1回で治っても2回診せてください
病院通いの最終局面は、だいたい「なあなあ」で終わります。
たとえば風邪をひいて、治ったら行かなくなる…
私も、それが当たり前だと思ってきました。
でも最近、それはケースバイケースだなと思っています。
シビレ…どっちかというと、病院とかでもなかなか治らないと言われていますが、鍼灸ではちょいちょい1回の治療でとれるんです。
10年物のシビレでも、とれるときは、1回でってことが、まあまあ、ある。
これって本当にとれたんでしょうか?
ホンマの話なのか漫画で読んでことなので知りませんけど、
石に「目」というのがあるそうです。
その目をうまく叩くと、でっかい石がきれいに割れるというものです。
鍼でシビレがとれたって、ちょうどその石の目に当てられたようなものです。
でも、石って一個じゃない。
たまたま神経という「木の根」っこを抑え込んでた石ころは一つだったかもしれないけど、その周辺には、
台風の、鉄砲水の後みたいに、瓦礫、岩の山が、今にも崩壊しそうな不安定な状態で、存在しているかもしれない。
逆に、一つの石を砕いてしまったために、他の岩が音を立てて崩れて来ないとも限らない。
これ、怖いですよ…?
石、とらなかった方がいいかもしれないんですから。
だから、ただ邪魔だからと石を取り除くんじゃなくて、石を取り除いたら、周辺も二次災害、三次災害が起きないように、整備した方がいいのです。
鍼って、言ってしまえば、ちっぽけなスコップみたなものです。
たまたま石の目は砕けたかもしれませんが、小さいスコップだということは変わらない。
それに対して人体は富士山。
部分的に、ちょちょっと鍼刺してみただけでは、全体像がどうなってるか分からないんですね。
経営学者、ドラッカーの『マネジメント』には、「知りながら害をなすな」という標語が書かれています。
プロは、問題を解決したら、それでOKなわけじゃない。
解決したなら解決したで、リスクがある場合は、それをクライアントに伝えなくてはならない。
「クライアント」という言葉も奥が深くて、これは、「私の庇護下にある人」という意味だそうです。
私は、患者さんではなく、相手をクライアントとして接したい。
目の前にある問題が消えてなくなれば、それでいい…と考えるのは素人考えです。
カンタンな疾患なら、たとえばホンマにただの風邪くらいなら、一回で終了しても心配しないんですが、シビレ…何年物のシビレとかになるとね、周辺の状態まで把握したいわけです。
まず、プロの治療家として、シビレをとることを第一優先とはしますが、それだけじゃなく、治った後のことまで考えて、一連の治療です。
医者が、「もう一回、診せてください」といったら、それはちゃんと聞いてください。
お金儲けのために、検査しまくったり、治療を長引かせたいわけではないです。
むしろ儲け主義でいうんだったら、面倒で手のかかることはしたくないくらいです。
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