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【DTM】LANDR「Super Plugin Bundle」のレビュー

ブラックフライデーセールでLANDRの「Super Plugin Bundle」が安くなっていたので購入しました。

2024年11月24日時点で価格は1万3350円。

このバンドルには、以下のプラグインの永久ライセンスが含まれています。

VocAlign 6 Standard
RePitch Standard
LANDR Mastering Plugin SE
LANDR Composer
LANDR Synth X
LANDR Guitar
LANDR FX Suite
Chromatic

特に注目すべきは、「VocAlign 6 Standard」と「RePitch Standard」のコストパフォーマンスです。

他のショップでの価格を調べてみると、2024年11月24日時点のブラックフライデーセールでも以下の価格でした:

VocAlign 6 Standard: 1万5152円
RePitch Standard: 1万2769円

これらを単体で購入すると約2万8000円。

それが1万3350円でバンドルとして入手できるのは非常にお得だと思います。

しかし、このように安いにもかかわらず、ネット上ではあまり話題になっていないのが少し気になりました。

「何か裏があるのかな?」と心配にもなりましたが、興味本位で購入してみました。

各プラグインの使い勝手や使用感についてレビューしていきたいと思います。


◆バンドル全体として

前述のとおり価格が異常に安かったため少し不安もありましたが、購入した各プラグインは問題なく使用できました。

LANDRのサイトでバンドルを購入すると、「プラグイン」という専用画面からプラグインをダウンロードしたり、ライセンスコードを確認することができます。

ただし、少し面倒に感じる点もありました。

面倒だった点


・各プラグインを個別にダウンロード・インストールする必要がある

・アクティベートを何度も行う必要がある

最近のプラグインは「プラグインマネージャー」的なソフトウェアをダウンロードすることで一括してダウンロード・インストール・アクティベートできるものも増えてきましたが、LANDRのプラグインは現時点では1つ1つ個別にダウンロード~アクティベートの作業をする必要があるので面倒に感じました。

「LANDR FX Suite」には5種類のエフェクトプラグインが含まれているですが、こちらも個別に作業をする必要があるので、他のプラグインも含めると15回くらいダウンロード~アクティベートの作業を繰り返す必要があります。

ただ他メーカーのように「プラグインマネージャー」的なソフトウェアをインストールする方式の場合にはSSD・HDDの容量を圧迫することになりますので、LANDRのように個別にダウンロード~アクティベートするほうが良いというDTMerもいると思います。

また、私のネット環境の問題かも知れませんが「LANDR Guitar」というプラグインについてはダウンロードで5回くらいエラーを吐いて、なかなかダウンロードできなかったのも少しイライラしました。

次に個別にプラグインのレビューをしたいと思います。


◆LANDR Mastering Plugin

「LANDR Mastering Plugin」は自動でマスタリングをしてくれるというお手軽ツールです。

「LANDR」ではオンラインでマスタリングをしてくれるサービスがありますが、オフラインでDAW上でマスタリングツールを使えるようにしたのが「LANDR Mastering Plugin」のようです。

購入ページでは「LANDR Mastering Plugin SE」という表示になっていましたが、実際に立ち上げてみると「LANDR Mastering Plugin Standard」という名前になっていました。

使い方は簡単でマスターに「LANDR Mastering Plugin」をインサートして、楽曲を再生すれば自動でマスタリングをしてくれます。


マスタリング後には「LOUDNESS」というノブでマキシマイザーのかかり具合を調整できます。

右下にラウドネス値が表示されるので、これを見ながら調整していくの良いでしょう。

お手軽ツールとしては面白い試みですが、細かい調整が出来ないため物足りなく感じました。

iZotopeの「Ozone」やIK Multimediaの「Lurssen Mastering Console」「Master Match」の方が細かい調整が可能で使い勝手が良いと感じます。


◆LANDR Composer

「LANDR Composer」は自動作曲してくれるツールです。

実際に試してみたところ、昔ながらの作曲ツールという印象で、目新しさや斬新さはあまり感じませんでした。

Suno AIなどの最新のAI作曲ツールを使い慣れている人にとっては、「数世代前の古いプラグイン」と感じるかもしれません。

特徴と使いどころ


プラグイン上部にある星型のボタンを押すと、新しい楽曲を次々と生成してくれます。

この機能は、曲制作で行き詰まった際の「アイデア発生器」として役立つ可能性があります。

ただし、生成される楽曲のクオリティや新鮮さに大きな期待をするよりも、補助的なツールとして捉えるのが良いでしょう。


◆LANDR Synth X

「LANDR Synth X」は、その名のとおりシンセサイザーです。

使用感


サウンドは、昔のDAWにデフォルトで入っていたシンセサイザーを彷彿とさせる、少し古めかしい印象を受けました。

最新のシンセサイザープラグインと比べると、音質や表現力の面で物足りなさを感じるかもしれません。

特徴と使いどころ


右上にある「Randomize」ボタンを押すことで、新しいサウンドを次々と生成することができます。

この機能を活用すれば、効果音的なサウンドをほぼ無限に作成可能です。

そのため、効果音制作が必要な場面では便利なツールとなるでしょう。


◆LANDR Guitar

「LANDR Guitar」は、ギターのサンプル集とエフェクターがセットになったようなプラグインです。

使用感


プラグイン下部の鍵盤を押すことで、録音されたギターのサンプル音を再生できます。

ただし、これはあくまでサンプル音であり、演奏方法やコード進行を自由に変更することはできません。

ただし、右上の「Select Keys」でキーを指定すると、トランスポーズ(移調)をすることが可能です。


メリット


「LANDR Guitar」は鍵盤を押すだけで簡単にサンプル音を鳴らせるため、即興的な音作りやアイデア出しには便利です。

また、内蔵されたエフェクターでサウンドを簡単に加工できる点も魅力です。

他ツールとの比較


たとえばSpliceなどのサンプルライブラリを使う方が、サンプルの種類が豊富で効率的に感じる場合もあるでしょう。

しかし、「LANDR Guitar」はプラグイン内で直感的に操作できるため、サンプルの選定からサウンド加工までを一つの環境で完結させたい場合には有用だと思います。



◆LANDR FX Suite


「LANDR FX Suite」は、ワンノブで操作可能なエフェクトを5種類収録したプラグインセットです。

特徴

このプラグインのコンセプトは、WAVESの「OneKnob Series」に似ています。

大きな違いとして豊富なプリセットが用意されている点が挙げられます。

たとえば、「LANDR FX Voice」(ボーカル用エフェクト)の場合、以下のようなカテゴリごとにプリセットが整理されています:

ボーカル
EQ
リバーブ
ディレイ
コンプレッサー
サチュレーション
FX

各カテゴリにはさらに数種類のプリセットが含まれており、全体で数十種類のプリセットが用意されています。

使用方法


カテゴリを選択
たとえば、ボーカルにリバーブをかけたい場合、「LANDR FX Voice」をトラックに挿入し「リバーブ」カテゴリを選択します。

プリセットを選ぶ
カテゴリ内のプリセットから適切なものを選択します。

「BLEND」ノブで調整
ワンノブ操作でエフェクトの掛かり具合を調整します。

メリット・デメリット


エフェクトの細かい設定が分からない人や、素早く仮のサウンドを作りたい場合に便利なツールです。直感的な操作性により、複雑なエフェクトチェーンを考える必要がなく、簡単に音作りを始められます。

デメリットとしては「コンプレッサー」「リバーブ」などのカテゴリからプリセットを選んだ場合、エフェクトが1種類しか掛けられないため、複数の種類のエフェクトを掛けるためには「LANDR FX」を複数インサートする必要があります。

複数のエフェクトを同時に掛ける場合にはWAVESの「Chris Lord-Alge Signature Series」などのお手軽系プラグインのほうが便利だと思います。

以下、「LANDR FX Suite」に含まれている各プラグインの内容について説明します。


LANDR FX Voice


ボーカル用のエフェクトです。
以下のカテゴリからプリセットを選択できます
EQ
リバーブ
ディレイ
コンプレッサー
サチュレーション
FX

LANDR FX Bass


ベース用のエフェクトです。
以下のカテゴリからプリセットを選べます:

ミックスツール
アンプ
モジュレーション


LANDR FX Beats


ドラム用のエフェクトです。
次のカテゴリがあります:

ドラムキット(ドラム全体用のエフェクト)
キック
スネア
シンバル
EQ
FX


LANDR FX Acoustic


アコースティック音源やオーケストラの楽器用のエフェクトです。
カテゴリは次の通りです。

クリエイティブ
リバーブ
ディレイ
FX
EQ


LANDR FX Electric


エレキギターやシンセトラック用のエフェクト。
以下のカテゴリから選べます:

クリエイティブ
リバーブ
ディレイ
FX
EQ

「LANDR FX Suite」の各エフェクトプラグインは、特定の楽器や音源に特化した設定が用意されており、ジャンルや用途に応じて選択しやすくなっています。

◆Chromatic

「Chromatic」は鍵盤でサンプル(ループ音源)を再生できるプラグインのようです。

前記の「LANDR Guitar」の全体版という感じだと思いますが、私はサンプルは基本的にトラックに直接貼り付けることが多いため「Chromatic」はインストールしませんでした。

ライブなどでパッドや鍵盤を使ってDJ的に様々なサンプルを再生したい場合には便利かも知れません。


◆「VocAlign 6 Standard」「RePitch Standard」

「VocAlign 6 Standard」と「RePitch Standard」については、別途以下の記事で詳しくレビューしていますが、この2つのプラグインの永久ライセンスを安く入手できる点こそが、LANDR Plugin Bundleの最大の魅力だと思います。


◆まとめ

正直なところ、「VocAlign 6 Standard」と「RePitch Standard」を除くと、他のプラグインはオマケ的な印象が拭えません。

すでにマスタリング用のプラグインやシンセサイザーを持っている人にとっては、VocAlignとRePitch以外のプラグインは「あれば便利だけど、なくても特に困らない」と感じるかもしれません。

ただし、「LANDR FX Suite」は、初心者だけでなく、仮音源を素早く作りたい上級者にも有用なツールかも知れません。

ちなみに、VocAlign 6 Standardは、2024年11月24日時点でLANDRの公式サイトで5970円という破格の価格で単体で購入することができます。

RePitchもElements版ですが、2675円で手に入ります。

そのため、VocAlignとRePitchが目当てであれば、バンドルではなく個別購入を検討する価値があるでしょう。

さらに、LANDRでは配信サービスやサンプル、プラグイン利用権がセットになったサブスクリプションも提供されています。「とりあえず試してみたい」という場合には、サブスクのほうがコストを抑えられる場合もあるので、選択肢として検討してみるのも良いと思います。







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