【転んだ先の杖】
拝啓
15歳のラナへ伝えたいことがあります。
あなたが今気にしていること全部教えてあげましょう。
基本、よくはなりません。無念!(無責任な!と思うかもしれませんがあなたは私なのでむしろ超責任を負ってます。そのうえで、無念!)
まず実家ですが、よくなりません。悪化の一途をたどります。途中地獄も訪れます。
またビジュアルですが、特によくなりません。腕や足の毛は薄くならないし、化粧も大学生までほぼしないし、28歳の今も別に整形級のメイクはできません。
足も細くなりません。
おしゃれにはなりません。
モテません。
苦手な数学と英語は苦手なままです。高校生でも大学生でも社会人でもできません。
留学も行けません。
人生初めての演劇発表はドへたくそです。
養護教諭にはなれません。狭き門に心は砕かれます。
でも、地獄で身に着けたサバイバル能力と、その中で出会えた支えてくれる人々は、今も私を生かしてくれています。
ビジュアルは、地獄時代に瘦せるので地獄時代にちょっとだけ感謝するふりをしましょう。
でも足は細くなりません。残念!
腕や足の毛は課金しました。今は「なんで腕毛生えてるの?剃らないの?」といじられて悔しいでしょう。剃るなという母との板挟みで困るでしょう。もうちょっとです。高校になったら勝手に剃れるし、大人になったら医療脱毛です。解決。
お化粧は紆余曲折を経て今は楽しいです。整形級メイクができないけど、だからこそ、己のすっぴんも人前にさらせます。だってあんまり変わんないから(笑)
おしゃれにはなれませんが無地を覚えます。無地の白と好きな服合わせると何とかなります。大丈夫!!たぶん!
モテませんが恋はします。びっくりしたでしょう?(笑)私もびっくりしました。好きな人ができてーーその先は自分で体験してみなされ。
数学も英語もずっと苦労していますが…
高校には受かります!!知りたかったでしょう!!受かるのよ!!推薦で!!!
小論文と面接が推薦課題なのがあなたを救います。頑張れ!!
留学は金がないですシンプルに!しゃーなし!勇気もないだろ(笑)
人生初めての演劇はドへたくそですが、自己満に浸るには十分です。いいのよ好きなら。好きでしょ。
残念ながら3.11の影響で次の発表はなくなって、あなたの演者人生は一端閉幕です。演者をやりたい気持ちは13年後も引きづります。
養護教諭にはなれないけれど、「あなたのおかげで生きてる」と言われることがあります。
全校生徒はあなたには救えません。でも誰か1人になら寄り添える瞬間が来るかもしれない。その時に備えて。支えようとしてあなたが倒れないように。
あなたはこれから、悲しいこと、悔しいこと、むかつくことなどがいっぱいあります。
「なんで自分だけ」とか「消えてしまいたい」と思うことも何度もあります。
仕方なし!!だってしんどいんだもん。
でもいったん28歳にはなりましたよ。
これは地獄時代の私が読んだ方が驚くでしょうが(笑)
あなたは一人では生きていけません。
寂しがり屋で、自己主張の激しい、甘え下手なめんどくせぇ人間だからです。
コミュ力以外全部父に似ましたね…無念!
父や母に甘えてウザがられたい気持ちは、きっとずっとあるでしょう。
でもそれはもう無理です。
「普通」になりたいと思う気持ちは、きっとずっとあるでしょう。
でもそれはもう無理です。
でも、あなたを甘えさせてくれる人はいっぱいいます。
月並みな言葉を並べる人間は嫌いでしょうが、あなたの周りには助けてくれる人がいます。
あなたは人の運だけはいいんだから。
助けてって、死ぬほど言って生きてきました。
そうしなきゃたぶん死にます。
あなたは一人では生きていけません。
助けてって死ぬほど言って生きていってください。
誰かが助けてくれます。
情けない?かっこ悪い?くそみたいなプライドは捨ててけ。死ぬぞ。
生きてりゃいつか、誰かが(それは他者かもしれないし自己かもしれないけれど)
あなたの価値を認めてくれると私は信じています。
価値がなきゃ生きてちゃいけないのかは知らねぇです。
うっかりネガティブなことばかり話した気もします。
私はあなたが心配でなりません。
転ばぬ先の杖をたくさんたくさん渡したい。
でもどっかで転ぶんですよ、「普通」より多めに、たぶん。
だから、どこで転んでも立ち上がる杖になればいいなと思ってこの手紙を書いています。
そして、自分も他者も、そんな人生になったらいいなと思って、働いています。(向いてる仕事はわかってません。なんじゃろな)
転んだ奴の自己責任なんて言う世の中じゃなくて
立ち上がる杖が多い世の中がいいなぁ。
そう思って、生きています。
ポジティブなことも書きましょう。
高校でできた友はあなたの宝です。得られた経験はあなたの宝です。
大学も同じです。素敵な出会いと経験に恵まれます。
社会人になっても大好きな友達ができます。
そしてそれらは、父と母があなたに与えた教育や考え方によってもたらされたものです。
それだけは、忘れちゃならない。でも、それ以上でもそれ以下でも無くね。
やりたいこともたくさんあります。
しんどいこともたくさんあります。
でもどうか、今日まで生きた自分に拍手を。
明日も生きようと思っている自分にハグを。
転んだ先に杖を。
拝啓
この手紙、読んでいるあなたが
少しでも誰かに助けを求められたり
手を差し伸べられたりすることを
願います。
先日、ふと合唱曲が聞きたくなって
「合唱曲 定番」なんて調べていたら
「コスモス」やら「時の旅人」とともに
アンジェラアキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」が出てきました。
好きな歌です。自分の声を信じて歩くのは難易度高すぎやろと思いますが。
そんなわけで
15歳の私へ手紙を出すなら、どんなものにしたいか、考えてみました。
とはいえ15の私にはもう渡せないし、私の周りの人間もなかなか15歳は少なくなったので
ここで恥をさらそうかと。
15歳じゃなくても、誰かに一単語でも刺されば最高。
そうでなくても。誕生日に投稿するを今年も達成できて100点。
青臭いのも、たぶん器用な生き方ができないのも、変わりませんが。
中学生のころ、「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」が流行っていて
CDなんて買えなかった私は調べて出てきた歌詞をメモ帳に写して
幼馴染と一緒に練習していたなぁと思いだし。
あの頃から13年、28歳に今日、なりました。
こんなところまで読んでくれた方がいたなら感謝。
2023.誕生日