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PCのハードディスクをSSDに換装するメリットと方法
数年前に買ったPCをWindows10やWindows11にアップデートしたら急に起動が遅くなり処理も遅くなったという経験をした人も多いのではないかと思います。
そんな時に古いPCのハードディスク(HDD)をSSDに交換することでPCの起動や動作が速くなることがあります。
私も昔使っていたノートパソコンをWindows10にアップデートした途端にウィルスでも入ったんじゃないかと疑うくらい処理が重くなり、新しいノートPCを買って使っていました。
しかし最近になってノートパソコンを2台同時に使いたいという場面が増えてきたため、もう1台新しいPCを買うか、古いパソコンのハードディスクをSSDに換装するか迷っていました。
最近では激安の中古PCなども販売されていますが、バッテリーが死んでいる個体に当たることも多いという話も聞いたので、まだバッテリーが生きている古いノートPCを復活させるべくSSDに換装することにしました。
その結果、それまで「全然使えない」と感じるほど激重だったPCの処理速度が格段に上がって普通に使えるようになり換装のメリットを実感しています。
一方で、SSD換装する上でいくつか迷った点や困った点などもあったため、SSDの換装するメリットと換装する際の注意点などを整理したいと思います。
◆SSDへの換装で得られるメリット
起動・動作が速くなる
先ほどお話ししたとおり、PC内部のハードディスクをSSDに換装することで起動や動作が速くなるというメリットがあります。
古いパソコンはWindows10やWindows11にアップデートした段階で急に動きが遅くなる傾向があるため、「アップデートで重くなった」という場合にはSSDへの換装で問題が解決することがあります。
私のPCの元々のスペックは以下のとおりです。
CPU: Intel core i5-4210U
メモリ: 8.0GB
ストレージ: 500GB シリアルATA 600MB/s対応 5400rpm
OS: Windows 8.1 → Windows10にアップデート
Windows 8.1をWindows10にアップデートにした時点で起動速度・処理速度ともに激重になり、ブラウザで動画を見たり、Wordで文字を打っても途中で止まるくらい酷い状況でした。
しかしストレージをSSDに換装したところ、爆速で起動するようになり、DAWも扱えるくらい軽くなりました。
それ以外にもいくつかメリットがあります。
音が静かになる
ハードディスクはディスクを回転しながらデータを読み込むため、回転音がします。
静かな場所で録音作業をする時にはこの回転音も録音されてしまうことがありますが、SSDは回転体がないのでハードディスクのような回転音がしません。
そのためハードディスクをSSDに換装することで音が静かになる傾向があります。
ただしPCには廃熱用のファンも組み込まれているため、SSDに換装してもCPUに負荷をかけるような作業をしている時はファンの音が気になることはあります。
耐久性
SSDは振動や衝撃に強くハードディスクのようにクラッシュするリスクが小さいと言われています。
スタジオやライブ会場などに頻繁に持ち込むことを考えると、SSDに換装しておいたほうが安心感があります。
消費電力が減る(らしい)
僅かな差かも知れませんが、SSDはハードディスクよりも消費電力が少ないためバッテリー駆動時間が延びる傾向があるようです。
自宅外でノートパソコンを使う時は電源を確保できずバッテリー駆動させることもあるので少しでも消費電力が減るのは有り難いところだと思います。
換装ついでに容量を増やせる
PCを買う時には「ストレージの容量は500GBで十分かな」と思っていても、実際に使ってみると「1Tにしておけば良かった・・・」と後悔することがあると思います。
特に音楽制作や動画編集をしているとストレージの容量がどんどん足りなくなっていく傾向があります。
そんな時に換装するSSDの容量を大き目のものにすればPCの中に大量のデータを保存できるようになります。
◆ハードディスクをSSDに換装する方法
◇自分で換装作業をするか、か業者に依頼するか
まずSSDに換装する際に「自分で換装するか、業者に依頼するか」という選択肢があります。
「自分でやる」場合には
① SSD本体
② SSDを外付けするためのケース(HDDケース)
③ ハードディスクのデータのクローンをSSDに入れるソフト
などが必要になりますが、これがセットになった「換装キット」を買うのが簡単だと思います。
換装キットはSSDの容量にもよりますが安いモノは5000円~くらいで購入できるので「失敗してもまぁいいか」と思えるくらいの金額ではないかと思います。
他方で業者に依頼をすると2万~5万円くらいの価格がかかるので、SSDの入った中古パソコンを買えるくらいの費用になることもあります。
以下では「自分で換装する」場合を前提に、手順や注意点について説明します。
◇換装キットを買う
PCの自作などが好きな人であれば換装に必要なモノを自分で選びながら用意しても良いと思いますが、前記のとおり換装キットを買ったほうが楽です。
換装キットは様々なメーカーが出していますが、私が調べた範囲ではロジテックの換装キットが価格も安めで評判も比較的良いようでした。
ロジテックのキットの場合、SSDの容量は240GB、480GB、960GB、2TBから選ぶことができ、SSDの他に HDDケース 、 USBケーブル、サイズを調整するためのスペーサー、クローンを作成するためのソフトのライセンスなど、換装に必要なものが一式入っています。
240GB
480GB
960GB
2TB
私もロジテックの換装キットを買ったのですが、購入にあたり
・「購入の際はコピー元より大きい容量の換装キットをお選びください」という注意書きがあること
・対応機種が「標準でSATAⅢインターフェースを搭載したパソコン」
とされていることが気になりました。
コピー元より大きい容量の換装キットである必要があるか?
上記のとおり換装キットには「購入の際はコピー元より大きい容量の換装キットをお選びください」という注意書きがあります。
人によっては予算などの関係で「PCに入っているハードディスクよりも小さい容量のSSDを買いたい」という人もいると思います。
問題は「コピー元より大きい容量の換装キットでなければならないのか?
」という点ですが、レビューを見ると
・1000GBのHDD換装に対して、SSDが960GBだったので少し不安でしたが、問題無く移行できました。
・HDD容量は1TBのものでありましたが値段が高いので失敗を考慮し256GBで行いましたが成功です
・1Tから480GBへの変更でしたが容量は100Gぐらいしか使ってなかったので問題なく移行できました。
といった記載が複数あったので、「コピー元より小さい容量の換装キットでも成功した」という人も多いようです。
ただ前記のように製品の説明には「購入の際はコピー元より大きい容量の換装キットをお選びください」という注意書きがあるため、小さい容量のSSDを買って失敗した場合には自己責任ということになりそうです。
ロジテックの換装キットの場合は、SSDの容量は240GB、480GB、960GB、2TBから選ぶことができるので、予算と失敗した時のリスクを天秤にかけて選ぶことになりそうですが、余裕をもった容量を選んでおいたほうが失敗のリスクは少ないかも知れません。
「SATAⅢインターフェースを搭載したパソコン」かをどうやって調べるのか?
対応機種が「標準でSATAⅢインターフェースを搭載したパソコン」とされている点について、自分のPCが「SATAⅢインターフェースを搭載したパソコン」なのか調べる方法が分からなくて悩みました。
SATAⅢが採用されたのはかなり前なので古めのPCでもSATAⅢが搭載されていそうですが、換装キットを買った後に使えなかったら無駄になってしまいます。
私は最終的に「CrystalDiskInfo」というソフトを入れて、「対応転送モード」が「SATA600」と表示されていたため、「SATAⅢインターフェースが搭載されているだろう」ということが分かりました。
「SATA3」(SATAⅢ)は最大転送速度が600Mbpsで、「SATA600」はSATA3の規格に基づいて最大600Mbpsで転送できる機種を意味しているので、「SATA600」と表示されていれば「SATAⅢインターフェースを搭載したパソコン」であると思われます。
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なお、ロジテックの換装キットの仕様では他にも「2.5インチHDDまたはSSD(ドライブの厚さは7mmまたは9.5mmに限る)」との記載がありますが、ノートパソコンに搭載されているハードディスクの多くは、この条件を満たしていると思います。
◇換装キット付属のソフトを使ってクローンを作成する
自分のPCが換装キットに対応しているかを確認して、換装キットを購入したら、後は換装キットの説明書に基づいて作業してくだけ・・・なのですが、いくつか躓く可能性のあるポイントがあります。
以下、ロジテックの換装キットを使う際の注意点を整理したいと思います。
シリアルコード・ソフトウェアのバージョンについて
ロジテックの換装キットには「HD革命 CopyDrive Lite」というクローン作成用のソフトのライセンスが付属していますが、ソフト自体はロジテックのサイトからダウンロードすることになります。
説明書には一応ダウンロード先のURLは記載されているのですが、呪文のようなURLを手で打ち込むのは大変なので、Googleなどで「HD革命 CopyDrive Lite ダウンロード」のような形で検索してダウンロードする人のほうが多いと思います。
「HD革命 CopyDrive Lite ダウンロード」で検索すると『HD革命CopyDrive Ver7 Lite』と『HD革命CopyDrive Ver.8 Lite』のダウンロードページが出てくるのですが、自分が購入した製品に紐付いているほうを選択しないとエラーが出てダウンロードできないようです。
私が購入した製品のシリアルコードでは「Ver.8」はダウンロードできず、「Ver7」をダウンロードしました。
そして説明書に「シリアル番号」が記載されているのですが、ダウンロード時に入力するのは「説明書のシリアル番号」ではなく、製品(HDDケース)の裏側のシールに記載されている「S/N」に続くシリアルを入力する必要があります。
この点は説明書やダウンロードサイトにも注意書きがありますが分かりにくいようで、レビューを見てみると「説明書記載のシリアルを入力したのにソフトをダウンロードできない」といった記載が散見されました。
クローン作成用のソフトをインストール・起動する
ソフトをダウンロードしたらインストールします。
インストール時に改めてシリアルの入力を求められるのですが、ソフトをインストールする際に入力するシリアルは先ほどと逆で、製品(HDDケース)の裏側のシリアルではなく「説明書記載のシリアル番号」なので注意が必要です。
インストール後、SSDの入ったHDDケースをPCに接続し、クローン作成用のソフトを起動します。
説明書には「HD革命 CopyDrive Liteを起動し・・・」とあるのですが、デスクトップやプログラム一覧を見ても「HD革命 CopyDrive Lite」というソフトウェアが見当たりません。
その代わり「Arkランチャー」という名前のソフトウェアがインストールされており「Arkランチャー」のアイコンクリックすることで「HD革命 CopyDrive Lite」が起動しました。
クローンを作成する
後はソフトウェアの指示に従って、PCのハードディスクのデータのクローンをSSDに作成していきます。
「コピー元のハードディスク」としてPCのCドライブ等を選択し、「コピー先のハードディスク」にはPCに外部接続したSSDを選ぶのですが・・・私が購入した個体はPCのUSB端子に接続してもSSDが認識されていませんでした。
「HDDケースかSSDが壊れているのかな・・・」と途方に暮れそうになたのですが、試しにHDDケースを開けて、SSDを一度取り外した上で、もう一度SSDをケースにセットしたところPCがSSDを認識するようになりました。
他の人のレビューを見たところ同じ経験をしている人がいたため、ロジテックのHDDケース端子の接触があまり良くなかったのかも知れません。
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ソフトの画面で「コピー元のハードディスク」と「コピー先のハードディスク」を選んだら「コピー元ハードディスクと同じパーテーションタイプでコピーする」を選択し、コピー作業を進めていきます。
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私の場合、コピーが完了するまでに2時間~3時間かかりました。
PCに入っているハードディスクとSSDを交換する
コピー(クローン作成作業)が完了したらPCの電源を切って、PCに入っているハードディスクと、コピーデータを入れたSSDを交換します。
バッテリーを外せる機種であれば作業時はバッテリーを外しておいたほうが安全だと思います。
PCからハードディスクを取り出す方法は機種によって違いますが、今回私が換装した機種の場合、ハードディスクが入っている部分のネジを外すと、ちょうどその部分だけ裏蓋を外すことができるようになっていました。
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裏蓋を外したら、黒いテープみたいなものを優しく引っ張ってハードディスクを慎重に持ち上げます。
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最初はハードディスクに付いている星形の特殊ネジを回さないと外れないのかと勘違いしていたのですが、星形ネジはハードディスク自体を分解する時のためのものなので、PCからハードディスクを外すだけでれば星形ネジは回す必要はありません。
ハードディスクを持ち上げたら、ハードディスクに付いている端子(ケーブル)を慎重に取り外します。
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ハードディスクが入っていた場所にSSDを入れていきます。
HDDケースに入っているSSDはケースを開けて水平に引っ張ると簡単に外れます。
HDDケースからSSDを取り出したら、PCの端子(ケーブル)に接続して、フタを締めて終わりです。
やり方が分かっていれば簡単な作業だと思います。
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ハードディスクとSSDの厚さが違う場合には、換装キットに付いてくるスペーサーをSSDに取り付けてからPCに入れる必要があるようですが、今回は厚さが同じだったのでスペーサーは使いませんでした。
◆SSDに換装してどのくらい快適になったか
換装前はPCの電源ボタンを押してログイン画面が出るまでにも時間がかかっていたのですが、換装後は電源ボタンを押した直後にログイン画面が表示されるようになりました。
また換装前はログインした後も各ソフトが立ち上がるまで時間がかかったり、起動したと思っても10分くらい動作が安定しなかったり、動作が安定したと思っても急に文字が入力できなくなったり・・・とPCとしてまともに使える状態ではなかったのですが、換装後は普通に使えるようになりました。
非常に快適です。
換装前に最新のノートパソコンも買っていましたが、動画編集やDAWで複数のプラグインを立ち上げるといった使い方でなければ、「SSDに換装した古いパソコン」も十分に使えそうです。
今回は480GBの換装キットで6000円くらいでしたが、少ないコストでこれだけ快適になるなら、もっと早く換装しておけば良かったと後悔しています。
メインでは「デスクトップPC」や「新しいノートパソコン」を使うことが多いと思いますが、同時に複数台のパソコンを使いたい場面もあるので、今回換装して爆速化した古いパソコンも有効活用していこうと思います。
自分のパソコンが換装可能か確認
※不明な場合は、メーカーへ問合せましょう。
新しいHDD / SSDを用意する
※OSごと移行させる場合は、元々のHDD / SSDから新しいHDD / SSDへクローンを作製する。
※クローン作製についてはこちら
→重要データを守る!HDD / SSDのクローン製作とバックアップを忘れずに
※クリーンインストール(新規にOSをインストール)する場合は、必要なデータのバックアップをとっておきましょう。
パソコンの内蔵HDD / SSDを取り外し、新しいHDD / SSDと入れ替える
※クリーンインストールをする場合は、このあと実行します。
新しいHDD / SSDを選ぶときは、現在使用しているHDD / SSDより、容量の大きいものを選びましょう。製品によっては、換装に必要なソフトが付属している場合もあるので、そのような製品を選ぶのもひとつの方法です。
アプリケーションを使ってクローンを作る
アプリケーションを使って、ハードディスクにあったデータのクローンをSSDに作成する方法があります。この方法であれば、これまでとまったく同じ環境を継承できますので、すぐにパソコンを使うことができます。一般的には、クローンを作るためのアプリケーションを使うので、手間はかからず移行できます。
問題点は、SSDの容量がハードディスクの容量(使用容量)と同等かそれよりも大きい必要があることです。そのため、コスト的に問題なければハードディスクの容量以上のSSDを買い、買えないのであればハードディスクの使用容量を、移行する予定のSSDの容量以下にする必要があります。
ただし、交換後にOSをアップグレードするのであれば、極力古い設定ファイルなどは引き継ぎたくはありません。その場合はクローンを作るよりも、クリーンインストールが最適でしょう。
「HD革命/CopyDrive Lite」を使ったクローン作成手順
「HD革命/CopyDrive Lite」を使ったクローン作成手順
前述したように、ハードディスクからSSDに移行する際、同じOSを使い続けるのであれば、クローンを作るほうが簡単で速いです。
例えば、エレコムの内蔵SSD「ESD-IBシリーズ」は、クローンを作るための「HD革命/CopyDrive Lite」がついていますし、取り出したハードディスクを再利用できる変換ケースも付属しています。
ここでは、ノートパソコンの2.5インチハードディスクを、2.5インチのSSD(エレコムの内蔵SSD「ESD-IBシリーズ」)に交換する方法を紹介しましょう。
ノートパソコンにSSDを接続する
まずは、ハードディスクをSSDに交換する予定のノートパソコンに、ESD-IBシリーズを接続します。ESD-IBシリーズは、すでに2.5インチのケースに入っており、ノートパソコンと接続するためのUSBケーブルも入っているので、簡単に接続できます。接続できたら、きちんと起動しているかを確認しましょう。HD革命/CopyDrive Liteをインストールする
次に、HD革命/CopyDrive Liteをハードディスクにダウンロードします。ダウンロードしたら、ESD-IBシリーズのパッケージに入っていたシリアル番号を使い、HD革命/CopyDrive Liteをインストールします。
HD革命/CopyDrive Liteをインストールする
3. HD革命/CopyDrive Liteを起動しクローンを作る
HD革命/CopyDrive Liteのインストールが終わったら、ソフトを起動してクローンの作成をします。ただし、ハードディスクに保存されているデータ容量よりもSSDの空き容量が大きい必要があるためご注意ください。
なお、HD革命/CopyDrive Liteでの作業は、画面の指示に従えばできますが、迷ったときは付属のマニュアルが参考になります。
HD革命/CopyDrive Liteを起動しクローン
4. クローンが完成したらSSDを取り出してノートパソコンに差し込む
無事にクローンが完成したら、「ディスクの取り出し」でSSDをノートパソコンから外します。そして、ケースからSSDを取り出します。
次に、ノートパソコンの電源を落とし、ハードディスクを取り出します。そしてSSDをハードディスクのあった所に差し込みます。ただし、ESD-IBシリーズの厚みは7mmです。もし、お使いのノートパソコンに入っていたハードディスクが9.5mmの場合は、高さが合いません。その場合は、付属している7mmから9.5mmに変換できるスペーサーを使いましょう。
クローンが完成したらSSDを取り出してノートパソコンに差し込む
5. ノートパソコンが起動するか確認する
ノートパソコンにESD-IBシリーズを差し込んだら、再び電源を入れて起動するかを確認しましょう。無事に起動したら完了です。
元々入っていたハードディスクは、ESD-IBシリーズが入っていたケースに入れて、外付けハードディスクとして再利用する方法もあります。この場合は一度、ハードディスクをフォーマットして使いましょう。
なお、このハードディスクにOSを入れておき、万が一のときのために保存しておこうと考える人もいるでしょう。ですが、Microsoftの規約で禁じられておりますので、行わないようにしてください。