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貧困小規模農家の本質的な課題解決に向けて
ケニアで8−9年かけて小さな事業モデル(生産〜加工〜流通の一気通貫型)を作った一方、このモデルを他の地域に展開するには、まだまだ課題が多く厳しく、新しいやり方を模索している。
(このウェブサイトでご覧になっていただければ)
味噌製品は、年間1万個以上の売上と上昇を続けるばかりか、EコマーススタートアップのGreenspoon.co.ke では、アルファジリのピーナッツバターが最も売れてるピーナッツバターとして看板商品の一つになっている。キムチも「ケニア人の口に合う」として、一度に10kg単位で注文してくださる法人企業様も出てくるようになった。
それでも、、、、本質的な課題の解決にはとてもじゃないけどたどり着いていない。というか私自身が苦しくて死にそうだ….
インパクト創出への課題
1. 出口がアフリカ国内である限り、生産者(貧困小規模農家)への還元に限界がある。= 色々やったけど、基本外貨稼げないとインパクトが出せない。中東・欧州狙いの輸出が必要
2. 輸出 x 貧困小規模農家 だと、多くの場合品種から改善が必要
- 輸出できるもの x 貧困小規模農家 で成功してる企業を見ると、「栽培」というより「自生」しているもの、多くは樹木系の作物を上手に買い集め、加工もしくは選別を経て輸出されているものが多い。(例:マンゴー、カシューナッツ、マカダミアナッツ、アボカド、モリンガなど)おそらくこれは、小規模農家の管理コストが低いことによるものだろうと考えられる。
- ケニアやタンザニアでいうと、アボカドやマンゴーはナッツやココナッツに次いで、大量に自生しており、生育環境が適していることが証明されている。一方で、アボカドやマンゴーの「品種」が輸出に適さないことが課題になっている
今考えてる解決方法
売上の一部を貧困農村の農業費用に充てるようなビジネスモデルを実践することで、徐々に小規模農家も輸出市場や優良加工品の製造サプライチェーンに参入できるようにする、ということ。
なぜこの解決案に至ったかというと….別モデルを試しまくり、事業の持続性に限界がありすぎたからである。。。
別モデルとは、例えば
- 今実践している、小規模農家の生産〜加工までの一気通貫モデルだと、上記で書いたように、品種が安定しない→国内流通させるか、品種を統一しなくても高品質に加工できるものに絞る→安定生産しにくい→輸出厳しい(認証・生産量)となり、可能性が瞬く間に小さくなる(涙)
- 貧困小規模農家の農業へのマイクロファイナンスは極めて成功が難しい。(天災・獣害などのリスクが高い。経験談。自生する樹木系にしたらしたで、作物の栽培期間が長め。モリンガは8ヶ月と早めだが)そのため、苗など一部の資金を補助して、一部は農家や農家グループの一括払いで続けた方が、成り立ちやすい。
- 小規模農家をメインに巻き込む場合、一気通貫で輸出の規模感まで担うのは、経済合理性が出にくくなる。輸出企業は自社農園や中〜大規模農家を囲い込んでいるため、一度に安定した価格で安定品質を大量に買い込む。こういった大企業と価格で戦うと、結果的に小規模農家まで出向いて買い取るのは合理的ではなくなる、というとてつもないジレンマがはびこっている。「流通構造を変える」という意味で最終的に目指したい姿だが、初めからやっちゃうのはとても厳しい
ということで、
売上の一部を貧困農村の農業費用に充てるようなビジネスモデルというのが何なのかは、今アイディエーションのところからやっているが、同様のモデルでの成功例というのは以下のような企業がある(Chat GPTつかったまとめ)
1. TOMS (トムズ)の「One for One」モデル TOMSは靴を1足購入すると、貧しい国の子供に1足寄付する「One for One」モデルで知られています。靴以外にも、メガネや飲料水の提供にも拡大しています。これを農業に応用し、売上の一部を貧困地域の農業資材の提供に充てることも可能です。
2. Patagonia(パタゴニア)の1% for the Planet Patagoniaは、売上の1%を環境保護団体に寄付するプログラム「1% for the Planet」を行っています。このモデルを農村支援に応用し、売上の一部を農業支援プロジェクトに割り当てることで、持続可能な農業の発展をサポートすることができます。
3. Divine Chocolateのフェアトレードモデル Divine Chocolateはガーナのカカオ生産者が株主として参加している企業で、フェアトレード認証を受けています。利益の一部が農民に還元され、彼らの生活向上や農業技術の向上に使われています。このように、農民が直接ビジネスに関わり、利益の一部が再投資されるモデルも、農業支援に有効です。
4. Ten Treeの植樹プログラム Ten Treeは、商品を1つ購入するごとに10本の木を植えるビジネスモデルを採用しています。これは環境保護と雇用創出に寄与しています。農業費用をサポートするためには、購入ごとに一定額を農村地域の種子や肥料、技術訓練に充てるモデルにすることが考えられます。
5. 農業支援クラウドファンディング クラウドファンディングプラットフォームを使って、商品やサービスの売上の一部を農業支援プロジェクトに直接寄付するモデルもあります。たとえば、MoringaConnectという企業は、モリンガ製品の売上の一部を使って、現地の農民に技術支援や資金提供を行っています。
6. Grameen Danoneの社会的ビジネスモデル Grameen Danoneは、ヨーグルトの販売によって得た利益の一部を貧困層の栄養改善や現地の農家支援に充てるビジネスモデルです。農村の農家と連携し、原材料を供給する農家に利益を還元しています。
どの企業も、自社商品の原料生産者に対してや、自社事業に関連性のある形で、売上の一部を還元している。
今のところ、私達の場合、一回貧困農村の作ったものを直接加工・輸出するというアイデアから離れて、安定した買い取り先の原料を利用して加工するか、優良商品の輸入販売をするところから始めて、その売上一部を根本的な課題である「品種改良」などに投じるのが良いのではないかと考えている。
私達はすでに、品種改良や植樹を実践するにふさわしいコミュニティを持っているので、だからこそ、今このモデルを現実的な事業にすることが有意義ではないか、インパクト創出につながるのではと考えている。