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確定した未来から逆算するFinTech未来予測

昨年末にNRIから未来年表が発表されてましたね。
その際、FinTech界隈(キャッシュレス成分強め)に関係ありそうな未来をピックアップしてましたが、改めて記事におこして予測します。

最近、FinTechのこれから、みたいな問をされることが多かったのですが、結局この分野、大きく変動する要因って法改正か技術革新しかなくて(全産業そうかもだけど)、未来を予測するにはそれらを読み解くのが近道と思っております。
なので、法改正、技術革新観点で、未来をまとめてみます。

法改正

2020年4月 犯収法改正施行

要はオンラインで本人確認(KYC)が完結する、っていう改正ですね。既に対応してるサービスも多いですが、正式に施行されるわけです。

今までのKYCは、オフライン(実店舗)であれば、免許とか見せてOKだったのが、オンライン(ネット)だと郵送物送って該当住所で受け取ることを確認する必要があり、リアルタイムではなかったわけですね。それが、オンラインでもある種(画像や項目の目視検査は必要)リアルタイムでKYCを完了させられる、と。

これで何が大きく変わるか?というと、KYCが必要な金融サービスのCVR(申込フォームから口座開設の率、的な)が上がりますね。郵送送ると数日以上かかるのが即日対応できるので。
ただ、逆に言えば、影響はそれくらいかと。スマホ上で指紋認証するだけでKYC完了、くらいまで簡便化されないと、今までのCVR 10%が20%くらいになるだけで、100%までに絶対にならない。逆にそこを100%まで持っていけるのであれば、ほぼ全てのお金を扱うサービスをKYC対応させることができ、反社チェック/AML対応もできて、金融サービスが膨大にかけているコンプラコストが下がり、より健全な世の中になると思っています。

2021年3月 マイナンバーカードの健康保険証利用を本格運用開始

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です。
上で書いた100%KYC構想には、マイナンバーの普及が一番手っ取り早い。施策としてどこまで意味があるかわかりませんが、一歩前進のニュースです。一応、2022年末迄には、全ての医療機関で対応できるようにする模様です。今年の後半にも、マイナンバーを登録したキャッシュレス決済するとポイントもらえる施策も始まります。
なお、現状のマイナンバーカードの普及率は15%程度らしいです。

2020年中?ペイロール法制

今まで給与は、現金手渡しか銀行振込しか許されていなかったのが、電子マネー等に振り込んでもOKになる改正です。

電子マネー、Pay系の事業者だけでなく、給与の先払いも含めた多様な事業者が準備・申請(資金移動業の)している状況です。これができると、ある種のチャレンジャーバンク的なこともしやすくなるので、そういう切り口からも参入が考えられます。

ただ、これも個人的にはそこまで大きなインパクトがあるか?と思っておりまして、就業人口のほとんどは今まで通りの銀行振込を希望するのではないでしょうか?また、対応する法人側もよほどのメリットがないと、オペレーションが複数ラインになるので回避したいはず。よって、銀行口座作りにくい外国人や、日雇い・短期のバイトといった人々がメインターゲットになると感じます。

なお、将来的には他の要素と組み合わせて活きてくる可能性があります。
お金が振り込まれたら自動で投資する/返済する/小遣いとして子供に振り込む、といったスマートコントラクト的なものが稼働したら便利かもしれません。
また、送金コストが安くなり、法人与信がちゃんと担保されてB2Bの入金サイクルが早まったりすれば、給与の締め方も末締め翌25日とかではなく働いた翌日に1日分の給与を振り込むということも可能なはずで、それは割とニーズがあると思います。
そういった未来の金融機能に向けた布石、と考えることは可能です。

2022年4月 成人年齢を20歳から18歳へ引き下げ

実はこれ、結構大きなインパクトになるかも、と思っており、金融サービスって大抵20歳以上が対象になりますよね。クレジットカードの場合だと、未成年だと親が債務をキャンセルできる権利を持っているので、基本的には対象外となっています。これで18歳から対象にしやすくなるわけです(細かいところは調べてないので実は違うかもだけど)。

というのも、金融サービスってライフサイクルのキッカケがないと利用しようとしないものなので、高校卒業して就職する/大学入る時や、結婚する時といった際に訴求できるようになるわけです。そして、一度利用し始めたらずっと使い続ける傾向にあるので、青田刈りが全金融サービスにおいて重要な戦略となっています。そのスタート地点が20歳から18歳に早まるわけで、10代向けの扱いやすいFinTechサービスが台頭する可能性があり、かつ既存の金融機関も無視できない市場になります。特に、ペイロールも含めて、20歳前後向けのチャレンジャーバンクっぽいのがたくさん出てきそうな気がしますね。

その他(動きそうな領域)

最近、内閣から発表された成長戦略のたたき台によると、振込手数料などの銀行の手数料にメスが入ることになっています。

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どういう着地になるかは全然わかりませんが、これが動いて大きく費用が下がった場合、多くのFinTechサービスがマネタイズしやすくなり、個人間送金も含めた新しいサービスも登場すると考えられます。例えば、チャージが必要なプリペイドの決済サービスは、現状5,000円のチャージに100円とか手数料がかかっていて、それだけで利益が吹き飛ぶわけですが、この状況が改善されるとマネタイズの道が開け、結果加盟店側の手数料も下がると考えられます。

あとは今、日銀で議論されているCBDC(中央銀行デジタル通貨)とかですね。直近で日本円が一気にデジタル化されるイメージはありませんが、とは言え中国中心に諸外国で意図せず進んでしまう領域なので、何からの形でのアウトプット(レポートなのか、日銀ネットの改修なのか、本当にCBDC発行するのか?)は出てくると思います。

技術革新

NFCタグ(非接触×通信)のコスト削減

今ほとんどのスマホがNFC非接触機能(Apple Pay、Androidは公開)を持っていますが、それと通信ができるNFCタグ(RFIDタグも含む?)のコストが下がってきていて、使い捨てレベルまでできるようです。
要は、中国ではQRコードを印刷して、それをカメラに撮影させて情報を読み込むような決済手段がインフラとなりましたが、NFCタグをばらまければ、QRコードの代わりにNFCタグを設置して決済する、といったことができるようになります。飲食店のテーブル単位の会計や、スーパーのスーパー単位決済、無人店舗の入室といったところで活用できそう。

JR東日本を中心に実証実験が始まったりしています。

タッチレス

これもJR東日本の取り組みですが、タッチレス改札を準備している模様です。要は、Suicaを出してタッチせずとも、自動で通信して改札を通れるようにする、という話です。

これがワークしたら、世界でも有数のスピードを求められる技術が確立するわけで、もはや決済もタッチレスでいいやんってなる可能性があります。

なお、ドコモとソニーも同様の取組に着手しています。

ブロックチェーン

これは @fukkyy の記事を読んでください。もはや実践投入される秒読み。海外では既に動いてるし。

その他

あと、関係しそうなところはここらへんですかね。

- 2020年 5G導入
- 2022年度末 ドローンの有人地帯での目視外飛行による荷物配送などのサービスが可能に
- 2023年 スマートスピーカーの世帯普及率24.4%
- 2025年 MAASが事業化
- 2030年 6G導入
- 2030年 レベル4-5の自動運転が新車販売の10%占める
- 2045年 AIが人間の能力を追い抜く

ちなみに、VRの研究者の人に聞いたんですが、5GでもリアルタイムでのVRコミュニケーションは難しいらしいです。データ量が多すぎるらしいので。6Gになったら割と没入感のあるリアルタイムVRコミュニケーションができるようになるらしい。

総括

じゃあこららの法改正・技術革新を経て、FinTechはどうなるねん?っていう話ですが、今思いつくところとして「テーマは自動化」ですね。BANK4.0の世界観と近いのですが、要はお金を入れてたら勝手に資産運用も決済もリスク移転(保険)もされている世界です。金融リタラシーとかいらない世界。

それはそれである種危険で、AI的なものに自分の運命を委ねてよいのか?って話にもなるわけですが、もはやこれから人間よりAIの方が効率的にお金を扱えるようになるわけで、もう任せたほうがいいですよね。AIの設計次第かもですが。金勘定は全部機械に任せて、自分のやりたいことに注力する方が、多分幸せなんだと思います。納税や資金調達とかも含めて。

もちろん、インフラのデジタル化や、責任の所在をどう置くか?といった膨大な議論は必要なので時間がかかる未来ではありますが、20年単位ではそうなる方向性なのかなーと。
その手前くらいの予測は下記に置いておきますね。

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