カラスの不思議なお話
カラスって言うと、何だかゴミを荒らすとか不吉とか言うイメージが一般的だが……
私はあの子達はかなり…
いや、相当賢い。と感じていて。
頭がいい、と言う意味だけじゃなく、何と言うか…
リーディング能力があるんじゃないか?とも思っている。
以前、子供の立哨で立っていた場所付近にゴミ捨て場があった。
立哨も終わり、さぁ帰ろうとしたら、物陰からファサッ!!と大きいカラスが手を伸ばせば届くような距離に止まった。
すっごく私をジーーーっと見つめている。
ちょっとビックリしたが、「カラスって間近で見るとこんな大きいんだ…黒が虹色に光ってる…綺麗な羽の色だなぁ……」と思って見惚れていたら、頭の中にいきなり声が聞こえた。
「お前、食べ物持ってるか?」
これは、本当〜〜に!!たまげた。男の声だった。オスか?メスか?も分からないけれど。
「あ…今、この旗しか持ってないのよ。ごめんね。」返事をすると
「そうか。」と聞こえた途端、また空高くどこかへ飛び立って行った。
……疲れてるのかしら?
とか色々考えたりもしたが、とっても立派な、カラスだった。
「こいつは無害」
と舐められていたのかもしれないが(笑)
あんな大きいカラスを、至近距離で見れてラッキーだった。
天国で仲間と自由に
まだ私が若かりし頃。
用事があって出掛けたのだが兎に角、時間が無い。
やむなくショートカットで山道を通り抜ける事にした。
山頂付近まで来た時、7〜8羽のカラスが道端にたむろしていた。
餌をついばんでいるのだろうか?
車のスピードを緩めてゆっくり通ると、なんと、亡くなったカラスを囲んでいたのだった。
………
………
食べなければ生きていけない。
それは分かっている。
だがしかし、仲間であったろうに。共に苦楽を過ごして来たろうに。
いたたまれずに、おせっかい八雲は車を道端に停め、カラスに一言、物申そうと降りた。
一斉に飛び立つカラス達。
道端に横たわるカラスは、少し温もりがあったが…亡くなってしまっていた。
このままではまた、車に轢かれてしまう。しかし、私も早く行かなければ時間に間に合わない。
ひとまず道路脇の車が通らない場所に亡骸を移動して、
「帰りに、埋めてあげるから。ごめん。ちょっと、待ってて」
声を掛けて車に戻った。
車に戻って振り向くと、飛び去ったはずのカラス達がまた戻って来て亡骸を囲んでいる。
「💢!!」
「血も涙も無いか!!お前達は!!」追い払おうと、また行こうとした瞬間、目にしたあの光景が今でも忘れられない。
カラス達は、亡骸をついばんでいたのではない。
大きな声で皆んな泣きながら、亡骸の周りを飛び回りながら……皆んなで亡骸を頭で、足で押しているのだ。
「ねぇ、起きなよ!」
「早く立って!!飛んで行こうよ!!」
私には、そう聞こえた。
涙が溢れて止まらなかった。
失礼な勘違いをしていた己の無礼を、詫びた。
とっとと用事を済ませて埋めてあげなければ。
そう思い、急いで車に乗り込み、時間にして40分ほどだったと思う。
その場所に戻ってみると……
そこにあるはずの亡骸が無くなっていた。
え?何で?
あちこち見てみたが、羽1つ残っていない。
野生の動物に持っていかれたなら、痕跡があるはず。
……でも何一つ残っていなかったのだ。
今でも理由は分からない。
でも、仲間達と共に、空をまた自由に飛んでいるのだと私は思う。
どうか自由に
心のままに、安らかに。