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あなたと共に。

ダイコンと豚のとろとろ塩角煮
ほろほろ崩れ里の馳走よ

良いほうをみて歩くのと聴こゆるは
母の足跡 辿る姉の声

突然に降りだした雨濡れてみた
ああ、これもいい 流れるままに

絶望の夜には夜の顔をして
そっと寄り添う星になりたい

生きていく
ふと見れば きみそこに居て
宇宙のどこかと繋がっている

呼んだとて返るこだまが聴こえない
遠くて近くいてくれたのに


本当は、母は肉の入ったお料理は苦手だったと思うけど、思い出すのは石油ストーブにお鍋を置いてぐつぐつと煮ていたこと。ほろほろと崩れるようなお料理は母の味だった。懐かしいお料理の名前が本に載っていた。長い時間。家族の帰りを待ちながら煮炊きしていた母を想う。冬になると思い出す。

母の言葉を格言のように守る姉ふたり。両親の遅い子どもだった私のしらないことをたくさん知っている姉たち。心配せんでもええ、と口癖のように言う母の言葉を、今 その二人は言いながら。

最近 駅に降り立ったら急に雨が降り出し、家までの道を濡れながら帰ったことがあった。久々というより何年振りかだ。でも、皆、傘を差し他のひとに目をやることもない、そんな夕暮れに雨に濡れて帰る・結構いいもんだった。空を見上げたら、まっすぐ糸のように降ってくる雨が、なんかすごく優しく思えたんだ。

居なくなってしまった大切なひとと生きること。そこにいるって感じる時がある。なぜか温もりさえ感じる時がある。ごめんねもありがとうもいっぱい言って、今がある。ありがとうって呟いたら あえたらいいのに。

そのひとが、いないことに慣れることはない。一緒に夢を実現できるよう一緒にがんばろう、とググってくれたね。読みたいよって何度も励ましてくれたね。仕事は辞めてもいいけど夢は諦めたらだめと。
 小さな本とも言えない本を送ったあの住所にお手紙だそう。一度も返ってこなかったけど、ただ、返送されませんよう、祈りながら。待っててね。

例え、目の前から居なくなっても、あなたは傍にいてくれる。そして、共に歩いてくれる。



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