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【エッセイ】砂場の思い出

小さい頃、砂場で遊ぶことが好きだったように思う。

特に、どこまで深い穴を掘れるかどうか、ひたすらに進めていったり、どれだけ固い泥団子を作れるかどうか、毎日握りしめていたり。
そんなことを、一生懸命にやっていた気がする。
(無限の力を持っていると信じた少年は、地球の裏側までいつか繋がると思っていた。)

そんな一つのことに集中できる経験が、今はどれだけ少ないことか。
あの頃のような、一心不乱に何かに打ち込む姿勢が、今得られたらどれだけ良いことか。

情報の海に沈められ、散漫になってしまう毎日だ。
時に遮断して、「これ」と決めたものに懸命になる時間を作り出したい。

「あれもやらなきゃ」とか「通知が来たから見てみよう」とか、一切の邪念もなく、一心になりたい。


ついでだけど。
当時同じ砂場で遊んでいた子が、友達になって、今も仲が良いなんていう、数奇な運命もあったりする。公園で遊ぶようになった頃、縄張りを持つこととか、協力することとかを覚えていくんだろうな。

親同士にも近所の付き合いが生まれたりして、運命的な偶然が生まれる、なんとも神秘的な空間だ、砂場とは。

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