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「そりゃー何も知らない人は頑張ってて偉いね〜ってヨシヨシしてくれるんだろうけどさ、私は違うって思うのね」 *** 目覚まし代わりにあたしを起こしたのは、一本の電話だった。 「お世話になっております、こちらニノミヤフミカ様の携帯でよろしかったでしょうか? 先日ご応募いただいたオーディションの件ですが──」 お世話になっております。 はい、私本人です。 ええ、はい、承知しました。 ご連絡ありがとうございました── まぶたの重みに反して、口はひどく軽やかに動い