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BOSS「KATANA」を買うなら「Gen3」よりも中古の「MKⅡ」のほうが良いかも知れない。
BOSSのギターアンプ「KATANA」シリーズは、音質・使い勝手が良くコストパフォーマンスにも優れており、日本だけでなく海外での人気の製品です。
「KATANA」シリーズは2024年に「Gen3」(第三世代)が発表されただけでなく、小型の「KATANA MINI X」や気軽に使える「KATANA GO」が人気のために品切れになるなど、話題の多い1年だったと思います。
私自身もBOSS「KATANA」シリーズは複数台持って自宅・スタジオ練習やライブなどで活用する場面が多いです。
その経験を踏まえた上で、この記事ではBOSS「KATANA」を買うなら「Gen3」よりも中古の「MKⅡ」のほうがコスパが良く使い勝手も良いかも知れない、という話をしたいと思います。
◆「KATANA」シリーズのラインナップ
前提として「KATANA」シリーズのラインナップについて簡単に触れておきます。
自宅で気軽に使える機種としては前記の「KATANA MINI X」や「KATANA GO」があります。
「KATANA GO」は諸事情により一度販売停止になった後、2024年末に数量限定で販売されたましたが、現在はまた在庫があまりないという状況になっています。
自宅で気軽に使える「KATANA MINI X」や「KATANA GO」は便利ですが、自宅だけでなくスタジオやライブハウスでも使うことを考えると「KATANA 50」「KATANA HEAD」「KATANA ARTIST」などのほうが汎用性があり便利です。
「KATANA 50」は重さ12kg弱と50wのアンプとしては比較的軽く、サイズもコンパクトなので、成人男性であれば車があれば気軽に持ち運べるのがメリットです。
アッテネーターで出力を0.5Wまで下げられるので集合住宅で使えるレベルまで音量を下げることもできますし、背面にヘッドホン端子が付いているので夜間であっても家族からのクレームを受けずにギター練習ができます。
そして自宅で作った音色を、ほぼそのままの形でスタジオ・ライブハウスで再現できるので、スタジオ・ライブハウスに行ってから音作りで右往左往する心配がないのもメリットです。
電車移動などがメインで「10kg以上の物体を持ち運ぶのは無理」という場合には「KATANA HEAD」が便利です。
「KATANA HEAD」は重さが9kg弱と比較的軽くサイズも「22.8センチ x 47センチx 21.5センチ」とかなりコンパクトです。
前記の「KATANA 50」とは重さは3kg程度の違いですが、サイズが小さい分持ち運びやすく、成人男性であれば電車や徒歩での移動でもあまりストレスなく持ち運べる重さ・サイズです。
「KATANA HEAD」はヘッドアンプなので、スタジオ・ライブハウスでは現場に置いてあるキャビネットに接続して使うことになりますが、出力が100Wなので小さいながらも十分な音量を出すことができます。
しかも、「KATANA HEAD」には5インチのスピーカーが内蔵されているため自宅では小音量で練習をすることができます。
ヘッドアンプと小型アンプ(KATANA MINI)が組み合わさったような1台で2種類の使い方ができる便利な製品です。
「とにかく良い音にこだわりたい」という場合には、「KATANA ARTIST」という選択肢があります。
公式サイトで「KATANA Ampシリーズの最高峰モデル」と説明されているとおり、音色を細かく設定できる機能が搭載されているだけでなく、「WAZA Speaker」というCELESTION社の「G12M Greenback」を元に独自開発された音質に優れたスピーカーが使われています。
「KATANA ARTIST」とギターさえあれば、他にエフェクターなど無くても「誰でも良い音が簡単に出せる」という非常に便利な製品です。
音作りが面倒に感じる人は、これを買っておけば音作りで悩むことはあまり無くなると思います。
「100Wのヘッドアンプ」「エフェクター」「Greenbackの入った100W入力に対応できる キャビネット」を別々に買うと安くても15万円くらいはかかるので、「KATANA ARTIST」のコストパフォーマンスは良いと思います。
スタジオ・ライブハウスに「JC-120」(ジャズコーラス)を置くくらいであれば「KATANA ARTIST」を置いたほうた使い勝手もコスパも良いのではないか、と思ったりもします。
「KATANA ARTIST」を個人で持ち運ぶ際のデメリットは重さ・大きさです。
重さは20kgちょっとで成人男性であれば片手で持ち上げることができる程度ですが、幅63センチ・高さ51センチ程度と「JC-120を少しだけ小さくしたくらい」の大きさがあります。
そのため片手・両手のどちらで持っても重心が取りづらく、30m以上持ち運ぶ際には台車がないとキツいです。
自宅や行きつけのスタジオ・ライブハウスに階段がある場合には、「KATANA ARTIST」よりも前記の「KATANA 50」や「KATANA HEAD」のほうがストレスは少ないと思います。
ちなみに「Katana Artist Head」という機種もありますが、こちらはスピーカーが搭載されておらず、しかも「KATANA 50」と同じくらいの重さがあるので、個人が購入するよりも、スタジオやライブハウスに備え置くことを前提とした製品、という印象です。
◆「Gen3」と「MKⅡ」のどちらが良いか
前置きが長くなりましたが、これから「KATANA」シリーズのアンプを購入する場合には、新しい「Gen3」(第3世代)を購入するという選択肢と、1世代前の「MKⅡ」(第2世代)を中古・新古品などで購入するという選択肢があります。
「MKⅡ」と「Gen3」の主な違いは以下のとおりです。
◇「Gen3」のほうが優れている(?)点
Bluetoothでスマホなどに接続できる
KATANシリーズは「Gen3」からBluetooth経由で、スマホなどで音楽を再生したりエフェクトをエディットしたりすることができるようになりました。
Bluetooth接続をするためには別途「Audio MIDI Dual Adaptor」という部品を購入する必要があります。
ただ「スマホでエディットできるようになった」という進化は、必ずしも「Gen3」のメリットとは言い切れない部分もあります。
まず、第2世代(MKⅡ)の「KATANA」シリーズであっても「Katana Librarian」という非公式アプリを使うと、音色をスマホでエディットできます。
「KATANA」アンプの音色をスマホで編集する詳しい方法については以下の記事を参考にしていただければです。
「Katana Librarian」の全ての機能を使うためにはアプリ内課金が必要ですが、私が2024年に購入した時は1640円だったので、前記の「Audio MIDI Dual Adaptor」よりも安いです。
「Katana Librarian」を使う場合には基本的にスマホとKATANAアンプをOTG機能に対応した有線ケーブルで接続する必要がありますが、「AIRSTEP Kat Edition」というフットスイッチを使うことでBluetooth(無線)でスマホと接続し「Katana Librarian」を使うことができるようになります。
KATANAアンプを使う際には、音色の切り替えのためにフットスイッチを購入するケースが多いですが、本家BOSS(Roland)の「GA-FC」フットスイッチよりも「AIRSTEP Kat Edition」のほうが安く販売されていることが多く、しかも「AIRSTEP Kat Edition」のほうがコンパクトです。
整理すると、KATANシリーズの「Gen3」は、無線でスマホなどで音色をエディット等できるようになったというメリットはあるものの、フットスイッチを使う人であれば「MKⅡ」でも同じようなことはでき、しかも「MKⅡ」のほうが基本的に全体で見た場合のコスパも良い、ということになります。
PUSHEDというモデリングが追加
「KATANA」アンプのGEN3(第3世代)では目玉となる追加機能としてPUSHEDというモデリングが追加されています。
KATANA GEN 3の目玉となる追加機能は、新たなアンプ・タイプ「PUSHED」です。進化したTube Logicによる更なる表現力の向上から生まれたPUSHED は、ダイナミクスの強化にスポットライトを当てており、ドライブしたヴィンテージ・コンボ・アンプのような豊かなトーンを持ち、ピッキングに忠実に反応して心地よい歪みをもたらします。
https://articles.boss.info/
MKⅡ(第2世代)では、この「PUSHED」という音色は使えないので、この音色を使いたい場合には、GEN3(第3世代)を購入する必要があります。
とはいえ、MKⅡ(第2世代)にも「ACOUSTIC」「CLEAN」「CRUNCH」「
LEAD」「BROWN」という5種類の音色があり、[VARIATION]ボタンで音色をさらに変えられるので合計10種類の音色があります。
そのため「PUSHED」という音色にこだわりがある人でなければMKⅡでも困ることはないと思います。
USB端子に「タイプC」が採用
「KATANA」アンプのGEN3(第3世代)ではUSBの端子に「タイプC」が採用されました。
これまでのBOSSの製品は「タイプB」のものが多かったのですが、自宅に「タイプB」の機器と「タイプC」の機器の両方があると、混乱することがあります。
「タイプC」が採用されたことで、スマホや他のUSB機器との間で、ケーブルを共通化できるようになるのはメリットです。
◇「MKⅡ」のほうが優れている(?)点
価格が安い
KATANAアンプの「MKⅡ」が「Gen3」よりも優れているのは、何と言っても価格だと思います。
「KATANA 50 MKⅡ」は、2022年頃までは安い時期には2万5000円程度で販売されていました。
他方で「KATANA 50 Gen3」の2024/12/26時点の価格は4万3000円程度です。
「KATANA 50 MKⅡ」は、フリマサイト・オークションサイトでは、2024年12月の時点で安いものだと2万円~2万5000円程度で取引されていますので、「KATANA 50 MKⅡ」を中古で購入する場合と、「KATANA 50 Gen3」を新品で購入する場合には、約2倍前後に価格差があります。
価格の違いの理由は、「Gen3」がBluetoothに対応したり音色が増えただけでなく、円安や材料費の高騰の影響などもあるのではないかと思います。
これはKATANAアンプに限ったことではなくエフェクターなどでも同様の状況が見受けられます。
例えば、BOSSの人気のマルチエフェクターの「GX-100 」は2023年11月頃の時点では6万円前後で購入できたのですが、2024/12/26時点の価格は7万4800円程度になっています。
2024年に「GX-100」をコンパクトにした「GX-10」というマルチエフェクターが販売されましたが、2024/12/26時点で「GX-10」の価格は5万9000円弱となっており、以前の「GX-100」と同じくらいの価格になっています。
「AIRSTEP Kat Edition」が使える
前記の「AIRSTEP Kat Edition」というフットスイッチは、KATANA「MKⅡ」で使うことができますが、2024/12月時点で「Gen3」使うことができるというアナウンスはされていないようです。
海外のredditという掲示板サイトでは「Gen 3 をサポートするファームウェア アップデートに取り組んでいる」という情報もありますが、KATANA「Gen3」で「AIRSTEP Kat Edition」を使えるようなるとしても、しばらく時間がかかるかも知れません。
https://www.reddit.com/r/BossKatana/comments/1d1p7jw/airstep_kat_on_gen_3/
前記のとおり「AIRSTEP Kat Edition」は、本家BOSS(Roland)の「GA-FC」よりも安く販売されていることが多くサイズもコンパクトなので、「AIRSTEP Kat Edition」のほうを使いたいという人にとっては現時点ではKATANA「MKⅡ」を選択したほうが無難であるように思わます。
フットスイッチの切り替えの違い
KATANA「MKⅡ」と「Gen3」ではフットスイッチの挙動が変わったようです。
「MKⅡ」ではフットスイッチを使ってチャンネル切替えの他に「BANK」を切り替えることができたのですが、「Gen3」はBANKではなく「SOLO」機能の切り替えができるようになっています。
「SOLO」はギターソロの時の音量を変えることができる機能なのですが、ギターソロの時には音量だけでなく、歪み量やトーンーも調整したいと考えるギタリストも多いと思います。
そうすると、フットスイッチで「SOLO」機能で音量だけ変えるよりも、別のBANKに歪み量やトーンを調整した音色をセットしておき「BANK」切り替えによってギターソロ用の音色に切り替えることができた「MKⅡ」のほうが個人的には便利だと思います。
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◆まとめ
以上をまとめると、KATANAアンプの「MKⅡ」と「Gen3」のどちらが良いかは以下の点を考慮して判断するのが良いのではないかと思います。
「Gen3」のほうが良いケース
・「PUSHED」という新しい音色を使いたい
・KATANAアンプ本体とスマホなどをBluetoothで接続して音色を管理したいが、「AIRSTEP Kat Edition」を購入する予定はない
・中古ではなく保証のある新品のほうが良い
・USBの「タイプB」は許せない。「タイプC」のほうが良い。
「MKⅡ」のほうが良いケース
・できるだけ安いほうが良い
・「AIRSTEP Kat Edition」(フットスイッチ)を使いたい
・フットスイッチでBANK切り替えができたほうが良い