小さな庭の物語
ママ
ねえ お話しして・・・。
そうね
もうこんな時間ね。ねんねの時間だね。
ママ
お星さま あそこに見えるお星さま
なんか寂しそうだねえ。
そうね、お星さま だあれも いなくて 寂しいね。
でも あのお星さまは 頑張って光ってるねえ
けなげだねえ・。。
ああ あれが この前 ねこくんが教えてくれた一つ星かな。
夜空見たら 南にある、ひとつだけ光ってるお星さまって。
確か 「秋に たったひとつしかない 一等星なんだよ」って いってたっけ。
「夏には 織姫や彦星、夏の大三角形とか、たくさんの1等星たちがいるのに 秋になると みーんな 夕方の西の空に沈んで いなくなっちゃう。
でも、 ひとつだけ、明るく輝いているのが 見えるでしょ?
1等星「フォーマルハウト」だよ。
フォーマルハウトは、1.2等の明るさを持つ白色の星だよ
生まれてからまだ2億年ほどしか経っていない若い星って 言ってた。
ぼく 聴いてもよく わかんなかったけど なんか寂しそうなお星さまだな。
ねこくん 言うの。
このお話し メジロの奥さんが だれかに きいたお話しだって。
きっとあのあたりに見えるよ。
外に出て 空を見たら すぐ目に入るよ。
一つ星だよ 夜みてごらんって 教えてくれたんだって。
ねこくん 言うんだ。
ぼく好きなんだ。
ひとりで 懸命に光ってるから。。
ぼくも ノラだから ひとり。
ん?さみしくなんかないよ。
自由だからね。それに あのお星様 見てたら
一人じゃないって 思えるの
そう。。ひとりなんだ、ねこくん。毛も 寂しそうに 風に吹かれてた。
ママ
なあに?
ぼくには ママがいてくれて よかったよ。ねこくんにはいないの。
ママは いつも お話ししてくれるし 傍にいてくれるし。
そりゃあ だって まだ ぼく 子どもだから だけどね。
またお話ししてね。
そう いもむしくんのこと。。
お昼まにね アリくんに会ったの。アリくんのお友達のアリマキくんにも。おばちゃんが すごーく 嫌ってるやつだよ、その虫さ。お花のみつとか吸って 甘い汁 出してアリくんにあげるの。アリくん 言ってた。おばちゃん アリマキ見たら ぎゃあああああ!って すごい声出して 踏み潰そうとするよ。どっかの 本で見て テントウムシくんが 天敵だから 来ないかしら って 騒いでたけど って。。
へえ ぼうや よく知ってるね
うん!お兄ちゃんから きいたもの、アリくんのお兄ちゃん。
そう
それでね おばちゃん なんで 嫌うかっていうとね。
作ってる野菜 食べられたんだって、レタスとか。
ねえ ママ
「一匹のいもむし」ってお話し(グリム)この前 してくれたでしょ?
また 聞かせて。
取り留めもなく なにを話しているか もうわからなくなったぼうや。
うとうと。
あらあら ぼうや 言いながら もう寝ちゃったの?今日は 頑張って
おばちゃんと大根のこどもの葉っぱに お水やり みてたもんね
あしたは いもむしくんのお話ししようね。
ねえ ぼうや
この前の道を歩いて行く おねえさんは 元気になったかな。
仕事場で 辛いことあるって言ってたね。
小さな 弟君と虫網もって 原っぱで遊んでたぼうやは もう眠ったかな
冷たい風が 吹くようになったねえ。そのうちおばちゃんが あったかい
落ち葉のおふとん 持ってくる。
嵐に漕ぎ出ても 諦めないで 今だけを見て頑張ったいもむしくんのお話し あしたしようね。
おやすみ。
ゆっくり 安心して おやすみ。
たったひとつ あそこで輝いてるお星さまは ぼうやみたいだよ
ママにとっては 一つ星だよ きみは。
きみがいれば なにもいらない。。
また 明日、一日が 始まるね。
今夜も 虫の音を聴きながら 休もう。
リンドウが 開いて 白い菊が開いて 夕方 おやすみと閉じた。
なんでもない暮らしだけれど 明日の朝を 待ちたくなる。
もうお休みですか?
なんてことない この庭の小さなものたちの暮らしの一ページに
お付き合い 下さり ありがとうございます。
また お会いできますよう。。。