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認知症を受け入れるということ。

大切な人が「認知症、入ってきてるなー」と感じたとき、家族はどうしたらいいのでしょうか?

いきなり施設に入れるというのは、乱暴すぎる…さりとて、このまま放っておいていいものか?

そんな風に悩まれているかたが、この記事を読んでいるかもしれません。


最近伯母、母の姉と、母が大喧嘩をしました。
伯母は84歳。母は12歳年下の72歳です。

わたしの母は数年前、髄膜炎から、高次脳機能障害を発症し、文字をまっすぐ書いたり、自動車をまっすぐ走らせたりが、苦手になっています。


もともと二人ともカッとしやすい性格ですが、感情を抑えるのが苦手なので、つい大喧嘩になってしまったのでしょう。

「こんな大喧嘩したのは初めてだった」と言っていました。
70代、80代になって、人生はじめての、激しい姉妹喧嘩です。


掃除ができなくなったから?

伯母は、めちゃくちゃきれい好きな人だったのですが、ここ数年お掃除が苦手になっていて、母が先日家を訪ねてみると、キッチンの流しがめちゃくちゃになっていたそうです。

伯母のように、急に掃除ができなくなった場合、認知症の可能性が濃厚です。

母は認めたくないようですが、物忘れをするとかが、認知症の初期症状とは限りません。


施設入所のタイミングは?

伯母は、前々から多少弱ってきてはいましたが、気の強い性格でもあり、施設に入ることや、妹を頼ることを、潔しとはしない姿勢です。

「本人の意思に逆らって、無理やり施設に入れていいもんだろうか?」と母は悩んでいます。

自分がそうされたら嫌だと思うことを、姉に強いるのは辛いのです。

本人が、施設に入りたくないと思って頑張っているのに、施設に入れてしまっていいのでしょうか?

そもそも、そんなことができるのでしょうか?


火事、徘徊、取り返しのつかないこと

認知症の結果、人に迷惑をかけることになることだけは、嫌だし、困ります。もし、そんな可能性があれば、施設入所が嫌でも仕方ないところでしょう。

ただ、実際、火の不始末から火事を起こす…など、何かあってからでは遅いです。

また、徘徊で、ケガをしたり、最悪死んでしまったり、行方不明になってしまたり。そんなことになっても、手遅れです。

認知症のご本人に、ご自身の状態を把握する力があるでしょうか?

それがあったら、認知症とは言いませんよね。

身近な人が、観察し、かわりに判断して差し上げる他ありません。

火事や、徘徊(からのケガや行方不明)など、取り返しのつかないことが、「起こるまで待っている」ことはできないのです。


「どの段階」で施設入所を検討するか?

□ 年齢相応に物忘れする
□ 時間通り行動できなくなる
□ 身支度などに手間取る
□ 掃除ができなくなる
□ 手順が必要なこと(料理など)ができなくなる
□ 感情の抑制がきかなくなる
□ お風呂に入らないなど、不潔になる

こういったことが認知症のバロメータに当たるのですが、このうち、どれかに当てはまったとしても、すべてに当てはまってはいないかもしれませんし、どれかは当てはまって、どれかは当てはまっていないかもしれません。

一体どれくらいの状態になったら、施設に入ってもらうべきなのでしょうか?


いきなり施設入所を考える必要はない

火事を起こしかける、徘徊が始まった、となった場合、施設入所を考える段階に来ていると思います。

ですが、素人である私たちが、いきなりそんな重大な判断をしなくてもいいのです。

まず、病院に連れて行って、認知症なのかどうか診断をしてもらうことです。

(1)病院で認知症を診断してもらう

「本人の気持ちを傷つけるかもしれない」と、「早とちり」が怖いかもしれません。

ご本人の気持ちを悪戯に傷つけるだけの結果になったらと思うと、病院に連れていくことを負担に感じられる方は多いと思います。

ですが、認知症は、早く診断が下ることで、進行を遅らせられる場合もあります。

「確認するために」「最悪、そうであったとしても、私たちの関係は、何も変わらない」「早期治療は、認知症にも有効」「施設に入れたいと思っているわけではない」

そう言ったことをお伝えすることが必要だと思います。

ご本人としては、「それでも認知症だと思われたことで不愉快」だと感じるかもしれません。

いえ、感じるでしょう。

また、「診断が下る」ことに、自分が自分でなくなる「強い恐れ」を感じて、パニックを起こす可能性だって、たしかにあります。


自分の事は自分で

ですが、「馬を水辺に連れていくことはできるが、馬に水を飲ませることはできない」といいます。

お気持ちを、本人以外がコントロールすることができません。

「確認するために」「最悪、そうであったとしても、私たちの関係は、何も変わらない」「早期治療は、認知症にも有効」「施設に入れたいと思っているわけではない」

そうお伝えしていく以外に、認知症のご本人を守る手段があれば、他の手段をとるのが良いと思います。


「自分のことは自分で」というのが自立であり、その自立を奪われる病気が認知症です。

認知症の進行を少しでも遅らせるには、認知症の治療を受ける必要があります。

自由には、「自分のことを自分で決める」ということが含まれています。

判断力があるうちに、ご本人にご本人のことを決めていただけるよう、最後のときまで、判断力を維持できるように、という心構えが、家族には必要なのではないでしょうか。


その時が来て、焦って行動すると、碌なことにならない気がして。

あと、わたしの場合、伯父(伯母の夫)が、認知症の発見が遅く、徘徊で行方不明(発見できました)になったことがあり、

「あらかじめ」認知症になった場合を、考えておく必要を、痛感しております。



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