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第14回「年代別、こんな投資ポートフォリオがいいんじゃない?」

投資ポートフォリオとは

 ここまで何回にも分けて、投資信託から始まり、株式投資、不動産投資、その他外貨や保険、特殊な預金など、様々な投資について解説してきました。今回はそれらをどう組み合わせて投資を行っていくかについて、例えば多くの人が気にしている老後に備えた資産運用という目的のためだとしたら各年代でどのようなものに集中・分散して投資しておけばよいのか、具体的な戦略の話をしたいと思います。
 どの資産を組み合わせて投資を行うか、その組み合わせを投資ポートフォリオと呼びます。これは投資信託のところで解説した「リスク分散」とは少し意味合いが異なります。

 例えば、とある企業1社の株だけで資産を運用するとします。すると、自分の資産はその会社の浮沈と運命を共にすることになります。第5回と第6回の株式投資の話で紹介したスクリーニング方法を使えば、当分の間は倒産しそうにない銘柄を探し出すことができますが……

 それでも投資の世界に絶対はありませんし、20年後、30年後、となるとさすがにもう予測不可能です。そこで、保有する株式の銘柄数を2社、3社……と増やしていけば予想外の出来事で資産が全部吹っ飛んで消える可能性を減らすことができ、究極にはその国中、さらには世界中の株式に分散投資する投資信託を使えば、さらに資産が消滅する可能性を減らすことができます。これが「リスク分散」の考え方です。

 一方、そのように世界の株式に投資する投資信託で資産運用するとしたら……

 その値動きはその時その時の世界情勢や景気の変動に敏感に反応するため、非常に大きく上がり下がりして、そのたびに一喜一憂……精神的にも振り回されてしまいますよね。しかし、国債・公債や社債などの債券に投資して運用するタイプの投資信託であれば、比較的値動きが安定している上に、景気の変動に対しては株式と異なる動きをします。なぜなら、債券は発行体が万全である限りは元本が保証されますので、景気が悪い時はリスクの高い資産である株式を売ってリスクの低い資産である債券(国債など)を買う人が増え、景気が良くなるとそのような債券を売って株式を買うという動きが生じ、それによって債券の価格が変動するからです(元本と利子が確定している債券の価格が変動するというのも変な話に思えるかもしれませんが、ごく簡単に説明すると、債券にも株式同様に売買される市場があり、利子の高い債券に人気が集中したり発行体が危なくなった債券が売られたりすることで、日々債券の価格と実質の利回りは変動しているわけです)。

 ということは、例えば株式と債券という値動きが異なるものを組み合わせた資産で運用すれば、好景気でも不景気でも資産の上下のブレを少なくすることができるというのが投資ポートフォリオを組む基本的な考え方です。

意外と大事なリバランスの考え方

 架空のケースですが、資産を「ポートフォリオ」で運用する意義を図1に示してみます。株式で運用する投資信託と、債券で運用する投資信託の値動きは全く異なりますが、これらを1年目に同じ金額(1:1)で買い付けて運用したのが「株式+債券」のグラフになります。グラフの上下がずいぶんなだらかになったのがお分かりでしょうか?

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