見出し画像

簡単なコードの覚え方(初心者向け)

音楽の演奏や作曲に欠かせないのが「コード」の理解です。

特に、ギターやピアノなど和音を使用する楽器では、基本的なコードを習得することが演奏や作曲の基盤になります。

コードを覚えることは初めての人には難しく感じるかもしれませんが、実際にはいくつかの効率的な覚え方や理論を理解することで、スムーズに進めることが可能です。

本記事では、コードを効率的に覚えるためのコツや方法、実践的なアプローチについて解説したいと思います。


◆コードの基礎知識


最初にコードの基礎知識について簡単に触れておきますが、「そんなの知っている」という人や、「さっさと具体的なコードを学びたい」という人は「◆コードの種類」という項目から読み進めていただければです


◇ コードとは?

コードとは、3つ以上の音を同時に鳴らして作られる和音のことです。

コードは音楽の中でメロディーを支えたり、ハーモニーを作る役割を担っています。

代表的なコードの種類としては「メジャーコード」や「マイナーコード」があります。


◇コードの構成音


コードの主な構成要素は次のとおりです。

ルート音(基音)
→コードの土台となる音

第3音(3度の音)
→メジャーかマイナーか(明るい雰囲気か暗い雰囲気か)を決定する音

第5音(5度の音)
→コードの安定性に関わる音

7度の音
→オシャレな雰囲気を出す音



◇コードの名前

コードはそのルート音と構成音の特徴に基づいて名前が付けられています。

例えば、Cメジャーコード

「C」(ルート)
「E」(第3音)
「G」(第5音)

で構成され、明るい響きを持っています。

Cメジャーコードの第3音「E」を半音下げると、暗い響きのあるCマイナーコード(Cm)になります


コードの名前にはアルファベットが使われています。

基本的に「C=ド」「D=レ」「E=ミ」「F=ファ」「G=ソ」「A=ラ」「B=シ」です。

「C~B」のアルファベットは「音名」
→ピアノの白い鍵盤に対応するもの
=キー(調)のキーが変わってもアルファベットが変わることはない

「ド~シ」は「階名」
→曲のキー(調)によって名前が変わることがある

という違いがあります。

ただ、このやややこしい問題については後述のように解決する方法があるので、最初は「C=ド」「D=レ」「E=ミ」「F=ファ」「G=ソ」「A=ラ」「B=シ」という対応関係だけを覚えれば十分です。

そして、ピアノの白い鍵盤を1個ずつ飛ばして

「ド」「ミ」「ソ」 を押したらC
「レ」「ファ」「ラ」を押したらDm
「ミ」「ソ」「シ」 を押したらEm
「ファ」「ラ」「ド」を押したらF
「ソ」「シ」「レ」 を押したらG
「ラ」「ド」「ミ」 を押したらAm

と覚えておくと良いです。

「シ」「レ」「ファ」を押したら何?

と思う人もいると思いますが、このコードはあまり曲中に出てこないので最初のうちは深く考えなくて良いと思います。

◇Cメジャー(ハ長調)以外のコードは覚える必要があるか?

前記の「C、Dm、Em、F、G,Am」は、ピアノの白い鍵盤だけで弾ける「Cメジャースケール」(ハ長調)「Aマイナースケール」(イ短調)というキー(調)で使われるコードです。

カラオケで歌いやすいようにキーを変えたという経験がある人も多いと思いますが、キーを変えると使われるコードも変わってきます。

キー(調)は基本的なものだけでも「ドレミファソラシ」(白鍵7個)+「ド#レ#・ファ#ソ#ラ#」(黒鍵5個)を足した数の12種類があり、長調と短調を区別すると24種類となり、さらに変則的なスケールなども含めていくと膨大な量になります。

そのため、理屈としては最低でも168個(24種類のキー(調)×7種類のコード)のパターンを覚えなければならないということになるので、「覚えるコードの量が多くて大変だ」と感じる人もいると思います。

しかし、個人的には「作曲」をする範囲であれば(ほぼ)白鍵だけで弾けるCメジャースケール(ハ長調≒Aマイナースケール=イ短調)のコードのうち「6種類+いくつかの変則形」を覚えておけば良く、それ以外のキー(調)のコードは暗記しなくても(それほど)問題はない、と思っています。

とうのも、作曲をする時にパソコンなどで使う「DAW」というソフトウェアには「トランスポーズ」という機能が備わっており、Cメジャー(ハ長調)以外のキーの曲も、Cメジャーと同じように白い鍵盤を中心に作ることができるようになっているからです。

例えば、Cメジャーから半音2個分上げたDメジャー(ニ長調)の曲を作りたい場合には、ドラム以外の各トラックをトランスポーズ機能で「+2」の設定にして、ピアノロール(音の情報を入れる画面)はCメジャー(ハ長調)と同じように入力すれば良かったりします。
(新しいstudio oneというDAWにはドラムトラックを除く全てのトラックをまとめてトランスポーズできる機能が搭載されています。)

邪道な方法に聞こえるかも知れませんが、プロの作曲家の方でも作曲する時にこのようにトランスポーズ機能を使って全てCメジャー(ハ長調)に統一して作曲するという方法を使っている方がいます。

また理論書などでも

C  → Ⅰ
Dm → Ⅱm
Em → Ⅲm
F  → Ⅳ
G  → Ⅴ
Am → Ⅵm

と変換することで、キーが変わっても同じようにCメジャー(ハ長調)と同じようにコードを考えることができるようにしていたりもします。

最近のキーボード(鍵盤楽器)もトランスポーズ機能が付いている機種も増えてきており、そのような機能の付いた機種を使えばCメジャー(ハ長調)と同じように鍵盤を弾きながら他の調(キー)のコードを鳴らすこともできます。

さらにギターの場合にも「カポタスト」を付けることで(限度はありますが)、Cメジャー(ハ長調)のコードの押さえ方で他の調(キー)のコードを鳴らすことができますし、「F」の形コード(バレーコード)の押さえることができるようになればほとんどのコードが弾けるようになります。

このように、Cメジャー(ハ長調)のコードさえ覚えておけば、他の調(キー)のコードを鳴らすことはできますし、DAWを使った作曲も可能なので、「作曲」という場面に限って言えば、Cメジャー(ハ長調)以外のコードを覚える必要性はあまり高くないと思います。

それよりも、Cメジャーで使われる基本的な「C、Dm、Em、F、G,Am」のコードを何度も弾いたり、これらのコードを使って実際に作曲をしてみて、この「6つのコードのイメージを頭に刷り込んでおく」ことのほうが大事だと思います。

この6つのコードを覚えておけば頭の中でコード進行を考えることができるようになりますし、知らない曲を聴いた時にも手元に楽器が無くてもコード進行が分かるようになってくるので、非常に効率が良くなります。

あくまでも私のイメージですが参考までに各コードの雰囲気を整理しておきます。

C  = Ⅰ
→明るい雰囲気の曲の始まりと終わり

Dm = Ⅱm
→暗く不安定な印象
 使い所が難しいが上手く使うと良い感じになる中級者向けのコード。
 最初のうちは無理して使わなくても良いが、 定番のコード進行に良く出てくるのでテンプレの中で使うようにしたほうが理解しやすい。

Em = Ⅲm
→暗く不安定な印象
 E7(Ⅲ7)にすると切なく盛り上がる感じになる。
 E7 → Am7 のパターンは良く耳にする。

F  = Ⅳ
→やや盛り上がる印象。
 Gの前に入っていることが多い、Gの引き立て役。
 F(Ⅳ)のまま曲を終わらせると「次回へ続く」的な雰囲気になる。
 Fm(Ⅳm)もたまに使われる。

G  = Ⅴ
→大いに盛り上がる印象、G(V)のまま曲を終わらせることは普通はない
 G7の形で使われることも多い。

Am = Ⅵm
→暗い雰囲気の曲の始まりと終わり。
 Am7の形で使われることも多い。
たまに「F → G → A」や「F → G → A7」という形でメジャーコードとして使われる曲もある。

実際にコードを鳴らしながら曲を作ってみてご自身のイメージを固めてみると手元に楽器がなくても頭の中で演奏ができるようになったり、初見の曲のコードが分かるようになってくると思います。

◇楽器を演奏する場合にはCメジャー(ハ長調)以外のコードも覚える必要はある


先ほど「作曲」をする上では、Cメジャー(ハ長調)以外のコードは無理してまで覚える必要はない、というお話をしましたが、ライブなどで鍵盤楽器やギターを「演奏」する時には、Cメジャー(ハ長調)以外のコードの「弾き方」(ギターの場合には押さえ方)は覚える必要があります

前記のように演奏時にもキーボードのトランスポーズ機能を使ったり、ギターにカポタストを付けるという方法もありますが、ライブ会場に備え置きのキーボードにはトランスポーズ機能が付いているとは限りませんし、ギターの場合にはカポタストを付けても演奏することが難しい場合もあります。

もっとも、「作曲」と違って「演奏」では「このコードはこのような印象のある音」という音を覚えている必要はなく、練習を事前に十分しておけば、どのコードがどのような音がするかというイメージが曖昧でも演奏はすることが可能です。

ただ、演奏してる曲のコードをしっかりと覚えてると演奏中に「どの鍵盤を押さえるか」「どのフレットを押さえるか」を忘れてしまっても、頭の中でコード進行を組み立てて演奏することができるので、余裕が出てきたら演奏する曲のコードはしっかりと頭に入れておいたほうがミスの頻度を減らすことができます。

以下、Cメジャースケール(=ハ長調 ≒ イ短調=Aマイナースケール)を前提にコードの種類と覚え方を解説します。

◆コードの種類

コードを覚える時は、最初に基本的な3和音の「メジャーコード」と「マイナーコード」を覚えた上で

「3度」の音が変わるパターン

「5度」の音が変わるパターン

「6度」の音を追加するパターン

「7度」の音を追加するパターン

というように整理して覚えると分かりやすいと思います。

この他にも「9度」や「11度」の音を追加するパターンなどもありますが、最初から覚えるコードを増やし過ぎると挫折しやすくなりますし、以下で説明するコードの仕組みが分かればほとんどのコード対応できるようになるので、ここでは曲中に出てくる頻度が多いコードに絞って説明したいと思います。

初心者の方は最初のうちは「基本的な3和音」(メジャーコード・マイナーコード)と「7度の音を追加するパターン」だけ覚えることでも良いと思いますし、「初心者で難しい話は苦手」という人は

◇◇3和音の「メジャーコード」と「マイナーコード」

◇◇「7度」の音を追加するパターン

の2つ「以外」は読み飛ばしてもらえればです。



◇◇3和音の「メジャーコード」と「マイナーコード」


3つの音を使った3和音を「トライアド」と言ったりしますが、この記事では分かりやすく「3和音」と名前で呼びたいと思います。


・メジャーコード(明るい響きの和音)

3度はルートから数えて「半音4つ」上(長3度)

5度はルートから数えて「半音7つ」上(完全5度)


・マイナーコード(暗い響きの和音)

3度はルートから数えて「半音3つ」上(短3度)

5度はルートから数えて「半音7つ」上(完全5度)


前記のとおり鍵盤楽器(ピアノなど)の場合は「白鍵」を1個ずつ飛ばして

「ド」「ミ」「ソ」 を押したらC
「レ」「ファ」「ラ」を押したらDm
「ミ」「ソ」「シ」 を押したらEm
「ファ」「ラ」「ド」を押したらF
「ソ」「シ」「レ」 を押したらG
「ラ」「ド」「ミ」 を押したらAm

と覚えておくと分かりやすいです。

鍵盤楽器はハ長調(イ短調)を演奏する時に、白い鍵盤を1個飛ばしで弾くとコードが演奏でき、良い感じに「長3度」「短3度」が使い分けられるという便利な仕組みになっています。

ピアノが苦手な人は、鍵盤に「C~A」のシールを貼っておくと、

「Cのコードを弾く時は、Cと、1個ずつ飛ばした上の2個の白鍵を押せば良い」

という感じで分かりやすいので、最初のうちは便利だと思います。

「鍵盤にシールを貼るのは抵抗がある」という人は、自分でデザインをして作ることができる「剥がせる」タイプのラベルシールを貼って、鍵盤の位置を覚えたら剥がせば良いと思います。

以下のサイトからオシャレなテンプレートなどを使うこともできます。


「パソコンを使ってシールを作るのは面倒だし、見た目は気にしない」という人は、糊の痕が残りにくく簡単に剥がせる「養生テープ」を小さく切って鍵盤に貼り、油性ペンなどで「C~B」の文字を書くというワイルドな方法もあります。

「養生テープ」は1個手元に置いておくと、音楽をしている人にとって様々な場面で活用できるので便利です。

私はギター用のエフェクターのツマミがライブ中に回転してしまうのを防止するために貼ったり、機材に貼ってセッティング状態を油性マジックでメモしたり、ギターアンプなど重量のある機材のゴム足に貼って床が黒くなるのを防止したりするのに使っています。


話を戻しますが、3和音の「メジャーコード」と「マイナーコード」を覚えたら、「メジャーコード」「マイナーコード」の変則形態のコードを順番に覚えていくと良いです。

最初に「3度」の音が変わるパターンです。

◇◇「3度」の音が変わるパターン


◇sus4(サスフォー)

「suspended」は英語で「つり上げる」という意味
→メジャーコードの3度の音を半音上げて完全4度にする

=5度をルートから数えて「半音8つ」上(増5度)にする


「sus4」はエレキギターをやっている人であれば良く出てくるので馴染みがあると思います。

5弦をルートにしたバレーコードでメジャーコードを弾いた時に2弦に小指を当てて2弦の音を半音上げると「sus4」になります。

コードというよりも、和音楽器を遊ばせる装飾音的な感じで使われることも多いので、メジャーコードを弾いていて「物足りないな」と感じた時に「sus4」を入れてあげるという使い方でも良いと思います。

また、メロディとコードがぶつかるのを回避するめに使われることもあります。

例えば、楽器隊がメジャーコードを弾いている時に、メロディに「メジャーコードの3度の半音上の音」が含まれていると、コードの構成音とメロディが半音がぶつかってしまい気持ち悪い音になります。

その時に「コードの3度の音」を半音上げて「sus4」にしてあげると、コードの構成音とメロディが同じになるので違和感が解消されます。


◇◇「5度」の音が変わるパターン

次は「5度」の音を変えるパターンの「aug(オーギュメントコード)」と「dim(ディミニッシュ)コード」です。

正直なところ、「aug」「dim」は最初のうちは覚えていなくても問題ないと思いますが、楽譜に出てくることも多いため念のため説明をしておきます。

「よく分からん」という人は読み飛ばしてもらってOKです。

◇aug(オーギュメントコード)

「augment」は英語で「増やす」という意味
メジャーコードの5度を半音上げる

=3度はルートから数えて「半音4つ」上(長3度)

=5度はルートから数えて「半音8つ」上(増5度)


◇dim(ディミニッシュ)コード

「diminish」は英語で「減らす」という意味
マイナーコードの5度を半音下げる

=3度はルートから数えて「半音3つ」上(短3度)

=5度はルートから数えて「半音6つ」上(減5度)


◇♭5(フラットファイブ)コード

「♭」は「半音下げる」という意味
メジャーコードマイナーコードの5度を半音下げる


3度はルートから数えて
「半音4つ」上(長3度、メジャーコード)
又は
「半音3つ」上(短3度、マイナーコード)

5度はルートから数えて「半音6つ」上(減5度)

3和音のマイナーコードの場合には「dim(ディミニッシュ)コード」と「♭5(フラットファイブ)コード」は同じになりますが、♭5(フラットファイブ)コード」はセブンスコード、マイナーセブンスコードで使われることが多いです。


◇◇「6度」の音を追加するパターン


◇6th(シックス)コード

メジャーコード・マイナーコードの
(完全)5度の音から「半音2つ」上の音(長6度)を加える
(ルートから「半音9つ」上の音を加える)


Ⅳ6(F6)、Ⅵm6(Am6)、Ⅱm6(Dm6)などの形で見かけることが比較的多いかなと思います。

次に出てくるセブンスコードを組み合わせて、

「セブンスコード」→「シックスコード」

という順番で弾くと、聴いたことがあるようなオシャレな雰囲気になります。

最初のうちは6th(シックス)コードもあまり気にしなくて良いと思います。

大事なのは次のセブンスコードのほうです。

◇◇「7度」の音を追加するパターン


◇7th(セブンス)コード

メジャーコード・マイナーコードの
ルートの1オクターブ上の音から「半音2つ」下の音(短7度)を加える

=ルートから「半音10つ」上の音を加える


◇M7(メジャーセブンス)コード

メジャーコード・マイナーコードの
ルートの1オクターブ上の音から「半音1つ」下の音(長7度)を加える

=ルートから「半音11つ」上の音を加える

セブンスコードはルート音から順番に数えていくよりも、ルートを1オクターブ上げた音から下げる形で考えたほうが、数える回数が少なく済むので(半音1つ又は2つ下なので)楽です。


セブンスコードは良く使われているコードで、オシャレな雰囲気になるので曲によっては3和音よりも出てくる頻度が多いこともあります。

基本的にピアノの鍵盤を「白鍵」を1個ずつ飛ばして4つ鳴らした時の音、と考えると分かりやすいです。

「7度」の音を半音ずらすことで雰囲気が変わるので、時と場合によって使い分けることになります。

最初のうちは、3和音の「メジャーコード」と「マイナーコード」をセブンスコードに変えてみて「良い感じになればそのまま採用する」みたいな考え方でも良いと思います。

また後述の「コード進行のパターンについて」で述べるとおり、王道と呼ばれるコード進行パターンには「セブンスコード」が入っていることが多いので、プロが良く使っているパターンを積極的に取り入れることで自然とセブンスコードを扱えるようになると思います。


◆オンコードについて


「C/E」や「ConE」というコードを見て吐きそうになったことがある人もいると思いますが、これもあまり難しく考える必要はないです。

このように「/」や「on」が入ったコードを日本では「オンコード」と言います。

簡単に説明すると「C/E」や「ConE」は

「Cというコードと一緒に下のほうにあるEの音(単音)を弾いてね

的なニュアンスです。

1人の人が鍵盤でCメジャーコードと下のほうにあるE(ミ)の音を弾けば「C/E」と表記されたりしますし、ピアノやギターの人がCメジャーコードを弾いている時にベースの人がE(ミ)の音を鳴らしても「C/E」と表記されることがあります。

最初のうちは「C/E」や「ConE」のような記号を見たら「左にあるほうのアルファベットはコードを鳴らして、右のほうにあるアルファベットは低い単音を鳴らす」と考えておけば、とりあえずそれで良いと思います。

以下で一応「オンコード」が使われる場面をいくつか紹介しますが、読み飛ばしてもらっても大丈夫ですし、やる気のある人も「転回形」の部分だけ読んでいただければ十分だと思います。

◇転回形

Cメジャーコードは「C(ド)」、「E(ミ)」、「G(ソ)」を一緒に鳴らしますが、低い順番からCEGと鳴らす必要はなくて、ECGと鳴らしても良い訳ですし、GCEと鳴らしてもCメジャーコードに聞こえます

このようにコードの最も低い音が「ルート」以外の音になる場合を「転回形」と言ったりしますが、この「転回形」をわざわざコード名に書き込むと「C/E」とか「C/G」という名前になったりする訳です。

作曲の場面では各コードはできるだけ一定の範囲に収める形で配置したほうが統一感があり素人っぽさを消すことができるため、コードの構成音の配置を変えて最も低い音をルート音以外の音にすることも多いです。

その度にオンコードで記載していると大変なので、自分で曲を作る時には転回形になってもいちいちオンコードで表記しなくても良いと思います。



◇テンションコードの一種

先ほどセブンスコードまでの説明をしましたが、セブンスコードからさらに上にある「9度」「11度」「13度」などの音を加えた「テンションコード」というコードがあります。

テンションコードはコード名の右上に小さい文字で「11」とか「13」加えた音を記載したり、「CM7(9)」のように括弧書きで加えた音を記載したりします。

4和音のセブンスコードにさらに音を追加する訳ですから、本来は5和音になったりするのですが、実際にはテンションコードの場合には3度、5度、7度などのうち、どこかの音を抜いてコードを弾くことも多いです。

そのような場合に「CM7(9)」のような複雑で分かりにくいテンションコードを「G/C」といった形で記載したほうが分かりやすいことがあります。

このケースではコードの本体は左側の「G」ではなく「C」になるので、前記の転回形とは性質がちょっと違うのですが、「複雑で分かりにくいコードをオンコードという形で分かりやすく記載することがある」ということだけ頭の片隅に入れておけば十分かなと思います。


◇ベースがルートを弾いている間に上のほうで別の楽器が遊んでいるパターン

ベースが「ズクズク・・・」と同じ音程を弾いている時に、上の方でピアノやギターなどの複数の音を変えつつ、遊ぶように演奏していることがあります。

この場合、バンドスコアなどでは「C/A、E/A・・・」のような形で、ベースの音を右側に記載し、和音楽器の音を左側に記載しているパターンがあります。

このパターンは、ベースが弾いているルート音を基準にコードを判断して、他の音は遊んでいるだけ、と割り切れば良いので、あまり難しく考えなくても良いと思います。


◇逆にベースが荒れ狂っているパターン

先ほどとは逆のパターンで、ピアノやギターなどの和音楽器がコードを弾いている状態で、ベースが荒れ狂うように動き回っていることがあります。

ベースが自由に動き回るバンドとしてはベーシスト泣かせの「L'Arc-en-Ciel」さんが有名だったりします。

この場合、ベースの音を丁寧にコード名に表記しようとすると「C/A、C/E、C/G・・・」みたいな形になってしまうことがあります。

この場合も、コードはピアノやギターなどの和音楽器が弾いている音を基準にすれば良くて、ベースの音は自由に動き回っているんだな・・・と割り切れば良いので、これも難しく考える必要はないと思います。

◇天才系・実験音楽系

ピアノの鍵盤を適当に「バーン」と弾いたり、DAWのピアノロール画面で適当にポチポチと入力すると、良く分からないコードが出てくることがあります。

そのコードを何とか文字で表そうとすると、オンコードを使わないと表記でする必要があったり、テンションコード的な表記が必要になってくることがあります。

普通に曲を作る上では「支離滅裂で無茶苦茶なコードを弾く」ことはあまりない思うので、これも天才系の人以外は気にしなくてよいパターンだと思います。



◆コード進行のパターンについて


コードがだいたい頭に入ると、次に

「どうやって使えばよいのか?」

「どのように並べれば良いのか?」

という壁にぶつかると思います。


◇最初のうちは適当でOK


最初のうちは「C,Dm、Em、F,G,Am」といった基本的な3和音でギターやピアノを弾きながら鼻歌を歌い、「良い感じのコード進行」を作ってみるという遊びから始めたほうが、コードが身体に染みつきやすいと思います。

実際にプロの方でもギターをジャカジャカと弾いたり、小さなキーボードを弾きながら曲を作っている人も少なくないです。

歌ってみてキーが合わなければ、前記のように鍵盤楽器やDAWのトランスポーズ機能や、ギターのカポタストなどを使って全てCメジャー(ハ長調)と同じように考えると、混乱することなく作曲に集中できると思います。

慣れてきたらセブンスコードを入れてみたり、「Em」を「E7」にしてみたり、「F」を「Fm」にしてみたり、「Am」を「A」にしてみたりと、日本のポップスで良く使われるようなパターンを入れてみるのも良いと思います。


◇王道のコード進行を使ってみる

自分でコード進行を考えながら曲を作っていると「いつも同じような曲になってしまう」とか「自分から生み出されるコード進行に飽きてしまった」という悩みを抱える場面が出てくると思います。

そんな時には実際の曲で良く使われているコード進行を参考にしてみるのがおすすめです。

耳にすることが多い王道のコード進行の一例として「丸の内サディスティック進行」「小室進行」「カノン進行」などがあります。


丸の内サディスティック進行

ⅣM7 →  Ⅲ7 →  Ⅵm7 → Ⅰ7
FM7 → E7 → Am7 → C7

文字どおり椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」に出てくるコード進行です。

YOASOBIさんの「夜に駆ける」、Adoさんの「うっせぇわ」、ゆこぴさんの「強風オールバック」など、数々の名曲に使われているにもかかわらず、未だに色褪せる気配のない魔法のようなコード進行です。

小室進行

Ⅵm → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ
Am → F → G → C

小室哲哉さんが「Get Wild」などの数々の名曲で使っていたため「小室進行」と呼ばれることが多いコード進行ですが、「残酷な天使のテーゼ」「千本桜」「アスノヨゾラ哨戒班 」などにも使われており、ポップス、クラシックなど幅広いジャンルで使われている超王道のコード進行です。


カノン進行

Ⅰ → Ⅴ → Ⅵm → Ⅲm → Ⅳ → Ⅰ → Ⅳ → Ⅴ
C → G → Am → Em → F → C → F → G

パッヘルベルの「カノン」というクラシック曲で使われているコード進行ですが、邦楽・洋楽問わず「こすりたおす」という言葉では足りないくらい世紀を超えて過労死レベルで多用されているコード進行です。

カノン進行を使った曲ではベースラインを1音ずつ下げていくことも多く、譜面ではオンコードで表記されることもあるため初心者の方は「とっつきにくい」という印象を持つこともあるかも知れません。

しかし、実際には非常にシンプルな構成なので「この曲はカノン進行だな」と分かってしまえば耳コピが秒速で終わるというメリットもあり、作曲者以外のメンバーにとっても非常に有り難いコード進行だったりします。


◇コード集を活用する

「コード進行は共有財産」と言われることもありますが、メロディと違ってアーティストと同じコード進行を使っても基本的に著作権の問題は生じないと言われています。

そのため、自分の好きなアーティストの曲のコード進行を分析して、自分も使ってみるというのも上達の近道です。

ただ、コード進行の分析は手間だったりします。

コード進行はネットで調べれば多数出てきますし、MIDIデータが付属したコード進行のパターン集なども販売されていたりしますので、そいういったものを活用するのも便利です。


◇便利なプラグインやソフトウェアを使う

最近のDAWにはコード入力を支援してくれる便利なツールが入っていることも多いです。

たとえば、Cubase Proでは、前後に置かれたコードから新たなコード進行を提案してくれる「コードアシスタント」という機能が入っていたりします。


DAWに追加で入れるプラグインとしては「SCALER 2」という定番の製品が便利です。

海外のアーティストが使うコード進行や、曲のジャンル毎のコード進行が大量に入っています。

「SCALER 2」を買う場合には、時々開催されているセールの時期に購入するのがおすすめです。


フリーのソフトウェアとしてはWindows用ですが「Genkhord」も便利です。



いいなと思ったら応援しよう!