自宅とスタジオの両方で使えるギターアンプの比較とおすすめ
自宅用の小型アンプはについては
「自宅用の小型ギターアンプの比較とおすすめ」
という記事にまとめているのですが、↑の記事で紹介しているアンプは自宅で使う分にはちょうどよいサイスであるものの、スタジオやライブで使うことを考えると、出力が小さいものばかりです。
人によっては、自分のギターアンプを自宅だけでなくスタジオや部室に持っていって使いたいとか、ライブで使いたいという人もいると思います。
そこで自宅だけでなくライブでも使えるサイズのギターアンプの選び方とお薦めのアンプについてご紹介したいと思います。
◆自宅で使っているアンプをスタジオやライブで使うメリット
自宅で普段から使っているギターアンプをスタジオで使うメリットはいくつかありますが、1番のメリットは「普段から自分が自宅で練習している音と同じような音をスタジオやライブでも出せる」ということです。
自宅ではカッコ良い音が作れていたのに、スタジオやライブハウスに備え付けのアンプだと、なかなか自分の好きな音を作れなくて苦労した、という人は多いと思います。
特にライブの場合にはリハーサルの時間が限られていますので、自分の納得のいく音が作れないまま本番を迎えて残念な結果になってしまった、ということも良くあると思います。
そんな悩みがある人は、自宅で使うアンプとスタジオ・ライブで使うアンプを一緒にすると、自宅でじっくりと音作りをした上で、スタジオやライブで同じような音が出せるので、安心感があると思います。
◆自宅で使っているアンプをスタジオやライブで使うデメリット
他方で、自宅で使っているアンプをスタジオやライブで使うことにはデメリットもあります。
1番のデメリットは「練習やライブの度にアンプを運ばなければならない」ということだと思います。
アンプは重くて大きものも多いので、ギターやエフェクターケースの他にアンプも持ち運ぶと汗だくになったり電車で他の人の邪魔になってしまったりと、大変なことも多いと思います。
この点については、最近はアンプも進化してきていて、比較的軽くて小さくても、大きめの音が出せるアンプもありますので、車を持っていない人は小さくて軽めのアンプを選ぶのが良いと思います。
◆スタジオなどで使えるギターアンプの出力の目安
スタジオやライブでも使うことを考えると、アンプの「音の大きさ」に注意する必要があります。
音が小さいアンプだと、ドラムの生音の大きさに負けてしまって聞こえなかったり、音量を上げた時に音が割れたり不自然になることがあります。
ただアンプのカタログの仕様を見てみても「音の大きさ」は書いていないことがほとんどなんですよね。
では、どうやってアンプの「音の大きさ」を判断するかというと、目安になるのがワット数(W)と、スピーカーの大きさです。
必ずしも「ワット数=音の大きさ」とは限らないのですが、一般的にはワット数が大きいアンプほど、大きな音が出る傾向があるので、やや大きめのワット数のアンプはスタジオやライブでも使えるくらいの音量のものが多いです。
またスピーカーのサイズが極端に小さいアンプは避けたほうが無難です。
その他、商品のレビューを見てみると「スタジオで使ってみたけど十分な音量だった」とか「メタルバンドで使ったら音量が不足していた」などのコメントが書いてあることもありますので、そういったレビューもある程度は参考になります。(ただ、こういったレビューは主観によるものも多く、使う環境によって評価は変わってくるので注意も必要です)
目安としては、スタジオでアンプを使うことを考えた場合には30W以上が1つの目安で、50Wくらいあればドラムがパワフルなバンドでも安心かなと思います。
ライブで使う場合、アンプの音をマイクで拾ってくれる場合には、30Wあれば十分なことが多いと思います。
(私は30Wで困ったことはありません。)
ただ出力が十分あっても、アンプが小さいと弾いている自分がアンプから出ている音を聞き取りにくいことがあるので、小さめのアンプをライブで使う場合には、PAさんと相談してイスの上のアンプを置いたり、アンプ用のスタンドを使ってアンプのスピーカーが自分の耳の方向を向くように角度を付けるようにすると使いやすいと思います。
あと、出力が大きすぎるアンプは自宅で使うと爆音過ぎて近所迷惑になる可能性があるので自宅で使うことを考えると80w以上のアンプは避けたほうが無難だと思います。
この点については、後でまた触れますが出力(W数)を調節できるアンプもありますので、「自宅では小さい音で練習したいけど、スタジオやライブでは爆音を出したい」という場合には、出力の調整機能が付いたアンプを選ぶのが良いと思います。(出力の調整機能は、ローランド、ボス、VOX・コルグなど日本のメーカーのアンプに付いていることが多いです。)
◆真空管アンプか、デジタルアンプ・トランジスタアンプか
出力と関係する話になりますが、真空管アンプか、それ以外のアンプかという点も注意する必要があります。
真空管アンプは、一般的にプリアンプという音を作る部分と、パワーアンプという音に「真空管」を使っているアンプのですが、真空管は「ある程度大きな音を出さないと良い音が出ない」という傾向があります。
そのためスタジオでも使えるくらいの出力のある真空管アンプを買うと、自宅では爆音になる、ということがほとんどです。
スタジオ等と自宅の両方で使うことを考えると、真空管アンプ「以外」の「デジタルアンプ」や「トランジスタアンプ」(ソリッドステートアンプ)と呼ばれるアンプを選んだほうが使い勝手が良いと思います。
また真空管アンプは一般的に重い物が多いので、真空管アンプ「以外」のアンプのほうが持ち運びは楽です。
ただ、そうは言っても真空管アンプはデジタルでは出せない素晴らしい音を出せるのも事実で、どうしても真空管アンプを使いたいといいうことであれば、自宅用とタジオ用でアンプを分ける、と割り切る必要があるかも知れません。
また、最近ではKorg・VOXが「Nutube」という新しい真空管を使ったアンプを販売していますが、その中には自宅とスタジオなど、使う場所に応じて出力を変えられるタイプのものもあるので、「真空管らしい音が欲しいけど、アンプは1つだけにしたい」という人は、サウンドの好みが合えば「Nutube」を使ったアンプを選択肢に入れても良いと思います。
◆出力(音の大きさ)以外で気にするべき点
「自宅とスタジオの両方で使うアンプ」を選ぶ時には、出力以外にもチェックしたいポイントがいくつかあります。
① 重さ・大きさ・スピーカーのサイズ
先ほど触れたとおり持ち運ぶことを考えると軽くて小さいもののほうが便利です。
一方で、小さくて軽いアンプは、音も軽かったり(低音が出なかったり)、音量も小さくなる傾向があるので、自分の環境(部屋の大きさ、車を持っているか、筋肉に自信があるか)などを考えて、ちょうどよいバランスのものを選ぶのが良いと思います。
② パソコンやスマホから操作できるか
最近のアンプはパソコンやスマホで操作できるタイプも増えてきています。
パソコンやスマホで操作できるアンプは、①細かい音作りができる、②自分の作った音を保存できる、③プロなど世界中の他の人が作った音色を自分も使える、などのメリットがあるものが多いです。
他方で、パソコンやスマホで操作できるアンプの中には、逆にパソコン・アンプがないと細かい音作りができないものあったりして、逆に「面倒臭い」と感じるものもあったりします。
この点は自分がパソコンなどで細かい音作りをしたいタイプなのか、それともアンプのツマミだけで直感的に音作りをしたいタイプなのか、ということを考えて選ぶと良いと思います。
③ 音色の種類
ギターアンプなので、当然、音が自分の好みに合うかも重要です。
というか、アンプは自分の出したい音を出すために買うものなので、他の要素は無視してでも「自分が好きな音を出せるかどうか」で選ぶしかない、という場合もあると思います。
Youtubeなどを見れば試奏動画はたくさんあると思いますが、動画で他の人が弾いているのを聴くのと、実際に自分で弾いてみるのでは、印象が全く違うことも多いので、可能であれば楽器屋さんで試奏して判断したほうが良いと思います。
前置きが長くなりましたが、具体的に「自宅とスタジオの両方で使える小型ギターアンプ」として、個人的におすすめなものをいくつか紹介したいと思います。
◆Vox「VX50GTV」
音色数 多め(11種類)
エフェクト 普通
大きさ 354mm x 313mm x 208mm
重さ 4.1kg
スマホ操作 可能
PC接続 可能
フットスイッチ 可能
出力等 50W、20cm(8インチ)
出力の調整 可能
・軽くて音が大きい
「軽くて大きい音が出せる」ということで人気が高いアンプがVoxの「VX50GTV」です。
出力は50Wあり一般的なバンドであれば音の大きさは十分で、音量をマックスにするとスタジオでも「うるさい」と感じるくらいです。
それなのに、重さはたったの約4kg程度しかないのでスタジオに持っていく時も苦になりませんし、女性でも十分に持ち運べる重さです。
・音色・エフェクトが豊富
音色はVOX系のアンプだけでなく、クリーン系2種類、マーシャル3種類(1959、JCM800、JVM)、Soldano、Mesa/BoogieのRECTIFIERと十分な選択肢があります。
さらに外部のアンプシミュレーター音をほぼそのまま出力できる「LINE」という設定も用意されているため、マルチエフェクターやアンプシュミレーター用のスピーカーとしても使うことができます。
エフェクトも、コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ、ディレイ、リバーブと基本的なタイプは1通り入っていて、フットスイッチによる操作も可能なので、エフェクターがなくても、このアンプ1台で幅広い音楽のジャンルに対応できます。
・出力の調整ができる
また、「VX50GTV」は出力(ワット数)を0Wから50Wまで無段階に調整できるため、自宅では10w以下の小音量で、スタジオでは50wの大音量で使う、ということが可能です。
ただ出力を絞っても自宅で使うくらいの小音量にすると、ボリュームを少し回しただけでも音量が大きく変わるため、個人的には自宅での音量調整は少し面倒だなと感じました。
ヘッドホンを繋いで音を出す分には音量調整のストレスは全くありませんでした。
・音の特徴
「VX50GTV」はスタジオで大きな音で鳴らすと良い音なのですが、自宅で出力を下げて小音量で使うと、音は軽くなりペラペラとした感じで、あまり好きになれませんでした。
この点については自宅ではヘッドホンを使うようにすれば解決できると思います。
それから「VX50GTV」は高音域の一部が盛り上がったような特徴のある音で、イコライザーを調整しても、高音域の「コブ」のような部分が取れない印象があります。
この特徴的な音が好きな人もいれば、苦手と感じる人もいると思います。
この高音域に特徴があるサウンドが自分の好みやジャンルにはまれば問題はないと思いますが、ジャンルによっては「高音域がジャリジャリと痛い」と感じる人もいるように思います。
・本体のイコライザーが「TREBLE」と「BASS」の2つしかない、ノイズリダクションの調整が難しい
個人的に「困ったな」と感じたのが、本体のイコライザーのツマミが「TREBLE」と「BASS」だけであり「MID」がないところです。
自宅用の小型アンプには「MID」がないというのは良くあることなのですが、スタジオやライブで使うことを考えると、場所の環境は他の楽器に合わせてミッドの調整ができないといいうのは不便です。
また出力の小さいギターで弾いているとノイズリダクションで音が不自然な途切れ方をすることがあります。
この点も解決策はあって、スマホやPCに「Tone Room」という専用のアプリをダウンロードして、スマホ・PCと「VX50GTV」を接続すると、アプリでミッドやノイズリダクションの設定ができます。
ただ、私が持っている2台のスマホのうち、1台はUSBの変換アダプタを使うことで接続できたのですが、もう1台のスマホは接続してもアンプが反応しなかったので、スマホによって使えるものと使えないものがあるのかも知れません。
・「Nutube」の恩恵が分かりにくい
この「VX50GTV」は「Nutube」が搭載されているというのが売りの1つになっているのですが、個人的には「Nutube」の恩恵が感じにくいように思いました。
というのも、VOXは以前から「VX」シリーズとしてレベルの高いデジタルモデリングを採用したアンプを出していたのですが、「Nutube」の入っていない旧モデルの「VX」シリーズも十分に音は良かったからです。
「Nutube」にこだわらない人で、できるだけ安いアンプが良いという人であれば、旧モデルの「VX」シリーズが中古市場で安く出回っているため、そちらを選択肢に入れても良いのかなと思いました。
・Vox「VX50GTV」の兄弟機種
Voxのアンプは同じような性能のラインナップが用意されていて、この「VX50GTV」にも「CAMBRIDGE50」「MINI GO 50」といった兄弟機種があるので、「VX50GTVは良いけど、ここがちょっと好きになれない」という部分がある場合には、他の機種を検討してみるのも良いと思います。
「CAMBRIDGE50」
「MINI GO 50」
◆BOSS 「KATANA-50 MkII、Gen3」
音色数 多め(10種類~)
エフェクト かなり多い
大きさ 470mm x 398m x 238mm
重さ 11.6kg
スマホ操作 ×
PC接続 可能
フットスイッチ 可能
出力等 50W、30cm(12インチ)
出力の調整 可能
海外で特に人気なのがBOSSの「KATANA」シリーズ。
YoutubeやGoogleで「BOSS KATANA」と検索すると、かなり多くの海外のレビューが出てくるのが分かると思います。
海外では「サムライ」「スシ」「ゲイシャ」みたいなノリで「カタナ」も人気なのかも知れない。
・音色数
音色はBOSS独自の「クリーン」「クランチ」「リード」「ブラウン」「アコースティック」という5種類に、それぞれ「バリエーション」という別の音色が選べるようになっているので10種類あり、最新の「GEN 3 」には「PUSHED」という音色が追加されて12種類になりました。
「ブラウン」はヴァンヘイレンに代表されるような伝統的なロックサウンドですが、実際に真空管アンプとエフェクターを使ってイチから「ブラウンサウンド」を作ろうとするとかなり難しいんですよね。
気軽に「ブラウンサウンド」が出せるのは「KATANA」シリーズのメリットだと思います。
またアコースティックギター専用の「アコースティック」というタイプが選べるので、ライブでエレキギターの他にアコギ系の曲をやる場合には便利です。
肝心の音はBOSSらしい安心感があってジャンルを選ばない音色なので、BOSSの音が好きな人であれば使い勝手はかなり良いアンプだと思います。
スピーカーから出てくる音は、ややプラスチック感がありますが、大きさや価格を考えると十分な音質だと思います。
「KATANA」シリーズの音色はBOSS独自のものがほとんどなので、マーシャルやフェンダーの「あのアンプの音を出したい」という人にとっては、物足りないと感じるかも知れません。
・エフェクト数
「KATANA-50 MkII」の凄いところは、このアンプの中に多くのBOSSのエフェクターが入っていることです。
このアンプの中に入っているエフェクターの種類は、BOSSのホームページ内にある「BOSS TONE STUDIO for KATANA Mk II の使いかた」という取扱説明書に書いてあります。
歪み系はBOSSの定番のOD-1、DS-1、BD-2、MT-2系のモデリングの他に、TS-808、MXRのDISTORTION、MarshallのGUV’NOR、RAT、Big Muff・・・など、定番どころのエフェクター含め、20種類以上が使えます。
その他にコーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ、スローギア、コンプ、オートワウ、オクターブ、ハーモニスとなど、一般的なマルチエフェクターに入っているようなエフェクトは一通り揃っているので、「KATANA-50 MkII」は、アンプというよりも、BOSSのマルチエフェクターとアンプをセットにしたものと考えたほうが分かりやすいかなと思います。
BOSSのマルチエフェクターは低価格帯のGT-1でも2万円以上するので、「KATANA-50 MkII」の3万円前後という価格、全世界的に販売台数が多いBOSSだからこそ可能なコストパフォーマンスかなと思います。
・出力の調節ができる
「KATANA-50 MkII」は、出力を0.5W、25W、50Wと調節できるので、自宅では0.5wで小音量で使って、スタジオやライブでは50wで大きな音で演奏する、ということが可能です。
この気配りは流石日本のメーカーといった感じです。
・POWER AMP IN 端子がある
「KATANA-50 MkII」には外部のプリアンプ、アンプシミュレーター、マルチエフェクターなどで作った音などを入力するための「POWER AMP IN 端子」があるのは便利です。
・PCやスマホで操作が可能
「KATANA-50」はPCを接続することでマルチエフェクターのように細かい設定や音作りができます。
また最近発売された第3世代(GEN3)ではスマホで音色の細かい設定・保存ができるようになりしたし、第2世代(MKⅡ)でも非公式の「Katana Librarian」というアプリを使うことでスマホで音色の編集・保存などが可能です。
またPCやスマホが無くても普通のアンプとして使っても音も良くて優秀なアンプだと思いますし、ツマミも多めで最低限アンプとして使う分に困ることはないので、「マルチエフェクターっぽく使うつもりはない」という人は、PCやスマホを敢えて使わなくても問題はないという人もいると思います。
以下、個人的に「KATANA-50 MkII」の気になったところを挙げたいと思います。
・「刀」のロゴがダサい?
「刀」というロゴは外国人には受けが良いようですし、小中学生くらいまでであればハートに響くかも知れませんが、日本の大人にとっては「ダサい」と感る人は少なくないかも知れません。
正直なところ「KATANA」シリーズは性能もコスパも良いのに、日本で圧倒的なシェアを獲得するまでに至っていないのは、このロゴが原因かも知れないです。
ただ「俺は見た目ではなくサウンドでこのアンプを選んだんだ」という強い信念を持って使うのであれば、「逆にカッコ良い」かなと思います。
・少し大きくて重い
先ほどのVox「VX50GTV」に比べると「KATANA-50 MkII」は幅が50センチ弱あり、重さも11kg超なので、徒歩や電車で持ち運ぶのは少し辛いかも知れません。
自動車を持っている人であればあまり問題はないと思います。
◆ROLAND 「CUBE-40XL」(「CUBE-40GX」)
音色数 多め(約10種類)
エフェクト ある
大きさ 385mm x 385m x 265mm
重さ 10.6kg
スマホ操作 ×
PC接続 ×
フットスイッチ 可能(+ 複数繋げる)
出力等 50W、25cm(10インチ)
出力の調整 可能
BOSSの「KATNA」シリーズが販売される前は、ROLAND(今はBOSSと同じ会社)の旧「CUBE」シリーズが人気でした。
初めて「CUBE」を使った時には当時では考えられないくらい音が良くて驚いたのを覚えています。
この「CUBE」シリーズはジャズコーラスと同様に歴史のあるアンプで、古い「CUBE」シリーズのアンプが中古市場で高めの価格で取引されていることもあります。
その中でも現在でも中古市場で比較的安価に手に入りやすいのが「CUBE-40XL」(又は「CUBE-40GX」)かなと思います。
・音色数
音色の数は10種類程度と豊富ですが、特徴的なのがジャズコーラス(JC-120)のモデリングがあることと、アコースティックシュミレーターが付いているところです。
ジャズコーラス(JC-120)はスタジオでは嫌われがちなアンプですが、多くのスタジオやライブハウスに置いてあるので、ギタリストにとっては「ジャズコーラスをどうやって克服するか」ということが非常に重要な課題だったりします。
そんな時に自宅で気軽にジャズコーラスのモデリングを使って、エフェクターとの相性などをチェックできるのは便利です。
また、スタジオ練習やライブで「アコギ系の曲もやるけど、アコギをわざわざ持っていくのが面倒だな」、という時には、アコースティックシュミレーターが付いていると便利です。
「CUBE-40XL」と「CUBE-40GX」は今では生産されてないやや古いアンプなので、各モデリング(特に歪み系)も少し古い印象があることは否めません。
しかし、海外では「KATANAや他のデジタルアンプよりも、昔のCUBEの音のほうが好き」という人が今でも多くて、わざわざ中古市場でCUBEシリーズのアンプを買って使っていたりします。
この辺の音色は好みだと思うので、絶対的にどっちが良いということはないのですが、Youtubeなどで最近のアンプと昔のCubeの音を比較している動画がいくつかあるので、興味がある人は参考にしてみると良いと思います。
(以下の動画は「CUBE-40」ではなく「CUBE-80」との比較動画ですが、参考になるかも知れません。)
・比較的小さい
「CUBE-40XL」と「CUBE-40GX」は、「VX50 GTV」よりは大きくて重いですが、「KATANA50」などの最近の同クラスのアンプと比べると小さめで、部屋に置いていても邪魔になりにくく、正方形の形をしているので持ち運びもしやすいです。
個人的には部屋に置いたり持ち運んだりすることを考えると、ちょうど良いサイズ感だと思います。
・出力の調整が付いている
「CUBE-40XL」には、パワー・スクイーザーという機能が付いていて、出力を2Wまで下げること可能です。
自宅では小さ目の音量で練習・音作りして、スタジオやライブでは40Wの大音量で鳴らすということが可能です。
(後発の「CUBE-40GX」のほうは、同様の機能はなかったような気がします。間違えていたらすみません。)
・ルーパーが付いている・フットスイッチ機能が豊富
「CUBE-40XL」にはルーパーの機能が付いているので、音を重ねて演奏をすることもできますし、ライブのリハーサルの時などに、音をループ演奏させつつ、客席側から自分の音がどのように聞えるかを確認できたりして便利です。
また、「CUBE-40XL」は背面にフットスイッチの端子が3つもあり、エフェクトの設定や、ソロモードなどを細かく足下で操作することができます。
・見た目も悪くない
個人的な独断と偏見に基づく感想ですが「CUBE-40XL」のキャビネットには「ROLAND」のロゴが入っていて個人的には好きです。
他方で「CUBE-40XL」の後に販売された「CUBE-40GX」のキャビネットには可愛らしいフォントで「CUBE」というロゴが入っているのですが、個人的にはちょっとダサいなと思っています。
(このあたりは完全に好みの問題だとは思います。)
以下、「CUBE-40XL」と「CUBE-40GX」について、個人的に気になる点を挙げていきます。
・スマホ・PCからの操作ができない
「CUBE-40XL」はやや古いアンプなので、スマホやPCで細かい設定をするということはできません。
ただ、個人的にはスマホやPCに頼らずに全ての設定や音作りができるというのは、細かいことに悩まなくて良いという点でメリットでもあると思っています。
マルチエフェクターが面倒だと感じる人は、こういたシンプルなアンプのほうが相性が良いかも知れません。
「CUBE-40GX」は「iPhone/iPad を接続してセッションや録音が楽しめるi-CUBE LINK」という機能が付いているらしいのですが、今のiPhone/iPadに対応しているのが不明でした。
・新品で買えない
「CUBE-40XL」と「CUBE-40GX」は既に生産はされていないので、新品を入手することは基本的にできないですし、新品を買えないということは保証も付いてきません。
ただ、壊れにくいことで有名なジャズコーラスを作っているローランドということもあって、CUBEシリーズも古いものでも頑丈なものが多いかなという印象です。
◆ROLAND「Blues Cube Hot」
音色数 少ない
エフェクト リバーブのみ
大きさ 433mm x 413m x 236mm
重さ 12.6kg
スマホ操作 ×
PC接続 USB接続をしてPCに音を入れることは可能だが、操作はできない
フットスイッチ 可能
出力等 30W、30cm(12インチ)
出力の調整 可能
ROLANDから現行で販売されている「Cube」という名前が付くアンプの中で比較的小さく自宅でもスタジオでも使いやすいのが「Blues Cube Hot」です。
「Blues Cube」はトランジスタアンプであるにもかかわらず、真空管アンプのような音が出せるということで、ジャズなどもこなすような上級者が使っていることが多い印象です。
30Wクラスのトランジスタアンプの中では価格は高めですが、音は抜群に良いと思います。
このアンプを使うと、他の30W~50Wクラスのデジタルアンプの音が「おもちゃの音」のように感じてしまう人もいると思いますし、そのくらい「Blues Cube」シリーズの音はインパクトがあると思います。
・音色数・エフェクト数
音色は「BOOST」ボタンと「TONE」ボタンが付いてるだけで、クリーンと軽いクランチサウンドしか出せません。
そのため強めの歪みを出すためには別途エフェクターを用意する必要があります。
エフェクトもリバーブのみです。
音色とエフェクトが少ないのはデメリットと感じる人もいると思いますが、余計な機能を付けずに音質やキャビネットの品質にコストを全振りしている結果なのかなと思います。
・大きさ・重さ
大きさは433mm x 413m x 236mm、重さ12.6kgで、最近の他の30Wのギターアンプと比べるとやや大きくやや重い、という印象があるかも知れません。
しかし、真空管アンプに比べるとずっとコンパクトで小さく、しかもこのサイズと大きさで真空管アンプに近い音を再現できることを考えると、音質と大きさ・重さの絶妙なバランスをとったアンプなのかなと個人的には思います。
「重くてメンテナンスを気にしなければならない真空管アンプが嫌だけど、真空管アンプのような音が欲しい」という人、大きさ・重さはむしろ「音が良い割には小さい・軽い」と感じるかも知れません。
・スマホ操作はできない、PC接続は?
硬派なアンプということもあり、スマホやPCからの操作というようなチャラチャラした機能は付いていません。
ただ、USB 端子を通じて高音質のサウンドをPCに直接録音することが可能になっています。
・出力の調整が可能
硬派なアンプですが、4 段階(0.5 W・5 W・15 W・30W)のパワー・コントロール機能が付いているので、自宅は小さい音量で練習・音作りして、スタジオやライブでは大音量で鳴らす、ということが可能です。
・見た目
見た目は高級感がありますし、「KATANA」シリーズのような中二病感もないので、このアンプをもってスタジオに入れば「こいつは出来そうだな」という印象を与えられることは間違いないと思います。
◆MARSHALL 「CODE50」
音色数 多め、ただしマーシャル系のみ
エフェクト 多い(24種類)
大きさ 530mm x 440m x 280mm
重さ 13.6kg
スマホ操作 可能
PC接続 可能
フットスイッチ 可能
出力等 50W、30cm(12インチ)
出力の調整 ない(ボリュームを絞れば家でも使うことは可能)
・音色数
「CODE」シリーズはマーシャルが好きな人にとってはかなり魅力的なアンプだと思います。
定番の1959、JCM800 、JCM2000、JVMシリーズの他にもギタリストにとっては聴いただけでヨダレが止まらなくなりそうなくらい歴代の様々なマーシャルのサウンドが入っています。
他にこれだけマーシャルのサウンドが詰め込まれたアンプはないので、そういった意味では唯一無二の存在であり、「マーシャルのいろんなアンプの音が欲しいんだ」という人には「選択肢はこれしかない」ということになると思います。
他方で初心者の方や、マーシャル以外の音も欲しいという人にとっては、マーシャルの音しかないというのはデメリットかも知れません。
「CODE」シリーズのモデリングは「Softube」という会社が提供しているようなのですが、このSoftubeという会社はDTMをやっているギタリストであれば知っているな有名なプラグインメーカーであり、モデリングに対する評価も高いです。
ただ実際に「CODE」シリーズの音を聴いてみると・・・実機のマーシャルと比べるとデジタル感は結構あります。
このデジタル感がかえって「上品な音で弾きやすい」と感じる人もいるかも知れませんが、実機の真空管アンプを弾き慣れた人だと「荒々しさがない」「物足りない」「つまらない」と感じる人もいると思います。
・エフェクト
対抗馬の「KATANA」に比べる「CODE」のエフェクトは24種類とやや少ないですが、それでも十分すぎる量ですし、同時に5個使用できるので、アンプ1つだけでも困ることはそうそうないと思います。
・スマホ操作・PC操作が可能
対抗馬の「KATANA」と異なり、「CODE」はPCだけでなくスマホにも接続できます。
正直なところスタジオにアンプとPCの両方を持っていくのは現実的ではないので、スマホで細かい操作ができるという点では「KATANA」よりも「CODE」シリーズのほうが使い勝手が良く優れていると思います。
ただ「CODE」とスマホをBluetooth接続しようとしたら上手くいなかったという人が少なからずおり、スマホとの相性によってはスマホ操作がうまくいかないということもあり得るかも知れません。
・出力の調整がない
「CODE」には出力の調整機能はついていないようです。
ボリュームを絞れば家でも使うことは可能ですが、出力調整機能がないと、ボリュームの操作がシビアになり、少しボリュームを動かしただけで音量が大きく変化したりするので、特にアパートやマンション暮らしでご近所さんに気を使う必要がある人にとっては少しストレスになるかも知れません。
◆FENDER 「Mustang LT50」
音色数 多い(20種類)
エフェクト 多い(25種類)
大きさ 420mm x 430m x 220mm
重さ 9kg
スマホ操作 ×
PC接続 可能
フットスイッチ 可能
出力等 50W、30cm(12インチ)
出力の調整 出力の調整機能はない(ボリュームを絞れば家でも使うことは可能)
・音色数
対抗馬の「KATANA」にはBOSS独自のモデリングしか入っておらず、マーシャルの「CODE」もマーシャルの音しか入っていないという弱点がありました。
しかし、FENDERの「Mustang」シリーズには歴代のフェンダーの名機のアンプだけでなく、マーシャル、ハイワット、VOX,オレンジ、メサブギ、5150など、他社の有名どころのモデリングが詰め込まれており、特に初心者の人にとっては、「各社のアンプがどのような特徴の音なのか」を勉強することができるため、その点は非常に魅力的だと思います。
・エフェクト
内蔵されているエフェクトは25種類と十分な数が入っていますが、対抗馬の「KATANA」に比べると数は少なめです。
特に「Mustang」の歪み系は6種類くらいなので、「KATANA」に膨大な量の歪み系のエフェクトが用意されていることを考えると「もっと色々な歪み系ペダルで遊びたかった」と感じる人もいるかも知れません。
ただエフェクトの数が多いと選ぶのも大変ですし、基本的に歪み系のエフェクトがなくてもアンプのモデリングで十分な歪みは作れるので、個人的には「Mustang」のエフェクトの数は十分かなと思います。
・大きさ・重さ
「Mustang LT50」の大きさは「420mm x 430m x 220mm」、重さは「9kg」と、対抗馬の「KATANA50」や「CODE50」に比べると、やや小さめで軽く、持ち運ぶことを考えると「Mustang LT50」のほうが便利だとお思います。。
・スマホ操作はできない、PC接続は?
「Mustang LT50」はPCに接続することはできますが、スマホに接続をして細かい調整をするということはできないようです。
これはデメリットのようにも思えますが、「Mustang LT」シリーズはアンプ自体に小さめのディスプレイと回転式のノブを設置することで、わざわざスマホに繋がなくても細かい設定ができるように工夫をしているのだと思います。
スマホが接続できるアンプは便利ではありますが、実際にはアンプにスマホを接続するというのは実際にやってみると面倒な作業で、結局スマホを繋がなくなる人も多いと思います。
スマホなしでアンプのディスプレイとノブで様々な設定ができるという点で「Mustang LT50」は使いやすいアンプだと思います。
・出力の調整はない
「CODE」と同様に「Mustang LT50」には出力の調整機能はついていないようですので、自宅で小音量で音を出す時にはボリューム操作が面倒かも知れません。
「CODE」を作っているマーシャルも、「Mustang」を作っているフェンダーも海外のメーカーですが、基本的の海外の住宅は自宅で大きな音を出せることも多いので、出力の調整にはあまり気を配るという意識がないのかも知れません。
これに対して、日本のメーカーであるROLAND,BOSS,VOX(KORG)は、やはり騒音対策という気配りという点では優れていて、出力の調整機能が付いているものが多いので、その点ではアパートやマンションに住んでいる人は日本のメーカーのもののほうが使いやすいかも知れません。
◆BLACKSTAR 「ID:CORE STEREO 40」
音色数 普通(6種類)
エフェクト 普通(モジュレーション4種、ディレイ4種、リバーブ4種)
大きさ 434mm x 336m x 185mm
重さ 6.2kg
スマホ操作 ×
PC接続 可能
フットスイッチ 可能
出力等 50W、16.5cm(6.5インチ)×2個
出力の調整 出力の調整機能はない(ボリュームを絞れば家でも使うことは可能)
個人的にはBLACKSTARの「ID:CORE」は好きなシリーズです。
「ID:CORE」シリーズの特徴を端的に説明すると「安い」「軽い」「音作りが簡単」です。
・音色数
音色はクリーン2種類、クランチ2種類、オーバードライブ2種類です。
実際には「クランチ」という名前のチャンネルはオーバードライブ~ディストーションくらいの「バッキングで使えるくらいの歪み」で、「オーバードライブ」という名前のチャンネルはチャンネルはリードギターに使えそうなディストーション~メタル系の激し目の歪みです。
他のデジタルアンプに比べると音色数はやや少なめですが、どれも即戦力で使えるような無難な音色なので、音色が不足するということはないと思います。
BLACKSTARのアンプのデメリットは「BLACKSTARらしい音しか出せない」という点です。
BLACKSTARのアンプの音はカラっと乾いたような音が多く歪みのキメが細かくて使いやすいのですが、他のメーカーのアンプとは違った特徴的な音がします。
BLACKSTARのアンプの音が好みにハマる人であれば買いだと思いますが、買う前に試奏動画を見たり実際に楽器屋で試奏して判断するのが良いと思います。
・音作りがシンプル
BLACKSTARのアンプは音作りがシンプルなモデルが多く、この「ID:CORE」も簡単にカッコ良い音が出せるように工夫されています。
音色(クリーン・クランチ・オーバードライブ)を選んだら、後はゲイン、ボリューム、EQのツマミを調整するだけなのですが、EQは「ISF」という独自にツマミがあるだけで、一般的なアンプにあるようなトレブル・ミッド・ベースのツマミがありません。
その分、ゲインを音量さえ調整してしまえば、どの曲にも合うような無難な音が簡単に出せるようになっています。
「俺達が格好いい音を作ってやったから、黙ってそれを使え!」というメッセージが感じられる潔い感じの仕様です。
ちなみに、PCに接続をすれば、トレブル・ミッド・ベースなど、非常に細かい音作りができるようにはなっています。
・エフェクト
モジュレーション4種(フェイザー、フランジャー、コーラス、トレモロ)、ディレイ4種、リバーブ4種)と、基本的なエフェクトは揃っています。
歪み系のエフェクトは入っていませんがアンプのモデリングで十分な歪みが得られるので、歪みが足りなくて困るということもないと思います。
エフェクトはYAMAHAのTHRシリーズと同じように、ツマミをくるくる回すだけの簡単仕様になっているので、初心者の人でも深いことを考えずに簡単にエフェクトを使うことができると思います。
・軽い
「ID:CORE 40」の重さは6.2kgしかなく、同クラスのアンプの中ではVoxの「VX50GTV」の次に軽いです。
正直なところスタジオにアンプを持っていくということを考えた時には「軽い」=「正義」で、1kgか2kgでも重くなると持っていくのが面倒になるんですよね。
そういった意味では軽いアンプを探しているけれども「VX50GTV」の音がどうも好きになれないという人は「ID:CORE」を選択肢に入れてもよいのではないかと思います。
・スマホ操作はできない、PC接続は可能
「ID:CORE」はスマホには接続できませんが、このアンプは「細かい設定をしなくても簡単に使える音が出せる」というのがメリットだと思うので、スマホ接続できないことは、あまりデメリットではないと思います。
他方、PCに接続すると「Architect」というソフトが使えるのですが、この「Architect」はなかなか面白いソフトで、細かい設定ができるだけでなく、ソフトの中にサイコロのアイコンを押すと、勝手にランダムに色々な設定を作ってくれます。
そして適当な設定でも、それなりに「使える音」になるというのがBLACKSTARのアンプの凄いところです。
自分で悩んで音作りをするのが面倒な人にとっては便利な機能で、サイコロを何度か振って、自分の気に入った音が出来たら保存、ということを繰り返すだけで、短時間のうちに頭を使わずにいろんなセッティングの音を作ることができます。
また「Architect」の中にはキャビネットシュミレーターが入っているのですが、これも非常に優れていて、アンプをPCに繋いで色々なキャビネットのシュミレーションで遊んでいるだけでも楽しくて、あっと言う間に時間が過ぎていきます。
・出力の調整はない
マーシャル・フェンダーと同様に、BLACKSTARの「ID:CORE」も海外のメーカーらしく、出力の調整機能は付いていません。
音量を絞れは40Wタイプも自宅で使えますが、「ID:CORE」シリーズには10Wのシリーズもあって価格も安いので、気に入ったという人は自宅用に10Wのものを用意し、スタジオ用に40Wのものを用意するという荒技もあるかも知れません。
◆ROLAND 「CM-30」
音色数 ない(ギターアンプではないから)
エフェクト ない(ギターアンプではないから)
大きさ 210mm x 275m x 238mm
重さ 5.6kg
スマホ操作 ×
PC接続 ×
フットスイッチ ×
出力等 30W、16.5cm(6.5インチ)
出力の調整 出力の調整機能はないがモニタースピーカーなので融通は利く
「自宅練習と同じような音をスタジオで出したいけど、色々考えるのは面倒くさい」という人のために最後に個人的に楽だと思う方法を挙げておきたいと思います。
ギタリストにとって「場所を問わず自分の理想的な音を出したい」という悩み尽きないのですが、色々考えるうちに疲れ果てて「自分の好きなアンプシュミレーターを持ち歩く」という最終形態に行き着くギタリストもいます。
アンプシュミレーターは実機のアンプに近い音を再現するための機械やプラグイン(PCに入れるソフト)のことで、有名で大型のものだと「Kemper Profiling Amplifier」やFractal Audio Systemの「Axe-Fx」シリーズなどがあります。
最近は安価で小さいマルチエフェクターにも十分に使えるアンプシュミレーターが入っていることが多く、コンパクトエフェクターサイズの小さいアンプシュミレーターもあったりします。
「アンプシュミレーター」をスタジオやライブハウスで使う場合、簡単なのは「アンプシュミレーター」の出力端子に繋いだケーブルをミキサーという機械に繋いで、そこからスタジオ・ライブハウスにあるPAスピーカーというスピーカーに繋ぐという方法です。
この方法であれば、スタジオやライブハウスには「アンプシュミレーター」だけを持っていけば良く、わざわざアンプを持ち運ぶ必要はないです。
ただ「アンプシュミレーターだけを持ち歩く」という方法には問題もあります。
まず、スタジオに備え付けてあるPAスピーカーからギターの音を出すと、ボーカルの人に嫌われます。
スタジオのPAスピーカーからは普通はボーカルの声だけが出ていることが多いのですが、そこからギターの音も出すとボーカルの声が聞えにくくなって怒られたりします。
また、ライブハウスでPAのミキサーに直接アンプシュミレーターを繋いだ場合には、「自分のギターの音が聞えない」というケースが良くあります。
本来であれば、足下にあるモニターというスピーカーから自分のギターの音を出してくれるはずなんですが、小さいライブハウスだったりすると、モニタースピーカーの音量が小さくて、ギターアンプからも音が出ていないので、自分の音がほとんど聞えなくて困る、ということがあるのです。
では、どうすれば良いかというと、「アンプシュミレーター」と一緒に「マイPAスピーカー」(自分用のスピーカー)を持っていくという方法があります。
スタジオでは、「アンプシュミレーター」を「マイPAスピーカー」に繋げば、ボーカルから文句を言われることはありません。
ライブハウスでは、「アンプシュミレーター」を「マイPAスピーカー」とPAのミキサーに繋いで、「マイPAスピーカー」を自分のほうに向けておけば、自分の音が聞えなくなるということも無くなるわけです。
この「アンプシュミレーター」と「マイPAスピーカー」を組み合わせるという方法は、色々と考えるのが面倒になった人にとっては、楽な方法です。
では持ち運ぶ「マイPAスピーカー」として何が良いかというと、選択肢は色々ありますが、軽さや便利さを考えた場合にはROLAND「CM-30」が良いかなと思います。
・音色
ROLAND「CM-30」は、ただのPAスピーカーなのでギターアンプの音色は入っていませんが、変な癖を付けることなく素直な音を出してくれるのでアンプシュミレーターを繋ぐという用途では使いやすいです。
・大きさ・重さ
大きさは「210mm x 275m x 238mm」、重さは「5.6kg」で、これまでに紹介した30w~50wクラスのアンプの比べると最も小さく、重さもVoxの「VX50GTV」の次に軽いです。
スタジオで使える出力のあるアンプ(アンプじゃないけど)の中では最も持ち運びが楽だと思います。
ただのスピーカーなので、この「CM-30」の他にアンプシュミレーターを持ち運ぶ必要がありますが、アンプシュミレーターはコンパクトエフェクターサイズの小さくて軽いものも数多くあるので、状況に合わせて荷物の数を調整できるのもメリットです。
・出力等
出力は30Wですが、PA用のスピーカーということもあり、普通のバンドであればドラムや他の楽器の音に負けないくらいの十分な音量を出すことができます。
出力の調整機能はありませんが、アンプシュミレーターのアウトプットの量を小さくすれば小さい音を出すことができるので、自宅でも小さい音で練習をすることができ、融通は利きやすいです。
・マイクスタンドに取り付けられる
「CM-30」の良いところは、スタジオやライブハウスに置いてあるマイクスタンドに取り付けられることです。
「CM-30」のような小さいサイズのスピーカーやアンプは、音が聞える範囲が狭いので、聞き取りやすいように自分の耳のほうに向ける必要があるのですが、「CM-30」はマイクスタンドに取り付けて自分の耳と同じ高さにすることが簡単にでき、音もしっかりモニターすることができて便利です。
・ギター以外の用途でも使える
「CM-30」は普通のスピーカーなので、キーボードを繋いだり、マイクを繋いだり、スタジオで音楽やクリックを一緒に流しながら演奏したりと・・・と、ギター以外の用途でも活躍する場面があり、1台持っていると何かと便利かも知れません。
・ただし夢やロマンはない
「CM-30」のデメリットは、夢もロマンもないところですかね・・・。
ギタリストにとっては理想的なギターアンプを探すことは人生の楽しみの一つでもあると思いますが、モニタースピーカーで演奏しているギタリストを見ると、「車好きだったのに結婚をして奥さんに逆らえなくて仕方なくスライドドアのついた小型のファミリーカーを買った人」を見た時のような寂しさを感じます。
あと「CM-30」に限らないことですがPAスピーカーなので基本的には「自分がモニターする用」として使う分には良いのですが、ライブ会場でメインのアンプとして使うのはお薦めできないです。
ライブで使う場合には基本的にアンプシミュレーターのメインアウトをPAのミキサーに送って観客側の大きなスピーカーから出してもらい、サブアウトを「CM-30」に繋ぐという運用になるので、その点は注意が必要です。