音質(出力音)の良いオーディオインターフェイス(DAC)
以前に「初心者におすすめのオーディオインターフェイス」という記事で初心者向けのオーディオインターフェイスについて書かせていただきました。
しかし、経験が増えるにつれて「もっと音質の良いオーディオインターフェイスが欲しい!」という気持ちが芽生えてくることも多いので、今回は「音質」の良さで定評のあるオーディオインターフェイスを紹介していきたいと思います。
ちなみに今回の「音質」は出力音(メインアウト端子から出力される音)を基準に紹介をしています。
というのも、楽器などを録音する際に「入力」の音質については各メーカーによって個性があったり、聞き手や用途によって評価が異なることが多いからです。
「録音」に便利なオーディオインターフェイスについては別途紹介しますので、録音を重視される方はそちらの記事も参考にしてみてください。
◆オーディオインターフェイスの「音質」の良し悪しはどうやって判断するのか
「音質(出力音)の良いオーディオインターフェイス」といっても、何をもって「音が良い」と言えるのかはっきりしないレビューなどもあったりします。
一番確実なのは実際に使ってみて自分の耳で聞いてみることです。
私自身も様々なメーカーのオーディオインターフェイスを買って使ってみては売って・・・ということを繰り返してきましたし、機会がある度に他の方が使っているオーディオインターフェイスの音を聞いてみたりすることもありますが、それでも世の中の全てのオーディオインターフェイスの音質を自分の耳で比較することは出来ません。
また多くの人にとってもオーディオインターフェイスを何台も買ったり試してみるのも難しいことが多いと思います。
そこで買う前に「音質」の良さを判断するいくつかの方法についても触れておきたいと思います。
◇エンジニアさん、職業作曲家さんなどの話を聞いたり、プロが使っている機材を試してみる
エンジニアさんや職業作曲家の方の多くは「良い音」を求めて彷徨い続けている人も多く、機材の購入費用も経費になるため、様々なメーカーの機材を試していたり、仕事仲間との間で定期的に情報交換をしている人も多いです。
またレコーディングスタジオによっては新しく機材を入れる際に各メーカーから試供品を借りて実際に使ってから買うかどうかを判断しているところもあります。
そのため、エンジニアさんや職業作曲家さんが実際に仕事で使っている機材は音質が良かったり、機能面で優れているものが多いです。
とはいえ「エンジニアや職業作曲家の知り合いなんていない」という人も多いと思います。
そんな時にはレコーディングスタジオを併設している貸スタジオの店員さんや、ライブハウスのPAさんなど仲良くなって話を聞いてみると有益な情報を得られることもあります。
あと最近ではウェブサイトや「X」(Twitter)などで使用機材についてコメントしているプロの方も多いので、そういうった情報も参考になります。
「サウンド&レコーディング・マガジン」(サンレコ)などの雑誌でも、オーディオインターフェイスの特集記事が組まれていたり、プロの使用機材が紹介されていることもあります。
ただ雑誌の記事の中には広告的な意味合いの記事が含まれていることもあるので、参考にする時には様々な情報を集めてから判断したほうが安心だと思います。
サンレコなどの雑誌はKindle Unlimitedに登録すればバックナンバーを含めて一気に読むことができるので、複数の情報を集めることができますし、プロの使用機材や最近のトレンドを確認したい時には便利です。
◇他の人が良いと言っている機材を試してみる
プロ以外の人でもDTMや音楽をやっている知人の意見も参考になることが多いです。
DTMの世界では「結局多くの人が使っている機材が最も無難である説」が有力で、他の人があまり使っていないマニアックな機材を買うよりも、多くの人が使っている機材を最初から買ったほうが失敗する可能性が低いという傾向があります。
知人であれば試しに音を聞かせてもらったり率直な感想を聞かせてもらいやすいと思いますし、意外に周囲の人の情報や評価も参考になることが多いです。
◇スペックや実測値などを参考にする
スペックや実測値を過信しすぎるのは良くないと思いますが、メーカーが公表しているスペックや、有志の方々が計測した数値なども参考になります。
例えばメーカーが公表していることの多い数値として「ダイナミックレンジ」という「最も大きな音と小さな音の差」を表す指標がありますが、一般的にはダイナミックレンジの数値が大きいほうが、細かい音(小さい音、減衰する音の切れ際)なども把握しやすくなる傾向があります。
ダイナミックレンジは110dB程度を超えていれば十分だという人もいますし、最近のオーディオインターフェイスは性能が良くなっているのでダイナミックレンジは重要視しなくても良いという意見もありますが、最近のオーディオインターフェイスでは130dB近い機種などもあり、一般的にはダイナミックレンジの大きい機種は全体的な性能も高い傾向にあります。
またメーカーが公表している数値以外でも、海外の「Audio Science Review 」というサイトで実測値が公表されている機種もあります。
公表されている数値は様々ですが議論の対象になることが多いのが「DAC Distorton and Noise」(SINAD)という「歪み」と「ノイズ」の少なさを表す数値で、一般的にはこの「SINAD」の数値が大きいほうが音質が良いと感じる傾向があります。
「SINAD」の数値は以下のサイトの各オーディオインターフェイスのレビュー記事の中にある「DAC Distorton and Noise」(SINAD)という画像を拡大すると、各機種の数値が分かります。
この「SINAD」は100程度を超えていれば十分で高すぎても人間の耳には判別が困難という意見もありますが、最近のオーディオインターフェイスでは低価格のモデルでも110を超えているもの出てきていたりと、スペックを巡る各メーカーの競争が激化しているという印象です。
そのような状況の中では「SINAD」は高ければ高いほうが良いと考えるのではなく、「極端に低すぎないか」という見方で参考にしたほうが良いように思われます。
◇オーディオインターフェイスの内部にあるDACについて
オーディオインターフェイスの内部には「DAC」(デジタルアナログコンバーター)と呼ばれる、デジタル信号(パソコンの中にあるデータ)をアナログ音声(スピーカーやヘッドホンで聴ける音声)に変換するための小さな機械が搭載されています。
オーディオインターフェイスの音質はこのDACだけで決まる訳ではありませんが、実際に耳で聞く「アナログの音声」を作り出す重要な部品であるため、品質が良いDACが搭載されている機材は、出力音の音質も良くなりやすい、という傾向があります。
◇クロックについて
「クロック」もオーディオインターフェイスの音質で問題になる大事な要素です。
オーディオインターフェイスなど音声信号を扱う機器では「音」を一秒間に数万分の1に分解することでデジタルの信号にしています。
たとえばCDの規格である「44.1kHz」は1秒の音を4万4100分の1に分解してデジタルデータに変換しているのですが、この音を分解する時のタイミングにズレがあると音質に影響を与えてしまいます。
そこでオーディオインターフェイスの中には「クロック」と呼ばれる音を正確なタイミングで分解するためのシステムが入っているのですが、高品質なクロックはタイミングの「揺らぎ」(ジッター)が少なく、音質が良いという傾向があります。
オーディオインターフェイスの中にはこの「クロック」の品質を売りにしている機種もあります。
たとえばANTELOPE AUDIO ( アンテロープオーディオ )という会社は元々マスタークロック(各機材のクロックを合わせるための高級機材)で有名なメーカーで、同社が販売しているオーディオインターフェイスは優れたクロックに関する技術による音質の良さを売りにしています。
またRMEのBabyface Proなどの「FS」という品番が付いている機種もクロックの正確さを売りにした機種です。
このようにオーディオインターフェイスの「音質」を決める要素は複数あります。
以下の記事では上記のような判断基準に個人的な意見を合わせて「音質が良い」という定評のあるオーディオインターフェイスを紹介していきますが、可能であればお店などで実際に試聴してみて自分の好みに合うかを確かめてみることも強くおすすめします。
★Aランク
☆MOTU ( モツ ) / M2、M4、M6
「M2」の参考数値
ダイナミックレンジ(アウトプット)120 dB
SINAD 111( Audio Science Reviewによる計測値)
「初心者におすすめのオーディオインターフェイス」という記事でも紹介した機材ですが「低価格帯ながら音質が良い!」と爆発的な人気となり、低価格モデルの音質競争の引き金になったのがMOTUのMシリーズです。
私はMOTUの「M2」販売間もない時期に買ったのですが人気がありすぎて国内には在庫がなく、海外から個人輸入して買ったという程、販売当初から売れていた機種でした。
MOTUの「M」シリーズが革新的だったのは、それまで数十万円クラスの高級なオーディオインターフェイスに搭載されていたDACを数万円の機器に搭載してしまったという点と、その搭載しているDACの製品名を具体的に明示したところにあったと思います。
MOTUは以前から音の良さには定評がありましたが低価格モデルの「M」シリーズも音が良く、販売当初は他に高音質を売りにした低価格モデルがなかったため海外でも日本国内でもお祭り騒ぎのような売れ方をしていました。
最近では他社からも低価格で高音質なモデルが販売されているためMOTU一強という状況ではなくなってきましたが、知名度が一気に上がったこともあり今でも人気で時々在庫切れになるくらいの人気があります。
アウトプットのダイナミックレンジは120 dBと十分で、Audio Science ReviewにあるSINAD も111と他の高級機種よりも数値が高く十分過ぎる数値です。(10万円以上するRMEのBaby Face Proの107よりも高い数値)
MOTUの「M」シリーズは出力音の音質にコストを全振りしている印象で、今流行りのDSP(パソコンのCPUに依存せずにエフェクトを掛け録りしたりする機能)などは付いていませんし、ミキサー機能なども付いていません。
ただし機能がシンプルな分、物理的なノブやスイッチでほとんどの作業が出来てしまうため、初心者にとっては迷う部分がなく使いやすい、というのも人気の原因の1つだと思います。
入力の音質ついては他の機種に見劣りするという意見もありますが、価格を考えると入力(録音)の品質が普通で、出音の品質が高いという立ち位置の機種だと思います。
☆AUDIENT iD4mkII シリーズ
AUDIENT「iD4mkII」シリーズは、MOTUの「M」シリーズを倒しに来ているな・・・と感じさせる価格帯のオーディオインターフェイスです。
DACのダイナミックレンジは126dBとMOTUの「M」シリーズを上回っており、実際に使ってみて音が良かったという声が多いですし、「音質に満足できなかった」という声は聞いたことがないです。
分解してみたらDACに数十万円クラスのオーディオインターフェイスに搭載されているものと同じ部品が使われていたという情報もあるので、出力系統には良い部品を使されているものと思われます。
また入力(録音)の音質も良いという意見が多いです。
特に「 iD24」や「iD44mk2」についてはセンドリターン端子が付いているため外部のプリアンプを使う際にオーディオインターフェイス内部のプリアンプをバイバスできたり、ADAT端子で入出力端子の数を拡張できるのもメリットで、入力・出力ともに隙がない機種だと思います。
☆FOCUSRITE ( フォーカスライト ) / Clarett+シリーズ
FOCUSRITEのオーディオインターフェイスと言えば初心者向けのScarlettシリーズのイメージの人も多いと思いますが、FOCUSRITEは業務用の高価格帯の音響機器も販売しているメーカーで、その品質には定評があります。
そのFOCUSRITEが本気を出して作ったんだろうな、という意気込みが感じられるのがClarett+シリーズです。
出力のダイナミックレンジは124dBと高く、こちらも分解してみたところDAC、ADCともに数十万円クラスのオーディオインターフェイスに搭載されているものと同じ部品が使われていたという情報があり、実際に出力音を聞いてみても良い音質であることは間違いないと感じます。
AUDIENT「iD4mkII」シリーズや、MOTUの「M」シリーズよりも価格は高いですが、これはFOCUSRITEのブランド力と、有名なFocusrite ISA 110マイクプリアンプのサウンドを再現した入力系統にコストをかけているからであると思われます。
出音の良さだけでなく入力音にも拘りたいという人にはコストパフォーマンスが良いモデルだと思われます。
☆RME ( アールエムイー ) / Babyface Pro FS
ダイナミックレンジ:115 dB
SINAD 107( Audio Science Reviewによる計測値)
かなり前から宅録用・ポータブル用の小型オーディオインターフェイスとして王者的な存在感があるのがRMEの「Babyface Pro FS」です。
モデルチェンジ前の「Babyface Pro」(FSが付かないモデル)の時から、その音質の良さ、安定性、付属ソフトの使い勝手の良さなどで評価が高く、プロを含め多くのミュージシャンに信頼されてきた機種です。
「Babyface Pro FS」のダイナミックレンジは115 dB、SINADは 107と最近の高音質を謳う他のモデルと比べると数値上は若干見劣りする部分がありますが、正確なクロックを売りにしていることもあり、実際に聞き比べてみても「Babyface Pro FS」の音質は非常に良く、人によっては「やっぱりBabyface Pro FSの音が一番が信頼できる」と感じる人は今でも多いと思いますし、公式が発表しているスペック以上に信頼性の高い機種です。
「Babyface Pro FS」の出音は「計測機器っぽい」「音楽的でない」と言われることもありますが、派手な色づけなどもなく信頼感のある音を再現してくれます。
以前は10万円前後で買えるモデルでしたが円安の影響もあり価格が上がっており、他のメーカーから安くて音質の良いモデルが出ていることも考えると、RMEの製品は割高感があることは否めないところです。
ただRMEのオーディオインターフェイスには「TotalMix」という非常に便利なミキシング、モニタリング用のソウトウェアが付属しており、DTMerの中には「TotalMixがないと生きていけない身体」にされてしまったという人も少なくないです。
音質だけでなく、安定性、信頼性、そして便利なソフトウェアが欲しいという人にとっては価格以上の価値のあるオーディオインターフェイスだと思います。
RMEは「Fireface UCX II」という上位機種も販売していますが、個人的には「Babyface Pro FS」と「Fireface UCX II」の音質はそんなに変わらないかなとという印象を持っています。
ただ「Fireface UCX II」は入出力端子も多く「TotalMix」の使い勝手の良さも合わせて考えると、自宅用としては最強のオーディオインターフェイスと言っても過言ではないかも知れません。
敢えてRMEのデメリットを挙げるとすれば、安定性やTotalMixの使い勝手の良さから一度使うとRME信者になってしまいRMEの世界から抜け出せなくなる人が多いという点だと思っています。
★★Sランク
これまで紹介したオーディオインターフェイスも十分音質は良いのですが、個人的に、より音質が良いと感じたオーディオインターフェイスをいくつか紹介したいと思います。
☆ANTELOPE AUDIO ( アンテロープオーディオ ) / Zenシリーズ
「コスパのバグ」と言っても過言でないと思われるほど価格の割にスペックと機能が充実しているのがANTELOPE AUDIO ( アンテロープオーディオ ) / Zenシリーズです。
最大127dBのヘッドルームを持つコンバーター機能が搭載されているだけでなく、クロックメーカーとして有名なANTELOPEの技術も盛り込まれており、ぱっと聞いただけでも「音が良い」と感じる人が多いと思います。
しかもDSP機能により様々なエフェクトを掛け録りでき、頻繁の行われるセールの時期には数十種類の膨大なFX(エフェクト)がオマケで付いてくるという大盤振る舞いをしています。
音も良し、機能の良しのオーディオインターフェイスですが、一番下のグレードのZen Go Synergy Coreは数万円と、他社の同程度のオーディオインターフェイスと比べると非常に安いです。
デメリットとしては、ANTELOPEは元々業務用・プロ用の機材を作っているメーカーということもあるのかも知れませんが、初心者には使いこなすのが難しい機能も多いです。
メーカーがユーザーマニュアルを公開していますので、購入を検討されている方は事前にユーザーマニュアルに目を通してみて、自分の経験や知識で使いこなすことが出来そうか考えてみることをお薦めします。
販売された当初は様々な騒動もありましたアップデートなどの対応により現在は特に大きな問題はないと思われます。
ちなみにANTELOPEの上位機種には「Discrete Proシリーズ」があります。
こちらの「Discrete Proシリーズ」の音質も非常に良く後述の「SSランク」のグループに入れようか迷ったのですが、最近の20万円以下クラスのオーディオインターフェイスの音質や機能はドラゴンボールの戦闘力のようにインフレ化しており、もはや「自分の好みに合わせて好きなものを選べば良い」という状況になりつつあるため、ここで紹介をさせていただくことにしました。
「Discrete Proシリーズ」の音も間違いなく良いのですが、Zenシリーズのコスパも尖り過ぎているので、必要とする入出力の数などに合わせて選択する形でも問題はないと思います。
☆APOGEE ( アポジー ) / Duet 3
APOGEEはAD・DAコンバーター等の高額な機材で有名なメーカーで、エンジニアや作曲家の方の中には「Symphony I/O MKII」というフラッグシップモデルのAD/DAコンバータを使っている人もいます。
そんなAPOGEEが比較的安価な価格で販売しているのが「Duet」シリーズですが、高額な業務用機器を扱っているメーカーだけあって音質が良く、評価も高いです。
見た目も非常にクールなのも人気で、Breakoutケーブルというケーブルを使って外部機器と接続する形式になっているのも特徴的です。
Breakoutケーブルを使うことで狭い場所でも設置しやすいというメリットもありますが、人によってはインピーダンスの高い機器(ギターなど)を細いBreakoutケーブルに繋ぐのには抵抗があるという人もいるので、この点は好みが分かれるところだと思います。
「Docking Station for Duet 3」という別売りの専用ドックを購入するとBreakoutケーブルを介さずに外部機器を接続できるようになります。
☆MOTU ( モツ ) / UltraLite mk5、828
MOTUの「M2」や「M4」を使っていて「MOTUのファンになったのでより上位の機種が欲しい」という気持ちになってしまった人の選択肢になるのが「UltraLite mk5」です。
「UltraLite mk5」のダイナミックレンジは125dB、SINADは113と、「M2」や「M4」を上回る数値になっています。
音質が良くなっているだけでなく、DSPフェクトが使えたり、大量の入出力端子(入力8、出力10)が付いていたりと、これ1台あれば困る場面はほとんどないだろう、というくらい機能も十分です。
個人的には入力端子やボリュームノブが前面にあるのも嬉しいポイントで、机の上に置いていてもマイクやギターを録音する時に、わざわざ裏側を覗き込む必要がないのも使い勝手が良いと思います。
「UltraLite mk」シリーズは以前は10万円以下で買えたと思うのですが、こちらも円安の影響で円建てで見ると値上がりしているのが少し残念なところです。
その他にMOTUは最近になって「828」という定番機種についても新しいモデルが販売されています。
昔は10万円ちょっとで買えた機種なので高くなったな・・・という印象はありますが、28in 32outでこの価格と音質は、他のメーカーではなかなか太刀打ちしにくいコストパフォーマンスだと思います。
★★★SSランク
「自宅で最高クラスの音質が欲しい!」
「もっと高みを目指したい」
「高級機材を買ってマウント取りたい」
というような欲望をお持ちの方のために最高クラスのオーディオインターフェイスもいくつか紹介しておきたいと思います。
☆APOGEE ( アポジー ) / Symphony Desktop
APOGEEの「Symphony Desktop」は価格は高めですが、コスパで見た場合には「バグっている」と言っても良いくらいの音質と機能を持ったオーディオインターフェイスです。(現時点で私はこれをメインに使っています。)
前記のとおりAPOGEEには「 Symphony I/O MKII」というプロのエンジニアさんや作曲家さんが使っているようなフラッグシップモデルがあって、2024年現在でも「Symphony I/O MKII」の音質は最高レベルといっても過言ではないくらい評価の良いAD/DAコンバータです。
しかし「Symphony I/O MKII」は非常に高額で、大きく重い上に、外部機器との配線も大変なので、自宅で気軽に使うことは出来ません。
そこでApogeeが「Symphony I/O MKII」の同レベルの音質を小型のオーディオインターフェイスで再現できるようにしたのが「Symphony Desktop」です。
「Symphony I/O MKII」と価格が全然違うので「本当に同じクオリティの音が出るのか?」という疑問を持ちたくなりますが、Apogeeが公式で以下の回答をしています。
しかも「Symphony Desktop」にはDSP機能も搭載されていて、Neve 1066のマイクプリアンプのエミュレーションなどを使うこともできます。
また「Symphony Desktop」自体の入出力端子は少ないのですが、ADATが使えるデジタル入出力が付いているので入出力端子を拡張することもできます。
このように音質や機能面を考えるとコストパフォーマンスは非常に良いのですが、私の周囲では使っている人はあまりいないという印象です。
その理由はエンジニアや作曲の仕事をしている人はSymphonyの音が欲しければ「Symphony I/O MKII」を買うし、アマチュアの人にとっては「Symphony Desktop」はちょっと高いなと感じてしまうからなのかも知れません。
プロの方だと「宇多田ヒカルさん」や「草野華余子先生」などが「Symphony Desktop」を使っているようですので、出音を重視する作曲家の方にとっては便利なモデルなのだと思います。
☆NEUMANN ( ノイマン ) / MT48
レコーディングスタジオのサブ機的な位置付けで使われている場面をたまに見かけるのがNEUMANN「MT48」です。
U87などの定番のコンデンサーマイクで有名な老舗のノイマンが販売しているということもあり音が抜群に良く、機能も豊富だということでプロの方の間では手軽に使える機材として人気のようです。
(価格が高いので私は実機の音を聞いたことはないです・・・)
業務用のコンパクトな機材としてメインのAD/DAコンバーターとしては別に用意する、というような場面であれば便利だと思いますが、個人が自宅用で使うには、ちょっと高いかな・・・と個人的には思ってしまいます。
出音の音質と機能性の高さは間違いなく素晴らしいですが、入力(録音)部分の音質は価格の割には・・・という意見を聞くこともあります。
☆PRISM SOUND ( プリズムサウンド ) / Lyra2
同じくプロのエンジニアさんや作曲家さんなどが話題に挙げることが多いのが、PRISM SOUNDの「Lyra2」です。
「音が良い」という話や「音が良いという話を聞いた」みたいな伝聞の話を最近耳にすることが多いです。
★★★SSランク(業務用機)
「自宅でスタジオを作りたい」という人や「レコーディングスタジオなどでどんな機材が使われているのか知りたい」という人のために、業務用の最クラスのAD・DAコンバーターもいくつか紹介しておきます。
☆LYNX STUDIO TECHNOLOGY ( リンクススタジオテクノロジー ) / AURORA(n)
最近、スタジオや職業作曲家さんのが導入していることが多く、良く見かけるのがLYNX STUDIO TECHNOLOGY 「AURORA(n)」です。
Pro Toolsを使わない環境であれば、この「AURORA(n)」を使っているエンジニアさんや作曲家さんがかなり多いという印象です。
こちらはレコーディングスタジオなどでレコーディングをお願いすれば実機の音を聞ける機会もあると思いますし、人気の機種なのでお店で試聴できるところもあると思います。
☆APOGEE ( アポジー ) / Symphony I/O MKII
「AURORA(n)」よりはシェアは低いような印象ですが、前記のAPOGEEの「Symphony I/O MKII」もプロのエンジニアさんや作曲家さんでで使っている人がそれなりにいる機材ですね。
☆ANTELOPE AUDIO ( アンテロープオーディオ ) / Amari ハイレゾAD/DAコンバーター
ANTELOPE AUDIOの「Amari」もスタジオのサブ機、再生機器的な立ち位置で入っているのをたまに見かける機材です。
出入力端子がデフォルトの状態で豊富なので元々は高級なホームオーディオ機器として販売されているモデルだと思いますが、個人で買うには勇気のいる価格帯ですね。
自宅のシンプルな環境で使うのであれば個人的には前記の「Symphony Desktop」のほうがコスパが良いかなと思います。
☆Avid ( アビッド ) Pro Tools /MTRX Studio
Pro Toolsを使っているスタジオや作曲家さんは、最近では「MTRX」を導入しているところが多い印象です。
エンジニアさんの中ではやっぱり「MTRX」が一番信頼できるし音も良い、という方が多いようです。
高額な機材ですがレコーディングスタジオに導入されていることが多いので、こちらもレコーディングをお願いした際などに(MTRXから出ている音だと知らずに)実機の音を聞いているバンドマンも多いと思います。