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ギターアンプをオーディオ用(音楽鑑賞用)に使うことができるか

「ギターアンプは、音楽鑑賞用として使えますか?」というコメントがありましたので、個人的な考えを書きたいと思います。

結論は以下のとおりです。

① ギターアンプは基本的にオーディオ用途(音楽鑑賞)には向いていない

② ただし、オーディオ用(音楽鑑賞用)にも使えることを売りにしたギターアンプも販売されている

③ 音楽を聴く用途であれば、ギターアンプよりもオーディオ用のスピーカーのほうが音が良い傾向がある

順番に説明していきたいと思います。


ギターアンプは基本的にオーディオ用途(音楽鑑賞)には向いていない


ギターアンプは基本的にオーディオ用途(音楽鑑賞)には向いていません。

その理由は

・ スピーカーが周波数特性のクセが強い

・ ギターアンプにはオーディオ用の信号を入力するための端子などが付いていない(ことが多い)

・ ギターアンプはステレオ再生ができない(ことが多い)

などの点にあります。


例えば、ギターアンプ用スピーカーとして有名なCelestion社の「Vintage 30」の周波数特性が公式サイトで見ると、以下のような感じです。

celestion社ウェブページから引用
https://celestion.com/product/vintage-30/

300kh以下の低音域が下がっているのと、5khz超の高音域が崖のように下がっていて、「いびつ」な山のような形になっているのが分かると思います。

「Vintage 30」はギターアンプ用のスピーカーとしては評価が非常に高く、この「いびつな山」のような特性はギター用スピーカーとしては魅力的だったりするのですが、このスピーカーでギター以外の音(完成された音楽)を聴くと低音域と高音域がカットされたサウンドになり「古いラジオのような音」という印象を受けると思います。


また、音楽を再生するためには、音楽を再生する機器(スマホ、PCなど)とスピーカー(アンプ)を接続する必要がありますが、ギターアンプにはオーディオの音声信号を入力するための端子が付いていない機種が多いです。

例えば、スタジオに置いてあることが多い ROLAND「JC-120」や、Marshall「JCM2000」などのギターアンプには、オーディオの音声信号用の入力端子は付いていません。

さらに、音楽鑑賞をする際にはステレオ(左右のスピーカーから別の音を再生できる環境)で聴くのが普通ですが、ギターアンプの多くはモノラルの仕様になっていいることが多いです。

このように、基本的にはギターアンプはオーディオ用途(音楽鑑賞)には向いていないことが多いです。


オーディオ用(音楽鑑賞用)にも使えることを売りにしたギターアンプも販売されている


ただし、家庭用の小型のギターアンプの中には、以下のようにオーディオ用(音楽鑑賞用)にも使えることを売りにした機種もあります。


Positive Grid 「Spark MINI Black」

Bluetoothスピーカーとして通常の音楽再生も可能なSpark。Sparkアンプは2発のカスタムデザインスピーカーとチューニングされたバスレフポートを装備。ベースやアコースティックギターにも対応可能なフルレンジスピーカーを搭載したSparkなら、ディープかつクリアな低域とクリスタル・クリアな高域を実現し、あらゆるスタイルの音楽に対応。ライン入力、またはBluetooth接続で高解像度のオーディオをお楽しみください。

Line 6 「AMPLIFi 30」

AMPLIFiファミリーはBluetooth(R)が使用可能で、スマートフォンやタブレット内のお気に入りの曲をストリーミングできます。お気に入りの曲で練習し、スキルアップしましょう。バンドと一緒にステージに上がった気分で思う存分演奏できます。AMPLIFi 150/75/30は、そのステレオ・スピーカーにより、じっくり楽曲のディテールまで聴くことが可能です。

HOTONE「PULZE」

Pulzeは楽器用アンプとしてだけでなく、Bluetoothスピーカーとしてお好きな映画や動画、音楽なども臨場感溢れるサウンドで楽しむことができるよう設計されています。迫力の重低音とステレオサラウンドの壮大な広がりによって、ワンランク上のエンターテインメント体験を提供します。


その他にも、例えば家庭用のギターアンプとして人気のあるYAMAHAの「THRシリーズ」などにもオーディオ用の信号を入力するための端子が付いているため、音楽を再生することはできます。

タイトル
【THRシリーズ】外部機器の再生音をTHRのスピーカーから鳴らせますか

アンサー
<対象製品>
THR5 / THR5A / THR10 / THR10C / THR10X

コンピューターやオーディオプレーヤーなどの外部機器からの再生音をTHRシリーズのスピーカーから鳴らしたい場合、下記の方法で可能です。
お客様のご用途や環境に合わせて、お選びください。
・・・

https://faq.yamaha.com/jp/s/article/J0005977

ただ、「THRシリーズ」はギターアンプとしては満足している人が多いものの、オーディオ用(音楽鑑賞用)としては音質はイマイチだと感じている人のほうが多いという印象です。




音楽を聴く用途であれば、ギターアンプよりもオーディオ用のスピーカーのほうが音質が良い傾向がある

前記のように、家庭用の小型ギターアンプの中にはオーディオ用途(音楽鑑賞)に使える機種もありますが、純粋に音楽を楽しんで聴くという点では、通常のスピーカーのほうが音質が良い傾向があります。

というのも「音楽鑑賞にも使えるギターアンプ」の場合でも、あくまでもメインの機能である「ギターアンプ」に関わる部分にコストをかけているため、「音楽鑑賞用に使える」という機能はオマケ的な位置づけになっていることが多いからです。

また音楽鑑賞をする場合には、音場感・定位感(音の広がりや、正面左右のどこから音が聞こえるかなど)が重要ですが、「音楽鑑賞にも使えるギターアンプ」は左右のスピーカーの位置が固定されていたり、向きを変えることができないため、音場感・定位感は良くない傾向があります。

オーディオ用のスピーカーについては専用のスピーカーを購入したほうが満足度は高いと思います。

モニタースピーカーについては以下の記事に書いていますので、参考にしていただければです。


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