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湖上の聖地のような島で、非日常を味わう。中之島ランチ×カヌーツアー座談会 |矢島×岩井×福井

2022年秋、8Peaks主催で行われた「中之島ランチ×カヌーツアー」。白樺湖に浮かぶ無人島・中之島を舞台にしたツアーは、レイクリゾートの魅力をより深く伝えるための実験的な意図もあった。イベント直後、仕掛け人たちによる座談会を開催。それぞれが感じた中之島の可能性とは?

<メンバー紹介>
矢島 義拡「池の平ホテル&リゾーツ」代表。今回のツアーの企画・運営を担当。
岩井 穂純ソムリエ。料理人の妻・恵さんとコース提供&ダイニングアートを担当。
福井 五大「八ヶ岳アドベンチャーツアーズ」代表。カヌー体験&ガイドを担当。 

お客さまに喜んでもらうことが一番

−本日はみなさんお疲れさまでした。改めて、今回のツアーの概要を教えてください。

矢島:白樺湖にある中之島までカヌーで行って、島で贅沢なランチを楽しむというものです。僕が企画と運営をやって、五大くん(福井)がカヌー担当、岩井さん夫婦に料理・ワインとサービスを提供してもらいました。まず中之島って規制が厳しくて、これまで一般開放されてこなかった場所なんですよ。今回そのロケーションで開催できたということは、大きなチャレンジでもありました。

福井:白樺湖のほとりで育った僕でも上陸したことは一度もなくて、聖地みたいな、遠くからいつも眺めている島という存在でした。ガイド中も近くを通りはするんですけど、お客さまと上陸できたらもっと楽しいのになってずっと思っていました。そんな中でレイクリゾート構想が進んで、湖畔の有効活用に対する考え方がちょっとずつ受け入れられるようになって、今回のツアー実現にいたったという感じです。

今回のツアーでカヌー体験&ガイドを担当した福井

−使用許可を取るのはかなり大変だったのでは?

福井:そうですね。だから感慨深いですよ。上陸してまず思ったのは、意外と広いんだっていう。こんなに人入れるんかいって、ちょっと驚きましたね。もっと細くてこじんまりしているイメージだったので。

岩井:わかります。あと不思議な島ですよね。植物もあんまり生えていないし、何でこの場所にこんな島があるんだろうって。

矢島:ため池だからこそできた島なのが面白いですよね。あの地形の中に水を入れたからたまたま島ができたっていう偶発性が、岩井さんが感じる不思議さにつながっているのかも。

福井:中之島を使いたいってずっと言ってきて、やっと許可が取れた。でも、いい結果を出さないと今後継続して使わせてもらうことはできないと思ったので、今回のツアーはすごく大事だったんですよ。そういった意味でも最高のスタートが切れたんじゃないかと思います。

矢島:ただ僕らがいくら「中之島って貴重な場所なんですよ!」って言っても、結局は自己満足でしかない。あくまでツアーに参加した方に喜んでいただくことが重要で、こちらの思いとお客さまの“いいな”が一致することに意味がありました。

カヌーツアーを楽しむ参加者

夫婦だからこそ表現できた世界観

−岩井さんはご夫婦での参加でしたが、どういった経緯があったのでしょうか?

福井:岩井さんはソムリエとしての経験もさることながら、幅広いジャンルの料理人をご存知で、場所や目的に応じてベストな人を呼んでくださるし、さまざまなバリエーションにも対応できる。今回中之島でイベントをやるにあたって、岩井さんにお願いするのは最初から決めていました。

ツアーにて、コースランチを振る舞った岩井夫妻

矢島:僕も同じで、岩井さんは今後、この地域の食のプロデューサー的な立ち位置になるべき人だと思うんですよ。って、お互いにそんな話はしたことないよね?

 福井:ないない。でも8Peaksのメンバーはみんなそう思っているはず。

矢島:みんなが自然にそう思っているのがアツいし、その中で今回岩井さんがチョイスしたベストな料理人が奥さんだったってことがさらにアツい。だから奥さんが今日どんな顔をして帰っていくのかがすごく気がかりだった(笑)。

 福井:とんでもないものに付き合わされてしまったと思っていたらどうしようって(笑)。

岩井:それはちょっと帰ってから聞いてみますね。

一同:(笑)。

矢島:僕ら的には岩井夫婦にすごく甘えちゃった感満載で。あの島であれだけのものを出してもらうなんてありえないと思うんですよ。本当に大変だっただろうなって。

岩井:こんな風に夫婦でやれることって今まであんまりなかったから、いい勉強させてもらったって感じですね。うちの妻もすごく楽しみながらやっていました。

矢島:そうなんですか?夫婦タッグでもう何度もやられているのかと思っていました。

福井:そうですよね。場馴れしていたし、すごく自然でした。

岩井:白樺湖の雰囲気的に、かしこまって「いらっしゃいませ」は違うなと思って、ラフな中に上質さのあるサービスみたいなものは意識しましたけど、妻は緊張しまくっていましたね(笑)。でも、夫婦だから打ち合わせしやすかったっていうのはあります。

矢島:しやすいんですか?逆にやりづらくないですか?

岩井:料理人とサービスマンが遠慮なく言い合える関係ってすごく大事なんですよ。もちろん夫婦だから喧嘩にもなりやすいけど、それを乗り越えて形にできるというか。面倒くさいけどやってほしいこととかあるじゃないですか。サービスマンとしてはあれを出してほしいけど、料理人からしたら難しいとか。じゃ、僕がこれ買ってくるからやろうよとか、夫婦だったら補い合えるんですよね。

矢島:確かに。仕事だけの関係だと、逆にここまででいいやってなってしまうかも。

岩井:そうなんですよ。面倒くさいって言われたら、この人はここまででいいんだって自分も見切りをつけちゃうじゃないですか。でも夫婦ならどうしたらそれがやれるだろうって一歩先に話を進められる。それは今回よかった部分ですね。

やれることをマックスにやりたいと思った

−島での設営は当日の朝に行われたそうですね。

矢島:そうです。3時間くらいで準備しました。実は岩井さんと一緒に仕事をさせてもらうのは今回が初めてだったんですけど、いつものお酒の席とは違うプロの顔を見ましたね。今回のロケーションで表現したいことと、料理のクオリティと、お客さまの過ごしやすい環境と、それぞれの妥協点を探すのではなく、うまく折り合いをつけながらギリギリまで突き詰めていく姿が印象的でした。

今回のツアーの企画・運営を担当した矢島(右)

岩井:僕からしたら、普段社長として指示を出す側のお二人が、いちスタッフに徹していらっしゃるのを見て感銘を受けましたよ。おいそれとはできないなと(笑)。

福井:僕が最初に聞いていたのは、「岩井さんの奥さんがランチ作ってふるまうからそこにカヌーで来てね」みたいな軽〜い感じだったんですよ。それで当日、準備しているのを見に行ったら、聞いていたのとずいぶん違う(笑)。テーブルセッティングも料理もすごくこだわっていて、これはカヌーが主役になっちゃダメだと思いました。僕らはガツガツせずに、お客さまを心地よく送り届ける素敵な足になろうと気持ちを切り替えましたね。

岩井:いや、最初は本当にランチを出すだけのつもりだったんですよ。でも中之島に下見に行った時に、これだけのロケーションに簡素なテーブルとお弁当があるのは何か違うなと思ったんですよね。それで、今回はマックスやれるだけのことをやってみようと妻を説得しました。

福井:そうだったんですね。僕、興奮しましたもん。いい意味で打ち合わせと違ったので。

矢島:お客さまがテーブルセッティングを見た瞬間の「うわ〜!」っていうリアクションも嬉しかったよね。

ストーリーを紡ぎ、全員で共有する

−ツアーを通して今後の課題は見えましたか?

岩井:今回はイベントの意図を僕のフィルターを通して妻に伝えたんですけど、今後は料理人も交えたメンバー全員で一度話し合って、ゼロイチでスタートできたらもっと面白いものができるんじゃないかなと思いました。いろんな人の思いが融合して、みんなでストーリーを紡いで、それをお客さまにも共有できたら楽しいですよね。

矢島:そう言ってもらえるのは僕ら的にもすごく嬉しいですね。

岩井:せっかくやるのであれば、先へつながることをやりたいですよね。続けることってすごく大変で、愛と情熱がないと無理だと思うんですよ。お金だけだと続かない。今回そういうものを持っている人たちと一緒にやれたことで、僕もすごく頑張っちゃったというか。愛とか情熱って連鎖するんだなとつくづく思いました。
だから今後も8Peaksのメンバーといろんなことにチャレンジしていきたいし、全力でやった先に何があるのか見てみたい。その全てが僕の生きざまにもつながっていくと思います。

−中之島を今後どんな風に活用していきたいですか?

岩井:プレミアムな音楽フェスをやれたらいいですよね。ウエディングもすごくいい。

−ゲストは島で待っていて、主役がカヌーで登場するとか。

矢島:ゴンドラ的なね(笑)。そういう企画がちゃんと実現できるエリアにしたいですよね。五大くんが言ったみたいに思ったより広さもあるし、あの空間を独り占めできるようなプライベートイベントは、すごく需要があると思います。

福井:今回自分が思う最高の見せ方ができたので、これからはその素材を使ってもっとライトなツアーのバリエーションも増やしていきたいですね。このツアーを足がかりに、成功事例を積み重ねていくことが大事だと思っています。中之島を活用することの価値を地元の人にも感じてもらえたら、今後やれることの幅も広がっていくと思うので。

矢島:あと岩井さん、家に帰ったら奥さんにくれぐれもよろしくお伝えください!

福井:もう本当、ねぎらってあげてください!

岩井:はい、わかりました(笑)。


参考動画

白樺湖"絶景"カヌー&ダイニング

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