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梔子書房|作品発表の書斎
2022年7月27日 17:15
700字程度の掌編小説です。記憶の中にありました。私は色が好きだった。昔から絵をかくのが好きで、色の出方にこだわりがあった。赤は鮮やかに、ピンクは華やかに、緑は草木のように、青は心がすうっと軽くなるように。絵を描く時間よりも絵具を混ぜて色を作っている時間の方が長かった記憶がある。もしかすると、絵を「完成」させるというよりも、色を「完成」させていたのかもしれない。 十数年前のある日、5才だっ