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210円

バスの運賃210円は、私にとって高い。

210円あったら飲み物が2本買える。大好きなさけるチーズを買ってもお釣りがくる。往復の運賃なら吉野家で牛丼が食べられる。

家から駅までのたかが30分。歩けばいい。という私のドケチ精神。

そんな私がバスに乗る場合が3つある。

一つ目が、友達と電車に乗ってお出かけするとき。
理由は、合流する前に疲れたくないからだ。

待ち合わせしたばかりの友人が、若干げっそりしていたら嫌だろう。

二つ目が、遅刻しているとき。
下手したらタクシーを使うこともある。

誰かを待たせてしまっている。なんて考えたら210円なんてどうでもいい。

最近は遅刻しかけてバイト先へ向かうのにタクシーを使ってしまった。
私の時給1時間分。。なんて考える頭の余白なんてなかった。

三つ目がこの話の本題。
心に余裕がないとき。

そんな時は基本は外に出ないのだが、そうはいかない。

出れたとしても本当に歩けない。歩く気力が湧かない。
誰か車に私を紐でくくりつけて走ってほしいぐらいだ。

それぐらい私の憂鬱は酷い。

210円を払うとき。「わたし今、心に余裕がないんだな。」と思う。

私の憂鬱な時期と、バスを使った回数の年間グラフを重ねても大差はないだろう。それぐらい私の憂鬱とバスの使用回数は親密な関係にあるのだ。

そんなことをバスの中で考える。
沢山色んなことを考えるけど、次の瞬間消えてしまう。

「あれ、何考えてたんだっけ。まあいいや。」

でも、時々こうやって思い出す。

バスの中、電車の中、車の中、私たちの考え事は運ばれ揺られて消えていく。
夢を見ている感覚と似ているなーと思う。

きっと同じ空間にいる人たちで脳のネットワークができていて、
知らないうちに共有しているのかもしれない。

だから、急に突拍子もないことが思いつくし、
そこから離てしまったら自分が何を考えていたか忘れてしまうんだ。面白い。

面白いよ。それなりに外の世界は。


それだけ。

おしまい。


210円

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