金属アレルギーの人がエレキギターを楽しく弾くための方法
私は以前はギターを弾いても指がかぶれたりすることは無かったのですが、ここ数年で金属アレルギーが酷くなってきてギターを弾くと指の皮が赤くなって剥がれたり、血が出てきたり、人に見せられないくらいグチャグチャの状態になったりと・・・困っていました。
その中で色々とアレルギー対策をして、今では金属アレルギーの症状に悩むことなく楽しくギターを弾けるようになりましたので、私の対策方法について紹介したいと思います。
なお金属アレルギーは症状は人によって様々で医師の診察を受ける等の対応も大事なことだと思いますので、その点はご了承ください。
◆最終的に金属アレルギーが解決した方法
最初に結論から述べると、私が金属アレルギーの症状が出ることなくギターを弾けるようになったのは
① コーティング弦を使う
② ステンレス製のフレットが使われているギターを使う
この2つの方法でした。
以下、順番に説明をします
◆コーティング弦について
エレキギターの弦はニッケルという素材が使われいることが多いですが、このニッケルという金属は汗で溶け出しく属アレルギーを引き起こしやすい金属として知られています。
そのため金属アレルギーの人が普通のエレキギターの弦を使っているとアレルギーの症状が出やすいです。
では、どうやってギターの弦でアレルギーが出ないようにするかというと、コーティングされた弦を使うという方法があります。
「コーティング弦」は弦に薄い膜のようなものがコーティングされている弦で、とても長持ちします。
普通の弦は2週間から1ヶ月程度でサビが目立ってきますが、「コーティング弦」は激しく練習する人でも1ヶ月以上、あまり弾かないサブのギターなどは半年以上経ってもほとんどサビないこともあります。
サビないということは金属の部分がコーティングされている状態が続いているということなので、アレルギーの人が弾いても症状が出にくいです。
◇コーティング弦のデメリット
「コーティング弦」にもいくつかデメリットがあります。
デメリットの1つは「音が変わる」というです。
個人的にはコーティング弦による音の変化はほとんど気になりませんが「アーニーボールの張り替えたばかりのキラキラした音が好きだ」というような人にとっては、コーティング弦の音は「普通の音」「もっさりとした音」と感じるかも知れません。
コーティング弦の音が苦手な人は、普段の練習時にはコーティング弦を使って、ライブなどの時にだけコーティングされていない自分の好きな音色のギターの弦を使う、という方法もあると思います。
コーティング弦のデメリットの2つ目は「値段が高い」という点です。
普通のギター弦は1000円以下で買えますが、コーティング弦は1500円以上します。
ただコーティング弦は長持ちして弦を張り替える回数が少なくなるので、実は普通の弦よりもコスパは良かったりします。
◇おすすめのコーティング弦
コーティング弦は様々なメーカーから発売されていますが、使っている人が多いのがELIXIR ( エリクサー)というメーカーの弦です。
「エリクサー」というと某RPGゲームで「HPとMPを満タンにしてくれる貴重なアイテム」を思い浮かべる人もいると思いますが、ギタリストにとっては「コーティング弦といえばエリクサー」というくらい有名なメーカーです。
エリクサーには巻弦のコーティングの厚さが違う「POLYWEB」「NANOWEB」「OPTIWEB」という3種類のラインナップがあります。
コーティングによる音の変化をできるだけ小さくしたい人はコーティングが薄い「OPTIWEB」(緑色)を選ぶのが良いと思いますが、「NANOWEB」(オレンジ色)が安く売られていることが多いので私は「NANOWEB」を使うことが多いです。
アレルギー対策として万全を期したい人はコーティングが一番厚い
「POLYWEB」(青)を選んでも良いかも知れません。
◆ステンレス製のフレットについて
コーティング弦に変えるだけでは、アレルギー症状が止まらない人もいると思います。
私自身もコーティング弦を使い始めた後も症状は若干緩和したもののアレルギーの症状は続いて、特にスライド奏法や激しいポジションの移動を繰り返した時に症状が酷くなることが多かったです。
その原因はギターの「フレット」でした。
ギターのフレットもニッケルシルバー(銅、亜鉛、ニッケルの合金)という素材が使われていることが多く、ポジションの移動でフレットの上で指をスライドさせる度に指とフレットが接触してアレルギー症状が出てくることが多いです。
では、どうすればフレットによるアレルギーを軽減できるかというと、スレンレス製のフレットのギターを使うという方法です。
ステンレスはアレルギーが発生しにくい金属で、アクセサリーや医療用の器具などに使われたりしています。
そのため、スレンレス製のフレットのギターを使うことでアレルギーを発症しにくくなります。
◇ステンレスフレットのデメリット
「ステンレスフレット」にもデメリットがいくつかあります。
1つは「音が変わる」という点で、一般的にはステンレスフレットは「音が固くなる」と言われています。
ただ個人的にはあまり音の違いは感じません。
というよりも、実際にはステンンレスとニッケルシルバーを全く同じ仕様のギターで聞き比べることは困難で、リフレット(フレットの打ち替え)をした場合にもフレットの高さや大きさが変わることでも音が変わってしまうので、素材による音の変化なのか、その他の原因で音が変わっているのかが分からないというのが正直なところです。
いずれ個人的な意見としては「ステンレスフレット」にして劇的に音が変わるということはないと思っています。
それより「ステンレスフレット」の大きなデメリットは「価格が高い」という点です。
ステンレスは硬い金属で加工が大変なので、ニッケルシルバーのギターよりも割高な価格で販売されていることが多いです。
有名なメーカーのギターだと「ステンレスフレット」が搭載されているギターの20万円以上が相場だったりします。
そうすると「リーズナブルなギターを買ってリフレット(フレットの交換)をすれば良いのでは?」と考えたいところですが、リフレットの作業料も高くて(5万円前後が相場)、さらにスレンレスフレットのリフレットの工賃は特別料金が上乗せされることが通常です。
フレットが大きく摩耗して寿命が近い場合にはスレンレスフレットにリフレットすることもメリットもあると思いますが、フレットが十分に残っているのにリフレットをするのはもったいなくて躊躇するケースも多いと思います。
そこで比較的安い価格で購入できるステンレスフレットのギターを紹介したいと思います。
◆比較的安価で購入できるステンレスフレットのギター
◇Bacchus(バッカス)
Bacchus(バッカス)というブランドからスレンレスフレットが搭載されたギターが実売価格7万円代から販売されています。
(ステンレスフレットが搭載されているのは「TACTICS24 RSM」シリーズなどのうちの一部なので、購入する場合には仕様は確認してください。)
バッカスというと安いギターというイメージを持っている人もいると思いますが、バッカスはディバイザーという楽器メーカーのブランドの1つで、実はエントリークラスだけでなくMomoseというブランドでハイエンドのギターも販売していたりするなど、価格の割には品質が良くコストパフォーマンスに優れたギターを幅広く扱っています。
日本のメーカーということもありサポートもあまり悪い評判は聞きませんので、もし不良品などに当たったとしても対応をしてくれる可能性が高いと思います。
スレンレスフレットへのリフレットをするだけでも通常5~6万円はかかることを考えると、バッカスのステンレスフレットのギターを7万円台で買えるというのは十分安いと思います。
「もっと安いギターを探している」という人は中古や海外メーカーのギターも選択肢に入れる必要があると思います。
◇Harley Benton(ハーリーベントン)
もっと安いギターを探しているという人はHarley Benton(ハーリーベントン)というメーカーのギターを選択肢に入れても良いと思います。
ハーリーベントンというメーカーは日本では知名度は低く名前を聞いたことがない人もいると思いますが、その理由は基本的にthomann(トーマン)というドイツの通販サイトで販売されているからです。
一般的にギターは製造メーカーと販売業者の間に中間流通業者が入ることで価格が上乗せされていったり、広告・宣伝の費用が上乗せされていくため、製造コストよりもかなり高い金額で販売されていることが多いですが、ハーリーベントンの製品は基本的に販売をトーマンという通販サイトに絞って、広告・宣伝もしないことでコストが上乗せされないようにして、驚く程安い価格でギターなどが販売されています。
トーマンで「Harley Benton guitar」と検索してみると1万円代からギターが販売されいます。
ステンレスフレットのギターを探したい場合にはトーマンで「Harley Benton guitar Stainless」と検索をして仕様に「stainless steel frets」という記載があるかを確認すると良いです。
ステンレスフレットのギターは安いもので3万円台から販売されています。
注意が必要なのはギターの価格の他に、送料と、日本の消費税、通関料がかかる点です。
送料は時期によって変わることがありますが、この記事を書いている時点では1万6000円くらいです。
消費税は「商品の代金×60%×10%」(商品の代金×6%)だったはず。
通関料は数百円(200円くらいだったはず)です。
送料の金額はトーマンのアカウントを作ってログインし、欲しい商品を「ADD TO BASKET」に追加し、「Country of Delivery」という項目を「japan」に変更し、「TO CHECKOUT」をクリックして初めて確認できる仕様になっています。
ちなみに「Country of Delivery」という項目を「japan」に変更すると商品の価格が数千円程度下がることがあります。(理由は分からないですが・・・。)
送料なども含めると安いもので5万円~6万円程度でステンレスフレットのギターが買えます。
リフレットと同じくらいの価格でステンレスフレットのギター本体が買えるのでコストパフォーマンスは良いと思います。
私自身もHarley Benton(ハーリーベントン)のギターを持っていますが、作りはしっかりとしていて自分が持っているFenderメキシコのギターよりも作りは良いと感じました。(あくまでも個人的な意見です。)
セッティングに関してもFender USAよりもシビアなセッティングが出来たので気に入っています。
ハーリーベントンのギターのデメリットは、基本的に海外の通販サイト(英語)から個人輸入する必要があること、初期不良があった時などのやりとりが面倒(おそらく海外に送り返す必要がある)という点だと思います。
購入するだけであればGoogle翻訳を駆使したりネットで調べていけば高校レベルの英語力で対応できると思います。
その他、デメリットと言えるかは微妙なところですがHarley Bentonのギターのレビューを見ると「作りは悪くないがピックアップの音があまり好きでは無いので交換した」というコメントがいくつかあります。
Harley BentonのギターにはRoswellというメーカーのピックアップが搭載されているものが多いのですが、RoswellはギターメーカーにOEMでピックアップを供給したりしている有名なメーカーなので品質自体には問題はなく好みの問題かなと思います。
Harley Bentonのギターの中にはEMGのピックアップが搭載されたモデルなどもあるので、割高にはなりますがEMGのアクティブの音が好きという人はそちらのモデルを選んでも良いかも知れません。
◆あまり効果がなかった金属アレルギー対策
最後に「あまり効果がなかった金属アレルギー対策」についても説明しておきたいと思います。
◇指サック
ステンレスフレットのギターを使う前に試したのが「指サック」です
AmazonやAliExpressで安価で販売されているので手軽の試せるアレルギー対策です。
指サックは少しの効果はあったのですが、指サックに穴が空いているため、穴を通して金属と指が接触することになり、アレルギーの症状は無くなりませんでした。
穴対策に指サックの下に「ちぎったサランラップ」を付けるという方法で対策していた時期もありますが、丁度良い感じにラップをセットするのが面倒なのと、ギターを弾いているうちにラップが破けてしまうという弱点がありました。
さらに指サックを付けた状態でギターを弾いていると押弦が上手くいかなかったり、指がどんどん柔らかくなっていって指サックがない状態では痛くてギターが弾けない体になってしまう、という問題もありました。
そのため指サックは一時的なアレルギー対策にはなったものの、根本的な解決にはなりませんでした。
◇薬
金属アレルギーの症状が出た場合には病院で医師に診察をしてもらうということは大事なことだと思います。
しかし、私も病院にいって処方箋をもらい金属アレルギー用の薬をもらってはいたのですが、原因となる金属と皮膚の接触を避けるという根本的な対処をしないと、症状が完全に良くなることはありませんでした。
◆まとめ
以上、私の経験から「金属アレルギーの人がエレキギターを楽しく弾けるようになるための方法」について紹介させていただきました。
最初にお話したとおり金属アレルギーは症状は人によって様々ですし、病院で医師に相談をしながら対策を考えるのも大事なことだと思いますが、私と同じようにギターの金属アレルギーで悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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