BOSS「GT-1」「GT-1000 core」に利用できるフットスイッチ
BOSSのギター用マルチエフェクターの「GT-1」や「GT-1000 core」はコンパクトで持ち運びが便利なのですが、フットスイッチの数が少ないので、外部接続用のフットスイッチを導入したいと考える人も多いと思います。
個人的にいくつかフットスイッチを試してみ、使いづらいものや、困ったこものもあったので情報提供も兼ねて整理したいと思います。
◆BOSSのフットスイッチを使う場合
「GT-1」と「GT-1000 core」はBOSSの製品なので、外付けのフットスイッチを用意する場合にも基本的にはBOSSの製品を購入するのが無難です。
BOSSが販売しているフットスイッチは以下のように特徴の異なる4種類があります。
① 「FS-5U」
・スイッチが1つ
・アンラッチ(モーメンタリー)タイプ
(※「GT-1」「GT-1000 core」で使う場合はラッチ・アンラッチを選べる)
・電池・電源は不要
・LEDは付いていない
② 「FS-5L」
・スイッチが1つ
・ラッチタイプ
・電池を入れて使う
・電池が切れてもスイッチは使える
・LEDが付いている(電池が切れるとランプは付かなくなる)
③ 「FS-6」
・スイッチが2つ
・ラッチタイプとアンラッチタイプを選べる
・電池を入れて使う
・電池が切れるとスイッチが使えない
・LEDが付いている
④ 「FS-7」
・スイッチが2つ
・ラッチタイプとアンラッチタイプを選べる
・アダプターからの電源を供給するタイプ
・電源が無くてもアンラッチタイプとして使える
・LEDが付いている(ただし少し見づらい)
・小さくて軽い
注意が必要なのは「GT-1」と「GT-1000 core」などのマルチエフェクターの説明書では「①FS-5U」「③FS-6」「④FS-7」は使い方が書かれていて公式にサポートされているのですが、「②FS-5L」が使えるかどうかはっきり書かれていないということです。
実際には「②FS-5L」も使えるのですが後述のような制限があるので、それぞれのフットスイッチのメリットとデメリットを説明したいと思います。
その前に「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」の違いの説明をしておかないと混乱すると思いますので、この2つの違いについて説明をしたいと思います。
◇「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」の違い
フットスイッチの仕様で初心者が混乱しやすいのが「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」の違いです。
「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」の違いはBOSSのサイトやエフェクターの説明書(パラメーター・ガイド)に書いてます。
◇「ラッチ」≒「TOGGLE)」
「踏むたびにオンとオフが切り替わる」という一般的なエフェクターのスイッチのタイプです。
ギターソロでブースターを使う時には、ソロの直前に1回フットスイッチを踏むとブースターがオンになり、ソロが終わる時にもう1回フットスイッチを踏むとブースターがオフになる、というイメージです。
◇「アンラッチ」≒「MOMENT」(モーメンタリー)
「踏んだ状態がオン、離すとオフになる」というタイプです。
ギターソロでブースターを使う時には、ギターソロの間ずっとフットスイッチを踏みっぱなしにする必要がある、というイメージです。
(ピアノのサスティンペダルをイメージすると分かりやすいかも知れません。)
説明は以上のとおりなのですが以下の2つの事情が多くの人を混乱させる元になっていると思います。
① フットスイッチやエフェクターの説明書ごとに呼び方が違うことがある
② 「アンラッチ(MOMENT)」のフットスイッチは、エフェクターの設定で「ラッチ(TOGGLE)」としても「アンラッチ(MOMENT)」も使える
フットスイッチの説明書には「ラッチ」「アンラッチ」と書いてたりするのですが、エフェクターの説明書には「TOGGLE」「MOMENT」(モーメンタリー)という区別になっていたりするので混乱しやすいです。
また「GT-1」や「GT-1000core」などのBOSSのマルチエフェクターの場合には、「アンラッチ」のフットスイッチを使う場合でも、「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」を切り替えることができるのも(便利なのですが)混乱しやすいポイントです。
「よく分からない」という人はエフェクターの説明書に書いてあるは「①FS-5U」「③FS-6」「④FS-7」のどれかを購入して、説明書のとおりに設定をすれば良いです。
説明書に書いていない「②FS-5L」を持っているという人も設定を工夫すれば「GT-1」や「GT-1000core」で使うことができます。
以下、それぞれのフットスイッチのメリットとデメリットを説明します。
① 「FS-5U」
・スイッチが1つ
・アンラッチタイプ
(※「GT-1」「GT-1000 core」で使う場合にはラッチとアンラッチを選べる)
・電池・電源は不要
・LEDは付いていない
「FS-5U」はスイッチが1個だけのフットスイッチですが、2個買うと合体できるようになっています。
なので、1個として使うことも、2個として使うこともできるというメリットがあります。
また昔から販売されているフットスイッチなので中古品でも運が良ければ1個2000円以下で購入できたりします。
「FS-5 U」は本来は「アンラッチ(MOMENT)」=「スイッチを踏んでいる間だけオンの状態になり、足を離すとオフに戻る」というタイプですですが、前記のとおり「GT-1」や「GT-1000core」などのBOSSのマルチエフェクターの場合では「FS-5 U」を使う場合でも「ラッチ」と「アンラッチ」を切り替えることができるシステムになっています。
「FS-5 U」のもう1つのメリットは電池も電源アダプターがなくても動作するという点です。
後述のようにフットスイッチに中には電池が切れると動作しなくなるタイプのものもありますが、「FS-5 U」は電池が切れて使えなくなるという心配がありません。
その代わりLEDランプがないので、エフェクトが「オン」なのか「オフ」なのかが分かりにくいというデメリットがあります。
あと「FS-5U」「FS-5L」を2個合体させて使う場合には、一方がステレオ(TRS、端子が3つ・間の線が2本)で、もう一方が2又でモノラル(TS、端子が2つ・間の線が1本)になっているものを用意する必要があります。
しかし、この「一方がステレオで、もう一方が2又でモノラルになっているフォンケーブル」は意外と種類が少ないので、自分の好みや用途に合うケーブルがなかなか見つからないということもあるかも知れません。
② 「FS-5L」
・スイッチが1つ
・ラッチタイプ
・電池を入れて使う
・電池が切れても使える
・LEDが付いている(電池が切れると付かなくなる)
「FS-5L」は、スイッチが1つで、LEDランプが付いています。
本来は「ラッチ(TOGGLE)」タイプのフットスイッチなのですが「GT-1」と「GT-1000 core」では前記のように公式にサポートされておらず、使う場合には工夫が必要です。
「FS-5L」を「GT-1」と「GT-1000 core」の「SOURCE MODE」を「TOGGLE」のままの設定で使おうとすると、
2回踏まないと「オン」「オフ」の切り替えができない
という状況になります。
例えば「GT-1」の外部フットスイッチにブースターの「オン・オフ」を割り当てた場合「FS-5L」を2回踏まないとブースターが「オン」にならず、ブースターを「オフ」にする時も2回踏む必要があります。
しかし「SOURCE MODE」を「TOGGLE」(ラッチタイプ)から「MOMENT」(アンラッチタイプ)に切り替えると「FS-5L」を「ラッチタイプ」として使うことができるようになります。
裏を返すと「FS-5L」はマルチエフェクターでは「ラッチタイプ」としては使うことはできるが「アンラッチ(MOMENT)」として使うことはできない、ということになります。
「GT-1」と「GT-1000 core」で「FS-5L」を使う場合にはもう1つの癖があります。
それは、
・スイッチをオンにする場合には、踏んだ時に切り替わる
・スイッチをオフにする場合には、足を離した時に切り替わる
というものです。
普通のフットスイッチやエフェクターは「踏んだ瞬間に切り替わる」ものが多いので、「足を離した時に切り替わる」というのは慣れないと使いづらい部分もあります。
ただギターソロでブースターの「オン:オフ」を切り替えることを考えると
・ソロに入る時にはフットスイッチを踏む
・ソロが終わる前にフットスイッチを踏んでおきソロが終わると同時にスッと足を離す
というのは慣れると感覚的に合っていて使いやすくタイミングも合いやすかったりします。
この点は好みによるかなと思います。
また「FS-5L」はLEDが付いていてオンオフが分かりやすい上に、電池が切れても動作するのもメリットです。
③ 「FS-6」
・スイッチが2つ
・ラッチタイプとアンラッチタイプを選べる
・電池を入れて使う
・電池が切れると使えない
・LEDが付いている
「FS-6」はフットスイッチが2個付いていて「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」としても使えるというフットスイッチで、LEDランプも付いています。
そうすると死角のない最強のフットスイッチのようにも見えるのですが「FS-6」には他のフットスイッチにはない弱点があります。
それは
電池が切れると使えなくなるのに
外部(電源アダプター)からの電源供給ができない
というデメリットです。
メーカーの公式サイトにも
と書いてあります。
「外部(電源アダプター)からの電源供給ができない」のに「電池が切れると使えなくなる」ということは、ライブの途中で電池が切れると、音色の切り替えが出来なくなってパニックになるかも・・・ということです。
ライブの前に必ず電池を新品にしておくという習慣にしておくと良いと思いますが、ライブの度に電池に気を遣うのも面倒ですし、「FS-6」は裏蓋を空けて電池交換をする必要があるので裏側にマジックテープを貼ってボードに貼り付けている人にとっては電池交換は面倒だと思います。
④ 「FS-7」
・スイッチが2つ
・ラッチタイプとアンラッチタイプを選べる
・アダプターからの電源を供給するタイプ
・電源が無くてもアンラッチタイプとして使える
・小さくて軽い
「FS-6」の弱点を克服した上位互換とも言えるようなフットスイッチが「FS-7」です。
「FS-7」もフットスイッチが2個付いていて「ラッチ(TOGGLE)」と「アンラッチ(MOMENT)」としても使えるというフットスイッチで、LEDランプも付いています。
そして外部(ACアダプター)からの電源供給できるタイプなので途中で電池が切れて使えなくなるということはありません。
しかもACアダプターから電源供給しなくても使えます。
さらにサイズも「FS-6」よりもコンパクトで軽いので持ち運びも楽です。
小ささ・軽さを重視する場合には「FS-7」が良いと思います。
「FS-7」の欠点を挙げるとすれば
・ スイッチを踏んだ時にLEDが見えづらい
・ ACアダプターやパワーサプライを持ち歩く必要がある
・ 価格が高い(8000円前後・・・昔は5000円台だった)
・ 慣れるまで踏みづらい
などがあります。
ボードを組んでいる人であればパワーサプライから電源供給すると思うので外部電源が必要であるという点はさほどデメリットにはならないと思います。
◆BOSS以外のフットスイッチを使う場合
BOSSの純正のフットスイッチは頑丈でしっかりしている反面、少し重かったり、値段も若干高めだったりします。
「もっと安いフットスイッチを使いたい」という場合や「もっと軽いものを使いたい」という場合には、自己責任にはなりますがBOSS以外のフットスイッチを使うことになります。
コスパが良くて軽いものだとHOTONEのAMPERO用のフットスイッチが人気で、BOSSのマルチエフェクターでも使えるというレビューも複数あります。
私もGT-1とGT-1000coreで使ってみたところブースターなどのエフェクトの「オン・オフ」には問題なく使えました。
そして小さくて軽いので持ち運びが楽です。
ただAMPERO用のフットスイッチをGT-1000coreのパッチの上下の切り替えに使おうとしたところ、パッチが2個ずつ移動してしまうという状況になってしまいました。
(例えば、パッチ「001」の状態でフットスイッチを踏むとパッチが「003」に移動してしまう)
また小さくて軽いこともあって慣れていないと踏んだつもりでもスイッチが切り替わっていなかったり、踏んだ反動でフットスイッチの場所がずれてしまうということもあります。
その点、BOSSのフットスイッチは踏みやすくて動くこともないので、この点は大きさ・重さとのトレードオフなんだろうと思います。
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