重陽の節句を迎えるにあたり
9月9日は重陽の節句。お団子を積み上げ、自然の恵みへの感謝と豊作の願いを込めた古来からの節句です。菊の花の咲く頃、菊の節句とも呼ばれ、ご飯に混ぜたり、杯に菊花を浮かべ、「菊酒」として無病息災を祈りながら共にコミュニケーションを図ってきました。菊の文様は四大文明の頃のシュメール文明の石にも刻まれており、文字の発祥の頃より人々と共に現代に受け継がれていると、識者は述べています。
皇室の紋も菊花紋ですね。菊のご紋と言えば、現代でもほとんどの日本人に愛され続けています。秋作物が実り、豊かな季節を、稲作文化が生まれる遥か以前の縄文時代から、祈りと共に過ごしてきた日本人の姿が、そこにあったのでしょう。
鎌倉の鎮守様「鶴岡八幡宮」の例大祭は毎年9月15日。例年ですと笛や太鼓の音が響き、神様へ奉納の神輿、舞、流鏑馬、茶会、菊花展等奉納行事が賑やかに行われ、鎌倉への参拝、観光客が増える時期でした。
しかし令和三年のお祭りは、昨年に続き神官が執り行い、秋の風物詩にも謳われてきた賑やかな町衆の参加は叶わないようです。
その様な中、料理は秋風と共に装いを変え、新米、茸、栗をはじめ秋色濃く、香り豊かに彩りを整えてゆきます。
更に冬が近づくと、森の栄養が河に運ばれ栄養豊かな海水に乗り、魚介類にも旨みが益々増してきます。
鉢の木の料理は、例年の料理に、新たなラインナップが加わり、ウィズコロナの対策と共にテイクアウト・デリバリーが充実して参りました。
平穏な時代が続いた江戸時代には、ほぼ現在の和食は完成されたと言われております。寿司やそば切りが庶民に浸透していったのも、日本人の食に対する貪欲さかもしれません。
そして日本の弁当としての完成度は高く、パリなどにもBENTOとして浸透し弁当箱も売られているとか。このように諸外国と比べても素材のバランスや多様な調理法は、安全性と共に、群を抜いていると自負しています。まさにポストコロナに向けての和食の姿が、そこにあるように思われます。
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