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予算(収益計画)を他の人が理解し活かすためにやったこと「スパルタン予算」
近年、弊社の予算編成は、KPIや売上部分を私が、費用部分をCFOが各チームから取りまとめる方法で作っています。そして、決算確定時期に変更点を30分程度の説明で終わらせていたため、事業メンバーが内容を十分に理解し、各施策の優先順位付けに活かせていないと感じていました。なお、弊社の予算は、下記フォーマットをベースに作っています。
(弊社の予算はバンドルカードだけでも純利益に至るまで350行以上の項目に渡り、お互いの項目を参照しあってたりして割と複雑っぽく、この勉強会↓くらいじゃ全然不十分でした。)
そこで、一念発起し、予算の細かい部分を理解し、実践に活かせるような簡単なカリキュラムを作成しました。弊社の別の勉強会「スパルタンSQL」からとった「スパルタン予算」は、演習問題を含め、合計4回で一通りの予算が理解できることを目指しました。
そのカリキュラムで意識したことは下記。
1. 数値の羅列を見る前に、収益構造の全体像を理解する
2. 自分で編集できるフォーマットを統一する
3. 実際の施策で使えるシナリオをベースにした演習問題をやる
1. 数値の羅列を見る前に、収益構造の全体像を理解する
まず、細部の理解を促進するために、全体像を把握してもらうことが重要です。売上や利益の構成を円グラフで視覚的に示すことで、会社の収益構造をわかりやすく伝えることができます。
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ここで、収益や費用のフローを整理しておくことで、より理解しやすくなるでしょう。
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※さすがにこれは複雑ですが
また、KPIツリーを作成し、それぞれのKPIがどの要素で構成されているかを大まかに説明することで、ビジネスの成果や目標に関連する重要な指標を明確にすることができます。ただし、深堀りしすぎると全体像が把握しにくくなるため、階層は2〜3程度に抑えることが望ましいです。目的は、全体像を理解してもらうことなので。
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特に重要なのは、用語の定義を明確に示すことです。例えば、「稼働率」や「継続率」のような言葉は比較的簡単に使われがちですが、その定義によって意味が大きく変わることがあります。率を用いる際には、分母となる要素や期間を明確に示すことが重要です。
2. 自分で編集できるフォーマットを統一する
次に、参加者それぞれが自分の環境を構築します。実際に予算を手元で編集してみることで、その仕組みや管理方法が身に付きます。そのため、参加者が自由に操作できるバージョンを用意しておくことが重要です。
既存の予算の作成方法(Excelを使用しているかどうかなど)によっては、そのままコピー&ペーストしたり、ダウンロードして再現するのが難しい場合があります。これは、外部データを参照しているなどの理由からです。そのため、参加者にはセットアップ方法も含めて学んでもらいます。
この際、既存の予算と、操作後の予算を比較できるようにすることで、変更点や影響を把握しやすくなります。以下に、以前作成した様々なシナリオを比較する際に用いたフォーマットを紹介します。参考にしてください。
さらに、皆の予算いじりフォーマット統一することで、実際の業務で予算を確認する際に便利です。
3. 実際の施策で使えるシナリオをベースにした演習問題をやる
施策を考える際には、そのインパクトをKPIの変動だけでなく、売上/利益ベースでもどのように影響するかを、企画者全員が簡単に計算できるようにすることを目的としています。そのため、会議で実際によく話されるKPIを選び、そのKPIがどのように変動すればどのような結果になるかを、実際に手を動かして計算する演習を繰り返し行いました。
複雑で分量が多いExcelを理解するためには、実際に自分で操作してみることが最も効果的です。そこで、全10個の演習問題を作成し、2回(1回1時間)に分けてワークショップを実施しました。初級編から応用編まで、10個もやれば重要なKPIを一通りいじれると思います。
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初級編では、あるKPIが一定の割合上がったり下がったりするような単純な問題を取り上げました。しかし、初めて操作する人にとっては、どの行を変更すべきか悩む場面もあり、少なくとも10分はかかりました。作った人は瞬なんですが。中級編では、複数のKPIが関連する問題を扱いました。上級編では、より抽象的な問題を設定し、例えば「ドル円の為替相場がどう変化したら?」や「長期金利が+1.0%したら?」といった、具体的な影響がすぐには分からない変数を扱いました。
また、データベースのデータを用いて限界利益(売上 - 変動費)を計算できるクエリを作成し、その解説を通じてより細かいロジックを理解してもらいました。実際に施策のシミュレーションを行う際は、クエリを使った方が直接的に計算が行いやすいですし、特定のユーザーセグメントのKPIがどのように変動するかなど、より具体的な分析が可能になります。
まとめ
これにより、一部の人々が施策や目標設計の段階で、予算を基にシミュレーションができるようになったという実感があります。
ただし、日々注力すべきKPIや課題は変化し続けるものであり、定期的なアップデートが必要だと感じています。
2023年4月から、私のチームに予算周りを一緒に操作するデータアナリストの方に入ってもらいます。この新しいメンバーと共に、予算管理の仕組みを継続的にアップデートしていく予定です。
なので今私のチームでは、事業開発やPdMを鋭意募集中です!