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坂本企画『娘たちのうたわない歌』観劇(配信)

再演版『娘たちのうたわない歌』
脚本・演出:坂本涼平

2021年に上演された、坂本企画さん(公式サイト)の作品。期間限定で配信されているものを拝見しました。(坂本企画YouTube
※2024.03.21現在配信中

『娘たちのうたわない歌』作品情報

【ストーリー】
生まれながらに争いを止めるための停戦使節として作り出された娘たち。
彼女たちは、白い旗を持ち、白い思想を持ち、その汚れのない命を血に染めながら、戦場で平和を叫ぶ。
そんな娘たちの中の一つのグループが、ある日、不思議な存在「のら」と出会う。
「のら」は、争いを呼ぶものとしてはるか昔に禁止された「うた」を知っていた。
「うた」を知り、己を知り、世界を知り、争いをやめさせるための争いに身を投じることになる娘たち。
人間は、私たちは、争うことからは逃れられないのだろうか?
もはや白くなくなった彼女たちを、私たちは笑うべきか、悲しむべきか。

坂本企画『娘たちのうたわない歌』公演案内より

停戦使節として生きる娘たち。
前半のシーン、真っ白な舞台美術と、揃いの真っ白な衣裳を身に着けた娘たち3名の、なんとも言えない会話のテンポ感と台詞回し、そしてその雰囲気から、「普通でない」ことが伝わってきます。

そこへ現れるのが……というよりも、始まりから舞台上に存在していた、通称「のら」。
よく分からない世界の中で[少なくとも観客にとって]「普通」に思える言動の「のら」に、少し安心感を覚えつつも、
(この娘たちは一体何なのだろう。「のら」という生き物は、一体何なのだろう。)と湧き上がる疑問。
物語が進むにつれて、徐々に全貌が。

「うた」

作品で登場する、印象的な「うた」。(作中の音楽としても使用されており、視聴後、ずっと耳に残っています。)

「うた」を知る前の娘たちと、「うた」を知った後の娘たち。
後半に向かい娘たちが「知る」につれて、娘たちの「不自然で奇妙」な様子が、ある意味「普通」に変わっていく様相も、(見た目の変化だけでなく)なかなかの芝居力だなと思いました。

途中で明かされる娘たちの名前は、「イワオ」「ちよ」「やちよ」。
「日本」と明言されることはありませんが、どれも『君が代』の歌詞に含まれる言葉です。(軍事的な歌詞の国歌も多い中、日本の国歌は安寧が末永く……と願う歌だなと、この作品を観て改めて。)

「争い」

争いが終わったら、次の場所へ行く。
そしてまた、次の場所へ。争いを諫めるために。
どこまでいったら終わりなのか。
ヒトが減ったら、世界は狭くなる?広くなる?
狭い世界で、窮屈なニンゲンが争う。
終わりはいつ来るのか。
何故ヒトは、争うのか。どうすれば終わるのか。

少々SFチックでありながら、私たちが生きるこの世界を表しているようでもあり、作中に印象的な台詞も多く、心が動かされる作品でした。

「のら」を演じられていた荘司歩美さん。印象に残る役者さんでした。劇場で拝見してみたいです。(というわけで、観に行こうかなと)

新作『抱えきれない わたしを抱いて』

※坂本企画さんの新作『抱えきれない わたしを抱いて』が3/22~3/24に大阪、3/29~3/31に東京で上演されます。
⇒大阪公演(CoRich舞台芸術!
⇒東京公演(CoRich舞台芸術!

第30回OMS戯曲賞佳作作家、坂本涼平の受賞後初の長編作品。

「ほんの少し、ボタンを掛け違えた人の悲劇に寄り添う」がモットーの坂本企画が、
難病患者の生きる権利と死ぬ権利に焦点を当て、
「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いに答えを出す意欲作。

坂本企画『抱えきれない わたしを抱いて』公演案内より

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