介護における体位変換の重要性と注意点
介護の対象となる高齢者の中には、身体能力の低下によって自力で身体の向きを変えられない人が少なくありません。こうした高齢者は、寝ている間に無意識のうちに寝返りを打つことができず、身体の位置や姿勢を好きなように変えられないのです。この状態が続くと、身体にかかる圧力が1箇所に集中して、血行が悪くなってしまいます。すると、血行障害が褥瘡と呼ばれる床ずれや疼痛の原因になり、心肺機能の衰えにも繋がるでしょう。このような事態に陥らないよう、介護スタッフによる体位変換が欠かせません。
体位変換を定期的に実施することにより、健全な血行を保持できるのです。体位変換の際には、高齢者の協力が不可欠です。体位変換をする前に、介護スタッフは高齢者に声かけして心の準備を促します。声かけの時は、具体的にどの部位をどの方向にどれ位動かすのか説明しなければなりません。体位変換の最中も、次は何をするか説明し、痛みや不具合がないか確認するため、きめ細やかな声かけを怠らないようにしましょう。体位変換はゆっくりと行い、急激な変化に利用者が驚かないよう注意を払います。
体力に自信がある介護スタッフであっても、力任せに体位変換しようと力んではいけません。体幹と内筋を上手く活用して最小限の力で利用者の身体を動かす工夫が必要です。思い通りに動かせないからといって、無理に引っ張ったり押したりしないで、できるだけ利用者の協力を得て最小限の労力により動かせる方法を模索します。どんなに力持ちでも、毎日無理な体位変換を行っていると腰や膝などを傷めてしまうからです。【参照サイト:介護士なら身につけたい 体位変換のキホン】