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パリーフタマタクワガタ 飼育記#1

パリーフタマタクワガタ(Hexarthrius parryi paradoxus)
産地 スマトラ島 ベンクール
種親 ♂87mm(WD) ♀49mm(WF1)
累代 CBF1
割り出し 2/13
2024年3月10日 飼育開始


パリーフタマタクワガタ 飼育記#1

3/10 幼虫飼育開始

Xで相互フォローさせていただいている方から、スマトラオオヒラタの良血ペアとこちらのパリー幼虫(4頭)をご厚意によっていただきました。
(「こんなにええんか…」と今でも思ってしまいますが、本当にありがとうございます)

一般的には「セアカフタマタクワガタ」と呼ばれる事も多い本種。
ダイオウヒラタやアルキデスヒラタなどと一緒にインドネシアからの野外産が年中入荷しているので、大抵のクワガタ好きには馴染みのある虫と存じます。

近頃は「elongatus(エロンガトゥス)」、だの「deyrollei(ディロレイ)」だの様々な亜種が流通していますが、よく目にする安いやつスマトラ島(とマレー半島)に生息している個体群は「paradoxus(パラドクサ)」という亜種だそうです。
なお原名亜種はインド北東部辺りに生息の模様。多分国内には流通してないと思います。現地での採集ポイントより低い標高に生息しているのが原因のひとつと考えられているようです。ボルネオのエロンガトゥスも同じ理由で集まりにくいのだとか。

なおポピュラーな種の割に飼育には少々クセありな模様。
特に大型個体の作出は難しいようで、野外最大が96,1mm(♀52.0mm)に対して飼育レコードは92.1mm(♀は55.8mm)。メスこそ野外産を超えていますが、オスは4mmの差があります。この「4mm」が果てしなく遠いんやろうなって…

まだフタマタで1サイクル回した事すら無いので自信はありませんが、種親のサイズ的にも良い血筋の子をいただいたと思いますし、できる限り大型化を狙っていきたい所存。

届いた個体は小さなカップに入っていたため、220のカップに元のマットと一緒に移し替え。本当はもう1サイズ大きいカップが理想でしたが、キヨタミが産みすぎて手持ちを切らしていたためやむなし。


4/13 ボトルに移し替え

マットの乾燥がかなり進んでいたので交換。忙しくて交換が少し遅れてしまい、出だしとしては少しミスった感じが否めません。

空間を確保するために中のマットを掘り返しまくるので、その影響で乾燥が早まったと思われます。最初からある程度容量のある容器で管理した方がよさそう。

体重は1~3g。1gは恐らくメス。

広い空間を確保してからそこでマットを食べる習性があるように感じたので、とりあえず雌雄問わず全員1500ccのボトルへ。

マットはDOS生オガ…に少し余っていたDDAの古いマットを混ぜました。
ちなみに混ぜたDDAのマットはモンスターとモンスターproが半々ずつ。
DOS1袋(10ℓ)に対してDDAのマットが2.5ℓほどですが、面倒なのでまとめる際にはDOS生オガとだけ表記します。

早い段階から生オガをしっかり食べられているので食性はかなり強いと思います。成長も同じフタマタのキヨタミより早い印象。もしかしたらキヨタミが初動でヘグっただけかもしれませんが…

低温は必要無いと思われるので、とりあえず極端な高温にだけ注意して管理。


7/14 ボトル交換

きっかり3か月でしたが、マットのかさがかなり減っているのが見えました。同じフタマタのキヨタミと比較するとかなりの大喰らい。
しかし大型を狙うならここで30gは余裕で超えていないと恐らく厳しい。最初のボトル投入までの過程や妥協した餌になってしまったのが悔やまれる。
ちなみにメスは13g。

オスは3200cc、メスは800ccへ。

セアカの幼虫はこのような感じで坑道を掘ります。体躯の大きいオスの幼虫はより広い坑道を掘るため、スペースがかなり必要になります。セアカの幼虫飼育に大きな容器を求められる理由がこれでしょうね。なんかツヤクワみたいですよね。まあツヤクワエアプなんですが。

最後のボトルも1500だとオスには手狭だと思います。最低でも2300は欲しいかな。理想は3200以上。
メスは800でもなんとかなりそうですが、できれば1500といったところでしょうか。


羽化個体紹介

♂71mm
2/13 割り出し
3/10 モンスターマット(pro50%) 220cc
4/13 DOS生オガ 1500cc
7/14 DOS生オガ 3200cc 27g
11月上旬羽化
撮影の時にじっとしてくれるいい子です。
♂78mm
2/13 割り出し
3/10 モンスターマット(pro50%) 220cc
4/13 DOS生オガ 1500cc
7/14 DOS生オガ 3200cc 28g
R7年 1月上旬羽化確認
なんか上翅の「セアカ」部分がやけに小さいような…個体差の範疇ですかね?
左43mm 右44mm
2/13 割り出し
3/10 モンスターマット(pro50%) 220cc
4/13 DOS生オガ 1500cc
7/14 DOS生オガ 800cc 13g
9/28 羽化確認
(2頭共通)

しかしそれにしても「セアカ」なオスに比べるとメスは地味ですね。
それ故にネシア便のフタマタは同定ミスが度々起こるそうで、スマトラ産のマンディやリノケのペアを買ったらメスがパリーだった…ということもあるのだとか。判別方法自体はあるようなのですが、業者レベルで間違える物なのでよっぽど普段からフタマタを見まくっている人じゃないと難しそう…
ただ、自然界でも交雑が起こっているようなので、それぐらい近い種でもあるということなんでしょうね。数万年も経てば交雑種が新しい種として確立されたりしてるのかな?


総括

サイズは物足りませんが、全頭無事に羽化したのは何より。
マット選びや繋ぎ方にその場しのぎ的な面が結構あったので、ここをちょっと改善するだけで80mmはとりあえず乗るんじゃないかと思います。サイズを伸ばすならもうちょい幼虫期間を引っ張りたいところですね。
温度は分かりませんが、冷やし虫家のスペースが限られているため、現状シビアな温度管理を行うのは難しそう。札束で殴れるタイプのブリーダーになりたい。可能なら18~22℃の間でしょうか?

ガツガツマットを食べているのが分かるので、見ていて気持ちの良い虫です。
幼虫を送っていただいた方から「菌糸が良いかも」という旨の話を聞きましたので、次世代では菌糸も試せたらいいなと思います。

産卵はやっていないので分かりませんが、恐らくキヨタミと同じ感覚でいいのかなと思います。

キヨタミは接地している箇所によく産み、そこから幼虫がマットに食い入る様子が見受けられました。なので材は転がしよりも半埋めぐらいでいいのかもしれません。あとマットも幼虫が食べる事を意識した物を用意すると良さそう。卵の状態で回収する予定なら今の話は無視してください。

羽化ズレはどうしても起こりますが、どうも大陸のフタマタに比べると寿命は長いらしいのでそこまで焦らなくてもいいのかな?何なら野外産は年中安価で流通しているので、オスはそこで探すという手もあります。

いやこのサイズでもめちゃくちゃかっこいいやんけ…
結果は振るいませんでしたが、育てていて楽しい虫なのは間違いないです。
サイズを狙うのに難がある虫なのでやりがいもありますね。レコードクラスは厳しいにしても、80後半ぐらい出してちょっとドヤりたい。
入手に関しては非常に容易ですので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?

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