本日、「堀潤モーニングFLAG」朝鮮学校報道を問う有志の会、早尾貴紀さん、(東京経済大学教員)、山本かほりさん(愛知県立大学教員)、板垣竜太(同志社大学教員)さんが、番組内容に関しての公開質問状をSNSで発信されていました。内容を拝見したところ、私が語った内容が一言も引用されず、誤った内容になっておりましたので、訂正させていただき、併せて私の見解を述べたいと思います。
公開質問状の中で、このような一文がありました。
SNSで拡散された番組の切り抜き動画や、番組をご覧になった方がコメンテーターの皆さんのコメント部分を抜粋したメモや記事などが拡散されておりましたので、今、この時点でもそのように感じていらっしゃる方もいるであろうことは理解できます。
実は番組では、前半のコメンテーターの皆さんとのやりとりを受け、存続が危ぶまれている朝鮮学校への支援は本当に国や自治体が判断したように見直されるべきものなのか、それとも別の見方があるのか、コメンテーターや視聴者の皆さんと共にさらに考えるため、堀が訪問した墨田区にある東京朝鮮第五初中級学校の窮状と先生へのインタビューなどを放送しました。
続きがあるのです。
映像の中では、生徒たちが減少する中、先生たちが工夫をしながら朝鮮の母語国などの教育を続けていることや、そうした様子を地域の人たちにも知ってもらおうと学校公開での展示を行なっていること、さらに老朽化で壁や天井、階段の一部が破損し、厳しい財政状況の中、子どもたちに安心して学んでもらえるよう試行錯誤を重ねてきたこと、朝鮮学校の子どもも、日本の子どもも共に健やかにのびのびと学んでいけるような社会であって欲しいという先生の切実な想いなどを伝えました。
映像が終わった後にスタジオでは、父兄の方が教えて下さった「朝鮮学校があることの意義」を念頭に、朝鮮学校があることで在日コリアンの皆さんとの交流や相互理解の機会が得られ、異文化共生の方法を模索することができる、朝鮮学校の先生方も地域と共にそうした学校の在り方を模索しており、その姿勢に共感する、こうした取り組みこそ一人一人が大切にしていくべきではありませんか?と私の見解を投げかけました。
あらためて、放送の内容を書き起こしたのでここに共有いたします。
今回の取材はさらにYouTubeで公開し、朝鮮学校が改修の為の寄付を募っていることや、卒業生がどのような想いなのかということを伝えています。
一方、この日の放送だけでは、決して十分ではないので、翌週、翌々週と「堀潤モーニングFLAG」では在日コリアンの皆さんに対する様々な課題を取り上げてきました。
翌6月29日に取り上げた「拉致問題」のニュースでは、早期解決に向けた対策を語る一方で、コメンテーターの方のこの発言を掘り下げました。
この発言を受け、堀からは
と伝え、今月3日の放送では、移民問題を取り上げる中で、在日コリアンの皆さんへの差別解消への課題として、日本国が国際条約の「人種差別撤廃条約」を批准していながら、人種差別禁止の国内法の整備を行なっていないのは問題だという指摘を番組として発信しました。こうした発信はこの番組でも従前より続けてきたものです。
わたし自身、両国の学生同士が相互交流を続け、疑心暗鬼を解いて次代を探る「学生交流」の取材で、首都平壌を2018年、2019年に訪問し、その模様をドキュメンタリー映画として公開、両国の関係改善を訴えてきた1人です。
初日のコメンテーターの皆さんの発言の趣旨は、国や自治体が朝鮮学校を補助の対象から外すという判断を続ける中、すぐにできる対処として、子どもたちや世帯への直接給付の選択はないのかという議論でした。民族教育を子どもたちが受けられる環境の大切さについては上記したように堀の方から取材映像などを通じて補完しました。
一方で、放送後、朝鮮学校の先生を通じて学校に通う児童・生徒たち、親御さんたち、様々な方々からの感想を教えてもらいました。また学校に来てくださいねという声、様々な意見に触れて苦しくなったという声、取り上げられて良かったという声、もっと知って欲しいという声、差別を感じ憤ったという声、交流の機会をさらに増やしたいという声、先生とのメッセージのやりとりの中から様々な声が寄せられました。
そうした中、朝鮮学校出身で共に平壌を訪ね、今は大学院で学ぶ学生が連絡をくれ「ぜひコメンテーターの方とも交流をしたい!絶対いい関係を築きますよ!紹介してください!」と申し出てくれました。コメンテーターに伝えると「僕にできることがあればなんでもします!」とすぐに返信がありました。新たな交流が生まれる予感に、感謝しかありません。
実は、この文章を書いている時にも朝鮮学校の先生から連絡をいただきました。「もちろん言いたいこともあります、でも応援もしています、その後も伝え続けてくれていることが嬉しかったです。これからも発信を続けてください」と、懐の深い言葉をかけていただきました。本当に感謝しています。
こういう皆さんだからこそ、多くの方々に紹介したいのです。
通常、テレビ番組で、こうして現場の皆さんとの交流をベースに毎週のように朝鮮学校や在日コリアンの皆さんの現状を共に伝えられる機会はあまり多くありません。私の番組では、これからもまだまだ多くの日本人が知らない、当事者の皆さんの声を伝え、相互理解につながる発信を共に行なっていきます。
最後に。
東京朝鮮第5初中級学校では、老朽化した校舎の改修のために必要な資金の寄付を懸命に集めています。この文章を書きながら、先生と電話で話している中でも「そういえば、そもそも学校訪問を番組でも伝えようと思ったきっかけは少しでも寄付が集まるといいですね、という話でしたよね!吹き飛んじゃってます!」と大きな声で確認し合いました。
その一助になればとも思い、急ぎ、こちらの文書を公開いたします。
以上が、質問状で「差別を扇動している」とご指摘を受けた「堀潤モーニングFLAG」のこのまる2週間の報道内容です。
写真は、堀が2019年に平壌で撮影。日本の市民グループと朝鮮学校の先生方が尽力し、日本、韓国、朝鮮の3カ国の小学生たちが絵画を送りあって交流する取り組みの現場。訪問したルンラ小学校の校庭で手を取り合う日本の大学生と平壌の小学生たちです。
こうした風景はとても平和でした。
分断された地域の子どもたちが互いに手と手を取り合い笑い合える未来のために各現場の大人たち同士が知恵を出し合う社会の実現を願って、取材を続けます。
堀 潤
学生交流の模様はこちらのYouTubeで。