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《夫の話》バレンタインの最適解

バレンタインって大人の皆さん、特に既婚者の皆さん、どうお過ごしなんだろう。

私と夫はというと、結婚して数年はいわゆるバレンタインらしいプレゼントをしていた。
確か最初の何年かは夫から「バレンタインだよ!」と前々から何度も言われ、さらに「手作りがいい」と言われていたので何かしら作っていた。「枕元に置いといてほしい」と、なにかと混同したことも言われ、その通り枕元に置いた年もあった。
今ならわかる。別に夫は手作りスイーツは好きではない。むしろ、わかりやすい味の既製品が好きだと思う。なぜそんなにバレンタインを欲しがり、手作りを欲しがったかを推測すると、「手作りバレンタインっていいなと思ってた」からだと思う。手作りバレンタインをもらった経験は少なからずあったと思うので、憧れの意味ではない。単に「手作りという愛情」に、良さを感じていたんだろう。バレンタインをもらうこと、できれば手作りであることに意味があり、味や出来栄えには無関心だってこと、当時は知らなかったけど今ならわかる。
枕元に置いといては未だに意味不明。

バレンタインに限らず何度か手作りを一緒に食べてきて、もうやめた。
私は作るのは好きなのだが、普通の食事と変わらぬテンションで食べ始め、大して味わうこともなく感想も「おいしい」しか言わない、手作りしたことへの興味も持たれず、労力を想像もしないでサッサと食べられると、虚無感を感じる。
いや、食べ方なんて自由なのよ。そんなのは心の奥では言い聞かせてきた。でも作り甲斐は無い。

では既製品で、と思い、綺麗なチョコレートを渡したことも何度かある。
ばくばくぽいぽい、フレーバーの違いも確認せず、美しいデコレーションもよく見ずに食べ切るので、あほらしくてやめた。
「えっ、それ、今日12粒ぜんぶ食べ切るの?!」とか「今何の味食べたかわかってる?」とか余計なこと言って変な空気になったりした。

いや、ねえ、食べ方なんて自由なのよ。そんなのは心の奥で言い聞かせてきた。
でもよ、食べることが大好きで、作り手に感情移入するタイプの私には、見るに堪えないのよ。この人に美しいチョコレートを渡すのは、金銭的な意味でも精神的な意味でも、価値無いなと思った。


バレンタインはスルーすれば良いかとも考えた。でも今や「もうすぐバレンタインだよ!」なんて言わない夫だけど、もらえて当たり前と思っているのだろうし、喜ぶには喜ぶし。
これまで続いてきたものが無くなるのは不穏に感じるだろうし、私自身も居心地が悪いだろうなと、悩んだ。

あれこれ考え、去年は「バレンタイン格付けチェック」を開催した。
5〜6種類の板チョコを買ってきて、目隠しで食べ比べし、どれがどのチョコか当ててもらうのだ。どこのスーパーにもある定番チョコから、海外輸入品のお店で買ったものまで。板チョコとはいえ色んなものがあるのだなと私も揃えるのが楽しかった。

結果、思ったほどは盛り上がらず、「へえ〜」くらいで終わった。もうやめだ味音痴の夫には、コア過ぎたんだ。
ちなみに「自家製格付けチェック」はお肉や豆腐などでもやったことがあり、それは2人でかなり盛り上がった。夫は豚肉と牛肉の違いが分からず、未だにネタにしている。(やばい旦那さん!と思いました??私は正解したけど、ちょっと迷いました。意外と難しいかもしれませんよ。うふふふ)

今年は忙しいし、もうほんとにスルーしようかなと思ったのだが、青天の霹靂、最適解が見つかった。
夫が好きな、普通のお菓子を各ジャンル良いバランスで買い揃え、紙袋に詰めてリボンをつけて渡したのみである。
そもそもは夫の大好物・ポッキーを渡して済ませようと思ったことから始まった。(「済ませよう」というあたり、荒んでますね)
ポッキー数種類をカゴに入れているうちに、
「高級チョコより断然こちらのほうが嬉しいのでは?」と思った。
ポッキーも好きだが、夫はお菓子が大好きだ。普段から夕飯後に何かしらつまむのが好きみたいだ。お酒に弱いのでその代わりなんだろうか。私にはよくわからない。

普段は遠慮して自分のお小遣いから買っているようなので、ここは盛大に買ってあげようではないか!

・ポッキー数箱
・カントリーマアムのファミリーパック
・ポッキーのようなお菓子
・パンコーナーにあるロールケーキ
・グミ3種(息子も一緒に選んだ)
・名前忘れたけど、金色で丸い、おいしいチョコ
・しょっぱいのも欲しいだろうからポテトチップス

…と、「盛大」というほどでもなかったが、このラインナップは我ながら夫のツボをよく抑えていだと思う。
買ったものにちょっとメッセージを書いたり、息子にシールを貼ってもらったりして、家にあった紙袋に詰めてリボンをかけた。

開封の儀に群がる猫たち


結果、めちゃくちゃ喜んでいた。過去1だった。途中「えっ、まだある」と驚いていたのもよかった。

今までのバレンタインは何だったんだとか全然思わない。バレンタインの最適解が見つかって清らかな気持ちだ。スーパーで済むのも気軽でありがたい。
数年前までは、せっせと手作りしたりとか、フェアとか行ってわくわく選びたい気持ちもあったのだが、そんなものは自分のため又はチョコレート好きな友人や母親のためにやればいいのだよ。

ここまで書いておいて、実際のところ夫がどう思っているかはわからないんだけど、夫は確実に喜ぶし、私は私でノーストレスだ。「相手のリアクションに期待して食べ方に不満を持つ自分に凹む」ということもない。これ以上も以下もないのではないか。ナイスなバレンタインだった。

来年は団子も入れる。

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