【第18回】「これからの場所のつくりかた」
第一線で活躍しているクリエイターをゲストに迎え、クリエイティブのヒントを探るトークセミナーシリーズ「CREATORS FILE」。
新宿駅、そして商業施設「NEWoMan」の仕事
駅は大勢の人が使う場所なので、安全管理の基準が非常に高く、とにかく規制だらけ。
「これをしてはいけない」どころか「これしかダメ」って状態なんです。あとプロジェクト関係者の数も膨大で、合意形成のプロセスも非常に複雑。つまり前例の無いことを実現するのが物凄く大変なんです。
例えば今回、コンコースの天井を無垢の天然木にしているのですが、その合意を得るだけでも半年以上かかりました。そもそも天井に関する本質的なリスクは何なのかという所から解明していって、こうすればそのリスクは回避できるはずだということを論理的に積み上げて説明し続ける感じです。
当然ながら、他のプロジェクトに比べると思い通りに設計することがとても難しいのですが、そんな状況の中でどう立ち振る舞えば物事が好転するのかということを、ひたすら勉強しながら楽しんでいた気がします。
NEWoManは、僕にとって初めての商業施設全体の設計でした。
駅ビル型SC、しかも新宿駅直結ということもあって、当然ながらレンタブル比の最大化が求められます。つまり、なるべく多くの面積を専有部に割り当てることになるので、共用部は最低限の通路だけになる。
また、専有部は各テナント側で設計するので、その部分は口出しが出来ない。そんな中でNEWoMan全体の環境を良くするためには、通路を綺麗につくるだけでは難しいと考えて、専有部に対するデザインレギュレーションを綿密に計画することにしました。それは都市における集団規定のようなもので、場所ごとに各テナントの開口率や高さを制御することで、全体として最適な空間構成を得たいと思っていました。
デザインレギュレーション
NEWoManのデザインレギュレーションでは、開口率や高さの規制と共に、「物理的な越境」を促すことを大きな特徴としています。専有部の天井を共用部に飛び出させたり、共用部の天井を専有部に入り込ませたりして、両者が越境して領域がオーバーラップする状況をつくっているんです。
共用部-専有部の境界線をズラし曖昧にすることで、「通路とテナント」という二項対立的な風景ではない、ひとつながりの大きな店舗として感じられるようになればと思っていました。
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