療養_8

退院した週は、ステロイドパルスの2クール目を実施、それが終了した後は内服薬による治療が開始された。そして、その次の週にはまた別の治療イベントが控えていた。親知らずの抜歯である。なぜ、急に親知らずの抜歯なのか。入院中に既に説明は受けていたのだが、どうやら今後継続的に飲む薬には、骨を弱くする副作用があるらしく、その副作用の影響を軽減する薬をささらに重ねることにならしい。で、その今書いた薬を飲むことで、簡単に言うと、「抜歯」時にリスクが上がってしまうとのこと。ゆえに、薬の処方が本格的に始まる前に、リスクある歯は抜いてしまうという理屈だ。

まぁ理屈は分かるのだが、入院時にこの説明を受けた時には、有無を言わさず、「右の上下の親知らずを抜きます」という感じだったので、やや面食らった部分がある。過去の療養記に書いたように、検査ラッシュの波にももまれていた最中で、急に歯も抜きますだからね。もう、最早なされるがままの状態だ笑 これ単独であれば結構おおきな決断だと思うのだけれど、あの時は、もう選択肢はなかったので、歯科の担当医からの説明を受けて、その場ですぐに了承した。まぁでも、もともと右下の親知らずは傾いており、その隙間に食べかすが詰まることに難儀していたので、抜いてしまうこと自体は抜歯リスク以外の面でもメリットがあるので拒否するような気持ちは全くなかった。

抜歯は退院翌週の水曜日、事前に痛み止めを飲んでから、施術が開始された。局所麻酔を打った後に、まずは右下の親知らず抜歯から。この歯は前述したように傾いているので、素直に真っすぐ抜くことができず、削りながらの抜歯になるとのこと。機械音を大きく響かせながら、徐々に歯を削り取っていく。途中までは順調に進んでいたのだが、後半になり、進捗が停滞している様子がうかがえた。歯を抜ききる最後の工程が完了できないような雰囲気。ちなみに、施術している担当医は年齢も若めの女性医師だったのだが、何度かトライしてうまくいかないようで、「動かない」的なワードも発している。

その状況を耳で聞きながら、歯科医は腕力も必要なのだなぁ。などと考えているうちに、気付いたら、別の男性医師にヘルプを出していた。そう時間がたたないうちに、ベテランの部類に入るであろう男性医師が私の施術台に到着し、女性医師から状況の説明を受け始める。男性医師は説明を受けたのち、すぐに僕の歯に器具を差し込み、女性医師と比較して明らかに大きな力を歯にかけて抜き始めた。もうね、あごに伝わってくるパワーが全然違うのよ笑 これはすぐに抜けるなと予感したとおり、ものの十数秒で最後の工程はフィニッシュとなった。

やはり歯科医には腕力が必要だ。

いいなと思ったら応援しよう!