撃沈した、韓国美容院
美容院はもともと得意な方ではないけれど、韓国に来てからますます敷居が高くなりました。
高すぎて登れない。
最後に行ったのは、いつだろう。確か、マスクはしていなかったはず。
韓国美容院の忘れられないエピソードがあります。
10年ほど前のこと、姪っ子の結婚式があり私もチマチョゴリを着ることになりました。
チマチョゴリは、着物と違って自分で着られるので問題ないのですが、髪の毛はセットしてもらわなくてはいけません。
韓国ドラマでよく見ますよね。
着物にも似合う髪形があるように、チマチョゴリにも似合う髪形があるのです。
結婚式はソウルで10時から。うちからソウルまで約3時間。朝7時には出発しないと間に合わないことになります。
そしたら6時に美容院に行く?
そんな早朝に美容院が開いているわけもなく、義姉に相談したら前日にセットしてもらい髪をくずさないように寝てからおいでと、言うのです。
え~横になったら絶対に崩れるよね。崩れるどころか、グチャグチャになるよね。じゃあ、座ったまま夜を明かすということか?!
看護師をしていたころは、夜勤明けでも遊びに行くぐらいの元気さがありましたけど。
今は、とても無理です、そんなこと。
この義姉の提案は、却下させていただきました。
そして私がない知恵を絞って出した案は、『そうだ、カットすればよいのだ。セットしなくても見栄えが良い長さに。』
行きましたよ、美容院。
髪形の写真、持参で。
愛想がよいとは言えない美容師さんに写真を見せて、このようにしてくださいと伝えました。
伝えたんですよ、ハッキリと。
家に帰ったら、その時5歳だった娘が私の顔を見るなり、泣きだしました。
『オンマ~~へーーん~~』
私も一緒に泣きたいくらい、でした。
美容師さん、写真を一瞬だけ見ました。
一瞬だけ。
そしてカットしていくのです。
そこに躊躇するという気持ちは微塵もなく、ガンガンいくのです。
ねぇねぇ、反対方向に行ってるけど……
日本では『こうしてください』とか言わない、美容師さんにとっては都合の良い客の私ですが、さすがにその時は言いました。
写真を見せながら、『これと違うんですけど』と。
おばちゃんが強いのは世界共通。
韓国のドラマを見たらわかるけど、韓国のおばちゃんは特に強いです。
見本の髪形指さしながら、『これと同じだ』と、言いきりました。
申し訳ないという表情もなく、堂々と。
鏡に映る和田アキ子似の私は、撃沈したのでした。
チーン。終わった。
ベリーショートと言えばおしゃれなフランス人を想像できますが、出来上がった髪形は、五分刈り、スポーツ刈り、あるいは和田アキ子のようでした。
姪っ子の結婚式のアルバムには、ベリーショートヘアーで微妙な笑顔のわたしがいます。