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プロが使用する「ダイナミックマイク」と「リボンマイク」のランキング

以前に「プロが使用するコンデンサーマイクのランキング」という記事で、レコーディングスタジオに「コンデンサーマイク」が置いてある比率を整理しましたが、今回は「ダイナミックマイク」と「リボンマイク」のランキングです。

コンデンサーマイクに比べるとダイナミックマイクは感度の点では劣るものの、大音量にも耐えられる製品が多く、耐久性も高いため、ドラムやエレキギターなどのレコーディングに使われることが多いです。

「リボンマイク」はコンデンサーマイクとダイナミックマイクの間のようなサウンドと言われることもありますが、こちらも比較的エレキギターのレコーディングなどに好んで使われることが使われることが多いです。

ボーカル用のマイクを探している方は、

プロが使用する「コンデンサーマイク」のランキング

初心者におすすめのボーカル録音用のマイク

の記事も参考にしていただければです。


◇SHUREを置いている比率 【88%】


予想どおりの結果ですがSHUREのダイナミックマイクを置いてあるスタジオの比率が一番高かったです。

今回の調査結果では88%という比率ですが実際にはほぼ100%近くのレコーディングスタジオにSHUREのダイナミックマイク置いてあると思います。

「置いているのが当然」のマイクなので機材リストに敢えて載せていないというスタジオもあるのかも知れません。


SHURE  SM57 【78%】

SHUREのダイナミックマイクの中で置いてある比率が最も高かったのが「SM57」です。

頑丈で壊れにくく、大音量の楽器を録音する時でも音が割れにくいため、エレキギターやドラムの録音などに使われることが多いです。

稀にロック系のボーカルの録音でSM57を使うこともあったりします。

SM57は価格は安い機種ですが実力のあるボーカリストが使うと1万円程度のマイクで録ったとは思えないような仕上がりになることもあります。

Superflyの「愛をこめて花束を」という名曲がありますが、声量が凄すぎてNeumann U47で録音すると歪んでしまうのでSM57で録音したという伝説的な逸話が有名だったりしますが格好良いですよね。

事前にデモを聴いてあの声ならNeumann U47、Neve 1073、Urei 1176で録るのが良いだろうと話をしていたんです。ところが当日そのセッティングでやると歪んじゃうんですよ。ものすごく絞っても歪んでしまう。歌は素晴らしいすてきなテイクで何の問題ない。彼女はマイクとの距離を抑揚に合わせて調整しながら歌うんですけど、それでも歪んじゃう。後で調べて見たらマイクロフォンのフラムが負てしまっていた。そこで絶対に歪まないセットで録ろうということになってあの曲は、Shure SM57で録ったんですよ。録音した時の設定を見たら、ギターのマーシャルを爆音を鳴らした時の設定を同じでした(笑)

「Maruni Studio チーフ・エンジニア 中原正幸 インタビュー」© Hookup, Inc.  



SHURE  SM58 【72%】

SM57に次いで多かったのが練習用スタジオなどに置いてある定番のボーカル用マイクの「SM58」です。

SM58とSM57は基本的にほぼ同じ設計ですが、グリルの設計が異なっています。

Shureの SM58 と SM57の違いは何?
SM57 マイクロホンとSM58 マイクロホンは、同じカートリッジ設計で、主な違いはグリルの設計です。

SM58 はボーカル用途向けに設計されています。そのため、破裂音を取り除くためにポップフィルターが内蔵された球型グリルが装備されています。

SM57 は楽器用マイクロホンとして設計されています。破裂音を考慮する必要がないので、グリルのサイズを小さくして実用的にしました。SM57 にはポップフィルタリング機能のある球型グリルがありません。それに代わって、レゾネーター/グリルアセンブリーが内蔵されています。グリルはカートリッジの一部です。

 「SM58とSM57の違いはなんでしょうか?良くある質問にお答えいたします!」
© 2009-2024 Shure

SM58も非常に頑丈なマイクで、プロレスラーがマイクパフォーマンスでリングに叩きつけているマイクもSM58だったりしますし、軽音部の部室にあるグリルが変形してボロボロになったマイクもSM58だったりします。

そのくらい耐久性が高くなかなか壊れないのでスタジオの備品として長く使えるというのも大きなメリットの1つだったりします。

SM58は「声がこもる」「通らない」と言う人もいますが、経験のあるボーカリストが使うとSM58でも十分に綺麗なサウンドで録音できるので、実力の差が分かりやすく、誤魔化しが効かないマイクでもあったりします。



SHURE BETA57 【41%】

「BETA57」はアコースティック楽器、エレキギター、ドラムなどの録音に使われることが多いマイクです。

SM57と似ていますがグリルに青い線が入っているのが特徴的で遠くで見ていても「あの人はBETA使っているな」と一見して分かりやすかったりします。

SM57よりも高域の「抜け」が良くボーカル用として使われることもあります。



SHURE BETA52A 【28%】

「BETA52A」は見たことがない人もいると思いますが、主にバスドラム、ベースアンプなどの低音楽器など録音に使われることが多いダイナミックマイクです。


SHURE  SM7B, SM7A 【19%】

SHURE の「SM7B」は配信用のマイクとして使われることも多いためYoutubeなどで見たことがある人も多いと思います。

SM7はマイケルジャクソンがスリラーのレコーディングに使ったことでも有名だったりします。

SM7 は録音スタジオでも活用されるようになりました。マイケル・ジャクソンの画期的なアルバム「スリラー」が良い例です。伝説によれば、クインシー・ジョーンズとレコーディング・エンジニアであるブルース・スウェディンは SM7 をマイケルのほとんどのボーカル、ヴィンセント・プライスのすべてのボーカルで使用しました。

「SHURE SM7 (B)の歴史 ~ 強化された SM57」© 2009-2024 Shure

SHUREのウェブサイトにはSM7について「強化された SM57」との記載もあり、SM57に比べると以下のような特徴があるとされています。

・SM7B のダイアフラムは幾分異なり、低域特性を強化するために最適化されています。
・SM7B のハウジングは大きいので、カートリッジの後ろのリアボリュームを大きくして低域特性を拡張します。
・SM7B の内部ショックマウントは スタンドの振動を低減するように最適化されています。それに対して、SM57/SM58 内のショックマウントはハンドヘルド用途の場合の雑音を低減するように最適化されています。

「SHURE SM7 (B)の歴史 ~ 強化された SM57」© 2009-2024 Shure

SM7Bを使う際には「約60dB以上のクリーンなゲインが必要」とされているため宅録用のオーディオインターフェイスの場合、十分なゲインを稼げない可能性があります。

「SM7dB」というプリアンプの付いた機種もありますので、購入を検討している方はお持ちのオーディオインターフェイスやマイクプリアンプの性能を考慮した上で、どちらを選ぶか検討されるのが良いと思います。



SHURE  BETA58 【16%】

ライブ用のボーカルマイクとして人気の「BETA58」は個人的にも大好きなマイクですが、意外に置いてある比率は低めでした。

一般的な練習スタジオやライブハウスにおいてあるSM58よりも高域の抜け感が良いため「マイマイク」として持ち歩いているボーカリストも良くみかけます。

プロのアーティストの間でもライブでBETA58を使われることも多いでうs。

「凛として時雨」のTKさんが FIRST TAKEでBETA58を使っていますが格好良いですね。

「BETA58」の購入を検討している方に注意していただきたいのが「偽物が多く出回っている」という点です。

中国の通販サイトなどでBETA58の模造品が安く販売されているのですが、安い模造品をフリマサイトやオークションサイトで転売しているのではないかと思われる事例を見かけます。

そのためBETA58を買う場合には信頼のできる販売店から購入したほうが安心だと思います。


◇SENNHEISER を置いている比率 【84%】


ヘッドホンでも有名なSENNHEISERですが、多くのレコーディングスタジオにはSENNHEISERのダイナミックマイクも置いてあります。

SENNHEISER  MD421 【81%】

SENNHEISERの中でもダントツで置いてある比率が多かったのがMD421です。

レコーディングスタジオで録音をしたことがある人は「見たことがある」という人も多いと思います。

「クジラ」という愛称で呼ばれる独特な形をしたダイナミックマイクで、ドラムのキック、タム、エレキギターなどの録音に使われることが多いです。

歴史の長いマイクで白色の「白クジラ」と呼ばれる珍しい機種があったりもします。


SENNHEISER  MD441 【16%】

MD421に次いで多かったのが「MD441」です。

ダイナミックマイクとしては高額ですが、メーカーが「コンデンサーマイクロホン級のサウンドクオリティを実現したダイナミックマイク」と謳っているとおり、ちゃんとしたマイクプリアンプを通して録音するとコンデンサーマイクに近い繊細な音になります。


その他のSENNHEISERのダイナミックマイク

ボーカル用マイクとして人気の「E935」は0%、「E945」は3%という結果でした。

レコーディングスタジオでボーカルを録音する際はコンデンサーマイクを使うことが多く、ダイナミックマイクで録音する際にはSHUREを使えば良いという判断になることも多く、そのため「E935」や「E945」を置いてあるスタジオが少ないのかも知れません。

個人的に「E935」「E945」は好きなマイクですし、ボーカル用のステージマイクとしてはお薦めです。

「周りのボーカリストがBETA58ばかりなので差別化を図りたい」という場合に選択肢に入れても良いマイクではないかなと良いと思います。



◇audio technica を置いている比率 【81%】


コンデンサーマイク編では置いてある率がやや少な目であったaudio technicaですが、ダイナミックマイク編ではSHURE、SENNHEISERに次いで3位という結果になりました。

audio technica  ATM25 【75%】

「ATM25」は音圧の高い楽器を近くから録る性能に優れており、ドラムのキック、ベーアンプなどの録音に使われることが多いです。

独特な見た目をしており多くのレコーディングスタジオに置いてあるので「見たことがある」という人も多いと思います。

ゼンハイザーのMD421よりも価格はだいぶ安いですが「キックを録るならMD-421よりもATM25のほうが良い」という人も多く、日本メーカーらしい非常のコストパフォーマンスの高いダイナミックマイクです。


audio technica ATM23 【9%】

「ATM23」はATM25と少し似たような見た目をしていますが、スネアやタムなどの録音に適したマイクです。


audio technica AE2500 【9%】

「AE2500」はコンデンサー型とダイナミック型の2つのユニットが入っているため、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの両方の特色を持ったバスドラム用のマイクです。


◇Electro-Voiceを置いてある比率 【44%】


Electro-Voice RE20 【28%】

Electro-Voiceの「RE20」はダイナミックマイクとしては高額な機種で、見た目もゴツゴツしていて「業務用機」という印象の見た目です。

ラジオの収録などで使われることも多かったマイクですが、レコーディングの現場ではギター、ベースアンプ、ドラム、パーカッションなど、様々な楽器の録音に使われています。



Electro-Voice  N/D408b 【13%】

Electro-Voice の「N/D408b」というマイクを置いてあるスタジオも13%ありました。

ドラムのタムの録音などに使われることが多いようです。


◇ROYERを置いてある比率 【34%】


ROYER R-121 【28%】

ROYERの「R-121」はエレキギターなど高音圧の楽器の録音に使われることの多い「リボンマイク」です。

SHUREの「SM57」と組み合わせてエレキギターの録音をするという方法もよく用いられますし、アンプシミュレーターやギターアンプのキャビネットIRでもR-121を選べるようになっているものが多いです。

基本的にリボンマイクの中には薄いリボン状の金属箔を吊り下げられていて、音による空気の密度の違いによってリボンが前後に動き、電磁誘導による電力をトランスによって昇圧して出力するという方式になって、

そのため昔のリボンマイクは大きくて重いものが多かったです。

またリボンマイクは大きな音もナチュラルなサウンドが録音できるというメリットがある一方で、風や衝撃に弱いというデメリットもあります。

しかし、R-121はコンパクトで耐久性にも優れているため多くのレコーディングスタジオに愛されて使わているのだと思います。

ROYER R-122  【9%】

R-122はR-121よりも感度と出力を挙げて、小さい音量の楽器なども効率よく録音できるタイプのマイクです。


◇YAMAHAを置いてある比率 【28%】


YAMAHA SKRM100 SUBKICK 【25%】

レコーディングスタジオあるヤマハのマイクは、ほとんどが 「SUBKICK」というドラムのキック用のマイクです。

以前からNS-10M(テンモニ)というモニタースピカーのウーハーを外してキックを録音するという手法があったのですが、それを簡単にできるように製品化されたのが 「SKRM100 SUBKICK」です。


◇AUDIXを置いてある比率 【22%】


AUDIX (オーディックス)と言えばボーカリストの人にとっては「OM」シリーズなどのハンドヘルドタイプのボーカル用マイクを思い浮かべる人も多いと思いますが、レコーディングスタジオの置いてあるAUDIXのマイクの多くは楽器録音用でした。

安くで品質が良いためドラムの録音などのためにマイクの本数を揃えたい時には強い味方になってくれるメーカーだと思います。



AUDIX D-2 【13%】

「D-2」はドラムのタムの録音で評価の高いダイナミックマイクです。

AUDIX D-4 【13%】

「D-4」は様々な楽器の録音に使えるマイクで高音圧の楽器の録音にも便利です。

ドラムのキックやベースなどの低音楽器やエレキギターの録音などに使うことが多いと思いますが、フロアタム、ブラス、パーカッション、ピアノなどの録音にも使えます。


AUDIX D-6 【9%】

「D-4」は低音楽器用のダイナミックマイクです。

ドラムのキック、フロアタム、ベースの録音などに使われることが多いですが、ボイスパーカッションなどに使っても面白いと思います。



◇色々なダイナミックマイクのサウンドを試す方法

スタジオでは様々なダイナミックが使われているため、あれもこれも買いたくなってしまう人も多いと思います。

マイクを色々と買い集めるのも楽しいですがUniversal Audio の「SD-1」に付属するHemisphereというプラグインを使うと、Shure SM7、Electro-Voice RE20、RCA 77、BeyerDynamic M 88、SENNHEISER MD 441といった高額なマイクのモデリングを使うことができます。


またエレキギターの録音用のマイクについては、IK Multimediaの「AmpliTube」のキャビネットシュミレーターで様々なマイクのIRを試すことができたり、マイクの位置の違いによるサウンドの変化などを楽しむことができます。


自分にとってどのようなマイクが良いか全く分からないという場合には、一度モデリングマイクで様々なマイクのサウンド特性を掴んでみると、その後に迷子になりにくいと思いますので、高額なマイクを買う前にこういったプラグインで色々と試行錯誤してみるのも良いと思います。






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