実際にあった土地選び3つの大失敗事例
住宅展示場に足を運ぶ方の85%は土地を探しています。建物だけなら随分と楽な資金繰りになるのですが、土地から購入となると一気にその負担は増えます。
それだけに失敗の許されない土地選び。今回のコラムはレアケースも含めた土地選びの失敗事例を3つご紹介します。3事例とも土地探しの際には必ず参考になる話ですので、この話を頭に入れて後悔なき土地探しをしてください。
■隣人の息子が大音量でハードロック
人口30万人の中小地方都市で70坪の土地を買ったHさん。地元の工務店で和洋折衷のマイホームを建てたまでは良かったのですが、引っ越しした当日の夜から悪夢は始まりました。
隣人の高校3年生になる男の子が夜遅くまでロックをガンガンかけて奇声まで聞こえるとのこと。
入居の当日からほぼ毎晩のようにこの始末。子供がいないHさん夫婦は頭を抱え、しばらくして土地を購入した不動産業者に相談に行ったのですが、業者としてはどうしようもありません。また、販売するときの告知義務もないのでHさんは完全にお手上げ状態。
土地選びのポイントを考える際、一般的には駅からの距離、安全性、小学校までの距離といったことが頭に浮かびますが、30年間この業界に関わってきた私は【迷惑をかけるような人が隣に住んでいないか】が最重要確認項目であると断言します。
■養豚舎から流れ出るほのかな匂い
本州のある県での話とだけお伝えしますが、これも実際にあった痛恨の失敗事例です。
① 小学校までの近さ
② 坪単価が周囲より若干安め
③ 土地が広く南向き
④ 街の中心部まで車で15分
この4条件に満足して終の棲家を購入したKさん一家。土地の契約は11月中旬で建物の引き渡しは春先の5月。
建築業者と若干のトラブルがあったようですが、最終的にはほぼ満足する形で新居の引き渡しを受けて新生活のスタートを切りました。
ところが、6月に入るあたりから南風に乗ってほんわかと動物園の匂いがしてくるように。
実は南に数百メートル離れた場所に養豚舎があったのです。近くに行けばかなりの匂いがするはずですが、まさかこの場所にまで漂ってくるとは想像すらできないはずでしょう。
土地を下見して購入したのが北風の吹く11月。入居したのは南風の吹く5月。みなさんお分かりですか? 答えは季節にありました。下見をした11月は北風なので匂いの心配はなかったのです。そもそも養豚舎の存在など全く知らなかったKさんですし、もし知っていたとしても気にも留めなかったでしょう。
養豚舎は超レアケースでしたが、一般事例としてよくあるのはゴミステーション。写真をご覧ください。ある分譲地のゴミステーションですが、分譲地を購入ならばゴミステーションの位置と方角をチェック。さらには全世帯に対して十分なスペースが確保されているかどうかも重要なポイントですよ。
分譲地でない場合も同じくゴミの収集場所を確認しておきましょう。ゴミ問題は日々のこと。失敗するととんでもないストレスを抱えることになります。
あとは考え方にもよりますが、送電線の直下にある分譲地などは意見が分かれるところです。これに関しては私から迂闊なことも言えないのでご自分で判断をお願いします。
■昔も今も定番問題の採光には要注意
分譲地であれ街中の売地であれ、家を建てた時に採光が十分かどうは重要問題です。住み始めたらリビングに日差しが入らないことがわかったでは済まされません。
【日影図】という言葉をご存知でしょうか。建物によって発生する影を計算して図にしたものですが、街中の土地を買うのであれば周囲にはすでに家が建っている可能性が高いので、その影がどのように影響するのかを書いてもらいましょう。
また、この写真のような分譲地では周囲に家が建っていないので、担当営業マンに「周りにどんな建物が立つかすでに決まっていますか?」と聞いてみましょう。そのうえで日影図を書いてもらう手があります。
余談ですがこの分譲地は雑草が目立ちます。しかし、実際には営業マン総出で草刈りを適宜実施。それだけ雑草の成長力が凄いということなのです。
つまり、建物を建てると同時にコンクリートを打つなど庭の整備をしないと、あっという間に雑草だらけになるということです。
では、ここで最後のトラブル事例をお話ししましょう。ただ、この事例は今後起こるであろうという未来のトラブル事例になります。
大都市圏のある分譲地ですが、すでに完売して人が住んでいます。この分譲地の東隣が空き地なのですが、ここに大きなマンションが建つことになっています。真っ暗になるわけではないのですが、ほぼすべての区画に影響するのは必至。ところが、このことを知っている入居者と知らないで購入した入居者が混在しているようで、おそらくトラブルになるのではないかと私は予測しています。
「南側が大きな空き地だから明るいね!」と素直に喜んでいると、その後に大きく後悔する可能性があります。もし、購入予定の周囲に一定の広さがある空き地があったら、建物が立つかどうかの確認を必ず打診しましょう。
3つの大失敗事例をご紹介しましたが、このほかにも気を付けなくてはならないポイントはたくさんあります。いろいろと情報を取って後悔のない土地選びをしてください。