非実在性ワリオの森
想像していただきたい。
ファミコンの本体からは2本のコントローラーが伸びている。
1P側を掴んでいるのはアナタだ。
一方で2P側は、床の上に転がっている。
さあ。これから始まるのは対戦ゲーム。
血で血を洗う激戦が、まもなく幕を開ける。
果たして! 勝者は! 誰なのかー!?
・・・。
・・・・・・。
楽しい!
おいでよワリオの森
というわけでワリオの森です。
今なら手軽なのはNintendo Switch Onlineのファミコン版でしょうか。
名前からも分かるとおり、今さら説明も紹介も必要ないであろう偉大なる任天堂のマリオシリーズに名を連ねるたいへんメジャーなパズルゲームです。今回は、そんなワリオの森の遊び方のひとつとして「ひとり対戦プレイ」を紹介しましょう。
いやまて冷静になろう。ひとり対戦てなんだ。虚空だ。イマジナリーフレンドですらない。それは本当に楽しいのか?
いやいやいや。楽しいんです。ほんとほんと。
ゲームのキホン
ワリオの森は同じ色を並べて消すという、分かりやすく落ちものなパズルゲームです。
とはいえ落ちものは操作できないのが、このゲーム最大の特徴。
プレイヤーはフィールド上のキノピオを操作して、落ちてきたモンスターや爆弾を並べ替えていきます。
持ち上げて。置いて。積んで。駆け上がって。引き抜いて。
全てのモンスターを消せばゲームクリア!
たのしいトコロ
ステージも終盤ともなれば、運次第で即死するような状況から始まることもあります。
しかしだからこそ、何度も、何度も生き埋めになりかけながら、どうにか最下段まで掘り起こしたときの、あるいはそんな目処が立ったときの、湧き上がってくる高揚感!
堪りませんね。
ワリオの森は、至高の掘りゲーなのです。
他方、ただただ無心で色も時間も消し飛ばしていく。
それもまた堪らないものがあります。
つらいトコロ
ゲームとしては当然ですが、快適なプレイングを妨げる色々な嫌がらせがワリオの森にも存在します。
その筆頭こそが、妖精。ではなくて一定時間ごとに下がってくる、天井。
ステージの中盤以降、プレイヤーは常にその対応に追われ続けることになります。
確かにこれは緊張感というゲームとしてのスパイスなのですが、
やはり終盤ともなればあまりにも忙しなく、落ち着いて遊ばせてもらえない悩みのタネでもあります。
もっとゆっくり遊びたい・・・。
そして対戦へ
そこで対戦モードの登場。
ひとりプレイのモードとは異なり、対戦モードになると天井は自動では下がりません。
プレイヤーが1度にたくさん消すとその火力に応じて相手側が下がるという、おじゃま要素になっています。
つまり相手が消さない限り天井は下がらない。
ならばいっそ相手なんて居なければいい。
そう。つまり。ひとり対戦なのです。ぼっち最高!
意外なたのしさ
自分の難易度を最高にして、相手の難易度を最低にする。
正直、もうひとつ上の生き埋め感も欲しかったなあと思いながら、黙々とモンスターを爆破し続ける。
それは間違いなく快適で、偽りなく楽しいのですが。
しかし実際に遊んでみると、これがまた「ただ快適にゆっくり遊べる」というそれ以上に楽しいことに気が付きます。
のんびりなだけじゃない。
なんと! ほどほどに反撃されるのです。ほどほどに。相手なんて居ないのに。友達なんて居ないのに!
実は他の落ち物パズルとは違い、ワリオの森では色だけでなく位置もランダムに落ちてきます。
本当にランダムなのか。そこに悪意はないのか。よくよく考えると人の上に爆弾を落としてくるヤツが味方の訳ないだろうと思う日もありますが。
ともあれ、放っておいても勝手に色が揃って消えるというのは、ワリオの森において特に珍しくもありません。
と、言っても天井は滅多に落ちて来ません。条件が厳しいのでしょう。
かわりにポツポツと連鎖を撃たれます。
ワリオの森の対戦モードでは、連鎖すると相手フィールドの縦一列をモンスターで埋める攻撃になります。
厄介な攻撃ですが、実はこれ縦一列が同じ色で埋まるので大量消しのチャンスでもあります。ピンチはチャンス!
しかし逆に言えば安易な連鎖はピンチの元にもなるということ。
ひとり対戦でもうかつに連鎖すると、高い確率で更に連鎖を返されるか天井を落とされて、場合によっては死に至ります。
そう。負けるのです。
何の冗談だと思うかもしれません。実際、私はそう思いました。
しかし極稀にですが、実在1Pは、非実在2Pに負けてしまうのです。
先にクリアされる。
落ちてきた天井に埋められる。
偶然4連鎖したら、6連鎖を返されて即死する。
挙げ句、3タテされた事もあります。人間としての自信を失いかけました。
とはいえ、そんな事はホントにホントに稀なので、これが実にほどよいスパイスになるわけです。
ひとまとめ
あえて天井を落とし続けて相手をすり潰す。
勝利直前でこちらも放置して相手が負けるのを眺める。
時にはそんな舐めプを堪能して。
時には3本目が相手の自滅なのは締まりが悪いと再戦を繰り返して。
時には程よい反撃/刺激を楽しみながら。
ただただ黙々と遊び続けられる。それがワリオの森のひとり対戦。
さあ。
あなたもこの誰もいない森に、ひとり迷い込んでみませんか?