見出し画像

第16回「投資への曙光となるか!?新NISA制度へ向けた投資戦略」

 このシリーズは、南山堂さんの月刊誌『薬局』にて2019年4月号から2020年8月号にかけて連載していただいた「薬剤師にもできる!将来幸せに働くための投資講座」をベースに、読者の範囲をもう少し広げて、データや戦略を更新し、大人の事情でカットされた部分を追加して書き直す連載企画です。2022年度からは隔月の連載とし、引き続き初心者向けの注意や解説、時事的な相場観、運用状況の報告などを続けていきます。
 なお、本記事の中では特定の金融商品や銘柄、投資手法を紹介することがありますが、投資判断はご自身でお願いいたします。よって失敗しても責任は取れませんが、知らせてくれたら一緒に悲しむぐらいはします(^^;)

 この記事をご覧になる方なら、NISAという制度についてはある程度ご存知の方が多いかと思います。要するに、「貯蓄から投資へ」というスローガンの下、政府が一般庶民にとって投資をするのに有利となる制度を作ったのですが、それがNISA(Nippon Individual Savings Account:直訳すれば「日本個人貯蓄講座」)なのです。
 元々は、英国のISA(Individual Savings Account)という、個人が投資をする際に一定の金額を上限にしてそこから得られる配当金や譲渡益などの利益を非課税にするという優遇システムです。
 日本に住んで金融商品に対して投資した場合、利息や配当、さらに売買に伴う利益には合計約20%の所得税・住民税がかかることになっています。実は、このような課税は長期投資をする上ではかなり不利になります。なぜなら、投資先から得られた配当をさらに投資に回せば投資は複利の効果を得てどんどん利益を生み出すことを加速していくはずが、配当に毎度2割も税金として取られると、複利の効果はその分減ってしまうからです。

 つまり、NISAという制度は、資本を投資して配当を得るといういわゆるブルジョワジーのスキームを、一般庶民において無税で行わせることで推奨するものです。今や投資するのに元手は必要なく、ネット系の証券会社で口座を作ればTポイントとかで投資ができますし、最低額も100円とかなので、

「お金がないので投資できない」
 というのはまったく情弱なクソ恥ずかしい言い訳でしかないわけです。

 実際、これまでに推奨したように米国株か世界株の投資信託で積み立て投資してる人で、今含み損抱えてる人って誰かいます?
 今年始めたばかりの人を除いてほとんどいないと思うんですけど。
 つまりそれだけ積立投資というのは、事前に思うよりもかなりパワフルな資産運用になるわけです。これを我々一般庶民がやらない手はないですし、それをNISAという制度で後押ししてくれるわけですから、なおさらやらない手はないし、乗り遅れてはもったいないわけです。

 ということで今回は、先日発表されて2024年からリニューアルされるNISA制度を先取りして、今からどのような投資をしたら良いか、最も妥当と思われる考えを述べていこうと思います。
 ただし、新NISA制度についてはあくまで報道による概要を根拠にしており、法的に正式決定したわけではないので、細部については今後異なることになる可能性があることにはご注意下さい。

新NISA制度の概要とそれから考えられる投資戦略

 まず、これまでのNISAについて表で簡単に解説します。

ここから先は

7,681字 / 4画像

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?