴】
'00〜'05   岡島秀樹 302登板     1H 37S 防3.56
'05〜'07   林昌範     157登板   48H 21S 防2.45
'06〜'09   豊田清     181登板   68H 22S 防3.02
'08〜'15   山口鉄也 529登板 249H 28S 防2.00
'10〜'11   久保裕也 146登板   53H 21S 防2.08
'12〜'17   マシソン 359登板 152H 45S 防2.30
'19〜現在 中川皓太 162登板   57H 23S  防2.09

これから

 先程も述べた通り、中川皓太の台頭により世代交代には成功したリリーフエース。
 加えてトレード組,外国人もいてかなり整備されているブルペン陣だが、中川皓太への対抗馬として大江竜聖にも期待をしたい。
 ここ2年で90登板,22ホールドをマークした今年23歳の若きリリーフエース候補は、起用法としては火消し、回跨ぎ、スクランブル登板など"何でも屋"的な起用が目立つ。何度も大江には助けられたのだが、若さを考えるとセットアッパー候補として期待したい気持ちもある。
 中川は安定しているが、年齢は今年28歳と決して若くはない。身体も痛めているのでどこかでガタが来た時に白羽の矢がたつのは大江かもしれない。

抑え(守護神)

 投手編最後は抑え投手、守護神の遍歴を見ていく。
'00年代前半は、リリーフ編でも触れたように救援投手の役割が今ほど明確ではなかったので、表を見てもうと分かるようにほぼ年替わりで抑えが変わっている。

 また、槙原寛己高橋尚成、上原浩治など先発で実績のある投手が抑えを務めるムーブが所々見られるのは興味深い。

そこから'00年代後半は横浜から移籍したクルーン、'10年代前半は生え抜きの西村健太朗、'10年代半ばは再び先発経験者の澤村拓一が抑えにコンバートされ、いずれもタイトルを獲得するなどフィットしている。
 そして'10年代後半から現在までは主に外国人投手が務めている。

 外国人投手が多く務めがちな抑えというポジションに関しては、世代交代という表現はあまり当てはまらないかもしれないが、遍歴だけでも振り返ってみたい。

【守護神遍歴】
'00〜'01 岡島秀樹    114登板 32セーブ 防2.95
'02〜'03 河原純一       72登板 35セーブ 防4.75
'04          久保裕也       35登板   8セーブ 防4.08
'05          林昌範           54登板 18セーブ 防1.61
'06          高橋尚成       35登板 15セーブ 防4.94
'07          上原浩治       55登板 32セーブ 防1.74
'08〜'10 クルーン     159登板 93セーブ 防2.56
'11          久保裕也       67登板 20セーブ 防1.17
'12〜'13 西村健太朗 140登板 74セーブ 防1.13
'14          マシソン       64登板 30セーブ 防3.58
'15〜'16 澤村拓一    123登板 73セーブ 防1.97
'17〜'18 カミネロ      77登板 40セーブ 防3.18
'19          中川皓太      67登板 16セーブ 防2.37
'19〜'21 デラロサ   107登板 32セーブ 防2.60
'21          ビエイラ     56登板 19セーブ 防2.93

 こうして振り返ると、しっかり守護神として複数年固定できていたのは'08〜'10のクルーンと、'12〜'13の西村、'15〜'16の澤村くらいか。

 クルーンは当時の日本最速162km/hのストレートを武器に移籍1年目の'08には41セーブをマークして当時球団15年ぶりのセーブ王に輝いた。
 コントロールが不安定で、よく制球を乱して荒れることから"劇場"と揶揄されたが、個人的に思い出補正も加わり、巨人の抑えといえばクルーンを真っ先に思い浮かべる。
 幼少期の私は派手で豪快な外国人クローザーにただただ憧れを抱いていたのだ。

 そんなクルーンとは対照的にポーカーフェイスのクローザーが西村健太朗だ。150km/hを超えるストレートと得意のシュートで活躍した。
 統一球時代とはいえ、抑えを務めた2年間で140登板,防御率1.13は驚異的だ。
 当時は"スコット鉄太朗"最盛期ということもあり、6回までリードをしていれば勝ちという雰囲気すらあったのを思い出す。

澤村は上原と同様に先発からコンバートされて成功した投手だ。
 2シーズンで123登板,73セーブ,防御率1.97と、成績はかなり優秀だが当時はよく"マッスルミュージカル"とかなり叩かれていたのをよく覚えている。

まとめ

 '00年代から、4シーズン以上抑えを固定出来たことはなく、かなり流動的な巨人軍の守護神。
 抑えを固定しないといけないという訳では無いのだが、巨人軍が優勝、日本一に輝いたシーズンはいずれも抑えが固定されているのも事実だ。

 近年もなかなか守護神は固定できておらず中川、デラロサ、ビエイラがその時の調子や状態によって務めている形だ。
 今季は昨年中盤から引き続きビエイラが務めそうな雰囲気だが、年間通して固定できるか注目だ。

 また、遍歴を見て気付くのは "元先発投手"のコンバート例の多さだ。
 ただの先発経験者という訳ではなく、槙原や上原、高橋尚、澤村とタイトルホルダーやバリバリローテーションで回っていたような投手が抑えに回っているのだ。
 この傾向を踏まえると、余程の守護神筆頭候補者が現れない限り、菅野クラスのスターターも守護神として投げる日が来るかもしれない。
 まぁそれはそれなりに先発が育ったらの話だが…

これから

 このように投手のコンバートが活発な巨人軍だが、今後の守護神はどう引き継がれていくだろう。

 近年だと先発だった宮國椋丞(現DeNA)や田口麗斗(現ヤクルト)がリリーフに回ったりしていたが、日本人で抑えを担える素質がありそうな投手の1人で畠世周を推したい。
 初めは先発として1年目から6勝を挙げトッププロスペクトの片鱗を見せたが、故障がちでなかなかチャンスを貰いながら枠を勝ち取れずにいた。
 近年も先発やリリーフを行ったり来たりしているが、昨季52登板で11ホールド、防御率3.07とリリーフで一定の成績を残した。
 投げる球は間違いないので身体の強さとメンタル面が向上すれば守護神だって務められる。

 他には昨季ファームで6セーブを挙げた平内龍太や昨年のドラ1大勢、ドラ3赤星優志あたりも適性はありそうなので今後の成長が楽しみだ。

最後に

 今回は第1回として投手編をお届けしました。
 投手ではやっぱりエース菅野智之の後継者問題が直近の課題だろうか。

 本編でも紹介した通り、幸い戸郷や高橋優が台頭してきて、その次の世代まで人材は豊富だ。あとは首脳陣が彼らをどう育て、扱うか。そして本人たちがどう翔くかだ。

 我々ファンはそれを見守るしかできない。


 ここまでご覧頂きありがとうございました。
 次回の内野手編もよろしければご覧頂けると嬉しいです。
 
 立岡宗一郎の電撃残留にただただ驚き喜びの感情が未だに湧いていないKuniがお送りしました。
 

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