PyCon JP 2021 に当日スタッフとして参加してみた
hassaku です。PyCon JP 2021 のスタッフとして、当日の運営サポート(現地)をしてきました。
カンファレンスどころか一般公開している IT イベントの運営側に入る経験自体ほぼ初めてでしたが、まあ、ノリと勢いでなんとかなりました(と思っている)
私がどういう風に関与してたのかをお伝えして、雑多な感想、今後参加を検討する人に向けたメッセージなどを述べていきます。
はじめに
はじめに参画の仕方を書いておきます。私は当日の運営をオンサイトでサポートする係として参加しています。本年の PyCon JP では複数トラックで並行する発表を Zoom で配信 + Discord でオンラインコミュニケーション、という方式を採用していました。私はそのうち1トラックの監視係+進行をやっていました。
何ヶ月も前から始まっている企画とか諸々の物品・要員の手配、タスク整理、広報活動等々、そうした(おそらく一番大変であろう)膨大な事前準備のタスクには噛んでいません。
とまあ、そんな感じでかなり浅めな参加の仕方だったので、私なぞがスタッフ面してこのようなタイトルの記事を書くのは正直憚られる思いもあります。が、わからんなりに一応は仕事してきたと言えるかな?程度の感触は得られました。「行ったけど何もできなかった」じゃ辛いですし、そうなったら次回の参加表明はしづらいと思いますし。そういう意味では、初めてのカンファレンス運営への参加が PyCon JP でよかったなと思います。そのへんの感謝の気持ちも込めつつ、スタッフ参加を検討している人々にこの記事が何かしら参考になればいいなと思ってます。
参加経緯
本当はスタッフ参加する予定はなく、登壇者側として参加する予定でした。
プロポーザル出したけど落選したとかそういう話でもなく、ただただ CFP の〆切を1日勘違いしており打席に入りそびれました。
今年の登壇者の方がこちらのツイートで述べられているようなこと(下記)が私にとって登壇モチベでもあったので、大変惜しいことをしました。。
ちょっと閃いたんだけど、PyCon JP に自分が知りたいことをプロポーザルとして出しておけば未来の自分が勝手に調べてくれるんじゃないだろうか?
@rhoboro
7/11(日)の夕方に「よし、そろそろ CFP 書くか〜」と思ってサイトを確認してみればこのザマです。阿呆ですね。
余談ですが、当初予定していた CFP は昨年の登壇の続きで AWS のサーバーレスネタと、Graceful shutdown の実際の動きを gunicorn の実装から 追いかけてみよう、ってネタの2本立てを出すつもりでした。
これらの進捗ですが。先のツイートのリプに
それ、プロポーザルが通らないと調べてくれなそう / @takanory
とあります。この指摘は非常に鋭い本質情報だと思います。つまりはそういうことです。
・・・で、なんやかんやあり、ついカッとなって「じゃあスタッフ応募してみるか」とツイートしつつ募集状況を調べてみたら絶賛募集中で、色々とタイミングも重なって応募してみることになった次第です。
本当にただの思いつきだったし、拾ってくれた方がいなかったら実際に応募してたかどうかもわからないです。運営に知り合いはいないし、私は顔見知りのコミュ障だし。まあ、良いめぐり合わせでした。
そのまま応募フォームを提出して、誘導されつつ運営の Slack workspace に参加しました。これが7月中旬ごろ、およそ当日3ヶ月前の話です。
当日まで
PyCon JP 運営では週次のスタッフ定例が Zoom で開催されるのですが、私が参加できたのは本番直前の2回分だけです。それまでは時間的&精神的余力を確保できず、なんやかんやで動ける状態に持っていけたのがその時期でした。
今だから白状しますが、ぶっちゃけ2週間前のスタッフ mtg (Zoom) に初参加するのは少々勇気がいりました。ここに至るまで全然参加してなかったことへの負い目もありましたし、知り合いいないし、その mtg のノリを知らないからどんなツラして参加したらいいのかが謎だし。しかし、ともかく参加しないことには何も始まらないので Connpass のスタッフ定例に申し込みをしました。
実際 mtg に入ってみての感想ですが、上記のような考えが杞憂だったことがわかりました。初参加の人は自己紹介してね、みたいなフリもあって「あ、私ここにいていいのね」と思いました。ありがたい。
当日までは直前の定例に出席しつつ、出席可能なシフトの記入など必須事項の対応を行い、決定事項のドキュメントをおさらいしたりして過ごしました。
オンラインからの参加も可能なようでしたが、少なくとも私は周囲との面識ほぼゼロ、かつ前提知識も少なすぎる状態でのオンラインは動ける自信がありませんでしたので、出られる日程はすべてオンサイトで参加することにしました。業務の調整可能な範囲で、以下の日程で参加表明をしました。
10/15 (Fri) 12:00 〜 終日
10/16 (Sat) 8:00 〜 終日
現地スタッフは最速だと朝 8:00 に神田の現地会場集合となります。後で振り返りますが、初参加の日こそ頭から出とくべきだったなと後悔しました。
当日(10/15)
12:00 ごろに現地入りしたはいいものの、お昼どきだったこともありそこそこなスタッフが外出中でした。
とりあえず一般向けの受付フロア (2F) に行って当日スタッフであることを告げ、いったんスタッフ向けのフロア? (3F) 行きますかという流れになり移動。
この時点では何すればいいのか、それを誰に聞けばいいのか、などなど見えてない情報だらけだったので「あ、これ完全に来るタイミング間違えたな」と思いました。朝イチから都合つけるべきでした。まあ、その後なんやかんやでやること振ってもらえたのでよかったです。
トラックの進行サポートをやるということになり、配信部屋に入って台本の説明を受け、席に着きました。
配信部屋の光景はこんな↓感じです。写真は PyCon JP の公式 twitter より。
Zoom の配信側の作業は未経験だったので不安しかなかったのですが、横にも同じロールの人がいたことや、その日そのトラックは実質的な仕事が通常想定の運用と比べてかなり少なかったので特に困難はありませんでした。
私の受け持ちトラックの1日目はずっとオンサイト発表だったので、実質的な仕事はほぼ配信 Zoom の監視のみでした。スクショ撮ってたり人数カウントしたりするだけの簡単なお仕事です。登壇者の誘導とかマイクテストとか画面切り替えの確認とかとか、本来やるはずだった仕事の大部分は登壇ステージ側を見てた方が進めてくれてました。
後で聞いたのですが、朝イチ参加組は一通りの台本読み合わせ + ロールプレイングをやっていたそうです。私は昼からの合流だったのでそこには参加できなかったのですが、一般参加者向けのタイムテーブルが進行してない時間に入っておかないとそうした準備時間もなかなか取れないわけで。リハの機会は拾っておいた方がいいです。最初から来るべきだったな、と思ったのはこのへんの事情です。
当日(10/16)
8:00 すぎに現地入り。この日は完全オンライン開催だったので現地スタッフの人数も前日より余裕がありました。配信トラックの進行係は基本ツーマンオペーレーションになりました。
ロールプレイングにも参加できたし、機器の操作とコミュニケーションの役割が分散してたし、台本も整備されてたしで、さすがにここまで親切にお膳立てがあればそりゃいけるよね、という感じです。素人でも進められました。
この日は写真を撮る余裕もでてきたので、何枚か現地の様子を収めました。
配信部屋の様子。壁面に並んでるのが進行係の見ている機材(PC, ミキサー, マイク)で、左側で見切れてるのが配信業者の方が見てる中央の設備です。配信画面のコントロールだとかの中核部分は外部委託しており、進行担当としてはそのへんは連携取りながら進めていく感じです。基本的には、トラックの進行担当は進行業務に直接関係する部分だけに専念できるような準備・体制が敷かれていました。実際の業務手順は台本が準備されているのでそれをなぞるだけです。慣れれば難しくないです。
実際に担当してた卓の様子がこちら。この日一番の発見は、真ん中のそこそこチャネル数のありそうな、お値段もそこそこしそうなミキサーが30,000円未満のお手軽価格と知れたことです。30,000 円以上は普通にするものかと思ってました。
(自宅にあっても場所食いそう & 入出力持て余しそうなので買いはしませんが・・・にわか趣味レベルの個人宅録にはオーバースペックぎみ)
なお、ここの卓(トラック)は keynote やら LT やらの配信も兼ねてたので入出力多めな上記ミキサーを使ってましたが、他の卓は AG03 というもっとシンプルなものを使っていました。接続する機器の数が少ないので、「ミキサーとか触ったことないよ!」という方でもきっと大丈夫です。わからなかったらそのへんの人を捕まえれば最低限の操作とか、やってはいけないこととか、当日運営に必要なことは教えてくれるでしょう。
一通りトラックの進行をやりつつ、最後の方で私が進行で不手際をやらかしたのでそれを運営 Slack に報告 + 関係者へのお詫び連絡など事後対応を行ったりしました。その後は LT やクロージングを鑑賞して、現地の撤収作業で手伝えそうなことをやって一足先に撤収しました。
自宅の最寄りに着いたらいい時間になってましたので、やよい軒の激ウマ季節限定メニュー「筋肉定食」を美味しく平らげて帰宅しました。体重が気になる今日このごろではありましたが、ご飯はしっかりおかわりしました。
振り返り
スポットな参加ではありましたが、やってみてよかったなと思いました。ちゃんと仕事にありつけたのが大きいですね。
スタッフ参加した人間の中でも、私はかなり関与が浅い方に入るだろうと思っているのですが、そういう人間にも振れる仕事を用意して、かつ回せるように分担し、準備していた、ってことが驚きです(いい意味で)。
こんな奴にもまがりなりにも当日のサポートが務まった理由は、当日スタッフ向けのお膳立てが良かったということに尽きると思います。正直、何も前提のない人に対して仕事を振るより、人柄もスキルも知っているメンバー間でやりくりする方がよほど気が楽だろうという気はするのですが、少なくとも今年の PyCon JP では前者の方針をやり切ってるわけで、本当に頭が下がります。
一方で、参加初日の初動でもたついた場面は勝手がわからなすぎたので、どう動けばいいのかわからない場面はありました。周囲との面識がなかったので「誰が何を知っているのか」「割り振りしてるのは誰か」みたいなところが見えなかったのは少ししんどかったです。今回の体験の中で一番しんどかった時間帯があるとすれば、仕事が決まるまでの時間かなと思いました。
特に 10/14 は現地の人員が不足気味だった(らしい)こともあり、動き方をわかってそうな雰囲気の方はずっとバタバタしてた印象です。物理的に声を掛けやすいタイミングは少なかったように見えました。
まあ、この辺の話は
もっと早い段階から関与してれば ... とか
朝イチで来てロールプレイングしてれば ... とか
今さら人見知り発揮してんじゃねぇもっとぐいぐい行け
...などなど、自責点だと思ってる話が多数あるので、自分の反省点という意識が大きいです。
また、2日目 (10/15) のことです。
私の隣席で同じロールを担当されてた方が、その日から参戦されてた(まだ担当が浮いていると思われる)別のスタッフに自発的に声掛けされてて、ロールが決まる前・後のことをフォローされていました。そういう動き方が自然にできる方は本当に素敵です。見習わなくてはと思いましたし、前日同じ状況だった者として気が付けなかったことに情けなくなりました。もし次回もスタッフ参加することがあれば、次こそはその方から教わった教訓を生かしたいですね。。
そんな感じで、現地入りしてから最初にやることが決まるまでの流れで少々もたつきましたが、一度やることが決まってからは特に波乱もなく進められたかな?と思います。
スタッフ参加を検討する人へ
※ ここで書いた内容が来年も同様であるかどうかは全く保証できません。また、これは私の体験に基づく私見であり、PyCon JP の公式見解とは何ら関係がありません。予めご承知ください
他のカンファレンスがどうなのか知らずに書いてますが、PyCon JP のスタッフ活動は入りやすい部類だと思っています。正直、もっとがっつりコミットできなきゃ参加資格のないものだと思っていました。こんなにライトな参加の仕方でもいいの?と知れたことが私の中では新発見でした。できる仕事がなくて棒立ち...みたいな最悪の状態にならずに済みました。ここの安心が一番大きかったですね。。。
※ 「こんな参加の仕方でもいい」と私が言い切ると語弊ありますね。そりゃたくさん入ってくれる人の方がありがたいに決まってますし、今回の私みたいな(ほぼ当日オンリーな)スタンスの人ばかりが集まっても仕事の振り方に困るだろうと思いますし。・・・まあ、この際の趣旨は「もっとハードルの高い世界だと思っていたけど、実はそうでもなかった」ということです
※ 実際に、他所のカンファレンスはどうなのでしょうね。文化圏の違いはあれど、IT 関係の Tech カンファレンスであれば案外似たような事情なのかもしれませんね。どうしたって物理的に手数・頭数は要るでしょうし
好奇心を持って、あとは腹を据えて、ノリと勢いで飛び込むくらいで丁度よさそうです。あと、強いて言うならスタッフ参加する人に対する期待値の確認もやっとくとよさそうですね。
PyCon JP に限らず、コミュニティ主催のイベントでたまーに中の人らしきアカウントが「ちょっとだけ、やれる範囲で全然オッケーです」とか「カンファレンスのテーマ技術について、得意じゃなくても大丈夫」って言ってるのを目にします。多分、それらは本当です。そういうカンファレンスを選んで飛び込んでみると良いのではないでしょうか。
さいごに
よかったこととか、感想とか、雑多に。
・登壇チャンスを逃したけど、別の体験ができたのでこれはこれでよかった
・スタッフ活動は思ってたよりも気軽に参加できるものだと知れた
・当日サポートで参加する人間への割り当てを想定したタスクが組まれており「ちゃんと」仕事にありつけた
・配信現場を見れて & 体験できて面白かった
・私の引きこもり&人見知りパラメータが少しだけ社交的方面に改善した(ような気がする)
・10人以上集まるリアル接点は久々すぎた
・現場の温度感やら臨場感やらがよかった
・初めて現場入りする日は頭から入れるように調整しておいた方が動き出しやすい
・久々に長いケーブルを巻いた。20m を八の字巻き
・夕飯がいつもよりうまい2日間だった
次回はまず CFP の〆切期日を間違えないようにするところから始めたいです。
(追記)視聴者としての感想
谷合先生の keynote すごくよかったですね。いち将棋ファン、そして Pythonista (自称) として、本当に面白かった。これまで出会ってきた "keynote" と呼ばれるプレゼンたちの中でも一番面白かった。
松尾研で機械学習やってきた、とか、検討ツールは Windows でしか動かないものが多くて Electron で自作してる、などという話を聞いて震え上がりました。そこらの本職よりよほど開発力お持ちやないか・・・。
しかし、近年の将棋界は棋士以外の顔でも活躍されてる方が増えてて本当にすごすぎますね。これまでになかったキャラの広がり方を感じていて、ワクワクします。
CFP 採択者の発表に関しては、残念ながらさほどがっつり視聴することができませんでした。自分が担当していたセッションは興味深く拝見してましたが、一応運営寄りのメンタル配分をしていたので発表をじっくり味わうほどの余裕もなく。。。後で気になるセッションをアーカイブで見返す予定です。
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