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投資講座第10回「外貨投資の落とし穴と正しい使い方」

 このシリーズは、南山堂さんの月刊誌『薬局』にて2019年4月号から2020年8月号にかけて連載していただいた「薬剤師にもできる!将来幸せに働くための投資講座」をベースに、読者の範囲をもう少し広げて、データや戦略を更新し、大人の事情でカットされた部分を追加して書き直す連載企画です。相補的な部分もありますので両方読んでいただけるとなお良いですが、難しければこちらだけでも大丈夫なように書いています。
 なお、本記事の中では特定の金融商品や銘柄、投資手法を紹介することがありますが、投資判断はご自身でお願いいたします。よって失敗しても責任は取れませんが、知らせてくれたら一緒に悲しむぐらいはします(^^;)

 ここまで、具体的な投資対象としては、投資信託と株式、そして不動産を紹介したわけですが、だいたいこのような話をしたところでよく聞かれるのが「FX(外国為替)はどうなの?」とか、「外貨預金ってお得なの?」とかいったことです。

 まあ、海外への投資も投資信託を使うのが一番簡単で一番オススメなんですけど、ね……(苦笑)

 だって、ここまで何度か触れたように、現代では、投資に対するハードルはかつてとは比べ物にならないほど低くなっています。投資信託を使えば元手は100円から、あるいは楽天ポイントやTポイントでも投資できますし、スマホで手続きや取引を完了することもできます。それに今や多くの投資信託が様々な国の債券、株式、不動産証券(REIT)など多種多様な金融商品を扱っています。現代では我々庶民が手を出せるレベルの金額でも自由に外国への投資を行うことができますので、ここまでの連載を読んでもらってきちんとメリットとデメリットを理解した上で、積極的に活用したらそれで十分だと思います。

 そうはいっても、それで終わらせたらつまんないでしょうし、去年は米国株がブームだったという話も聞きましたが、その際は日本の円から米国のドルへの交換をしないと米国株は直接購入できないですから、まあそのような、もうちょっと踏み込んだ海外への投資をしたいとか、外国為替の仕組みをもうちょっと知った上で今後の投資方針に役立てたいとか考えてる人には役に立つ話ができるかもしれません。

 あと、
「FXでデイトレードして短期間にひと儲けしたい!」とか、
「高金利通貨の買い持ちで不労所得!」とか鼻息荒い人には極意を伝授しますので、ぜひ読んでほしいかなw

 ということで、今回は、外貨を使った海外への投資について簡単にまとめてみようと思います。 

海外へ投資することの魅力とリスク

 さて、外貨建て投資のメリットのうち、最大のものはやはり日本の円以外の資産を持つということです。
 日本に生まれて日本で生活していれば全く意識することがありませんが、そもそも世界で行われている国際的な取引はほとんどドル(米国のドル。以下、米ドル)で行われています。つまり、世界中の資産や投資は米ドルを物差しにして評価されていることを意識しておく必要があります。それゆえに、日本に住んでいて日本円の資産ばかり持っていても、その資産価値は、世界を俯瞰した視点から評価すると、米ドルとの為替相場で上下することになります。

 このことは、日本円でしか資産を持っていない場合、日本という国の信用力や経済力と一蓮托生な資産運用しかできないということを意味します。言い方を変えれば、例えば米ドルで資産を持てばそれは普遍的な価値の資産を持つことを意味しますし(アメリカが世界経済の中心であり続ける限りではありますが)、ユーロ圏など他のメジャーな経済地域への投資も組み合わせると、よりリスクが分散できて安心かもしれません。そのようにしておくと、もし日本の円の価値が将来的に下がっても(いわゆる円安になっても)、自分の資産価値は外貨に分散した分だけ守れるということになります。

 それ以外にも、海外の株式や上場投資信託(ETF)は外貨で購入することができます。特に米国の株式やETFは日本国内と同様に情報は豊富だし、国内株のような「単元制度」が無いので最低購入金額はとても安いし、手数料もかなり安くなったので外貨建投資を頑張るなら外せないでしょうね。他にも、最近は多くの証券会社が中国やブラジル、インドにベトナムなど新興国も含めた幅広い国に直接投資できる環境を用意しています。それを利用して、かつての日本の高度成長期を今まさに突っ走っている新興国の成長を自分の資産として取り込むこともできるというのも外貨建て投資のメリットです。

 一方でリスクもあります。

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