「べき思考がパパママを苦しめる」
「子育てとはこうあるべき」「親はこうするべき」といった考え方に縛られていませんか?
私自身、前のnoteに「どうあるべきか?」と書いているように、よく「べき思考」に囚われています。
本屋やネットには子育てのHow-to本や情報が溢れています。これらは確かに参考になりますが、「べき思考」に囚われすぎると、理想と現実のギャップに苦しむことが少なくありません。
たとえば、「子どもに片付けをさせるべき」「食事は栄養を考えて理想的な食事を取らせるべき」といった理想像は多くの家庭で目指されています。しかし、実際には、幼児教育では子どもの「我が強い」性質や親の忍耐が試される場面が多々あります。「まだ遊びたい!」「なんで片付けなきゃいけないの?」と抵抗されることは日常茶飯事です。このとき、「どうして言うことを聞いてくれないんだろう」と親が焦れば焦るほど、状況は悪化してしまうこともあります。
認知行動療法の視点で考える「べき思考」
認知行動療法(CBT)では、ネガティブな感情やストレスを引き起こす思考に「認知の歪み」が含まれていないかを見つめ直します。その中でも「べき思考」は、よく見られる認知の歪みの一種です。
CBTでは「そのべき思考は本当に妥当性があるか?」と問いかけることを推奨します。たとえば、
「子どもを完璧に育てるべきだ」→なぜ完璧でなければならないのか?完璧な親など存在するのか?
「親がしっかりしないと子どもはダメになる」→「しっかり」とは具体的にどの程度のことを指しているのか?
このように、思考を深掘りしていくと、根拠の曖昧さや必要以上の負担感が明らかになることがあります。そして、それらを少しずつ緩めていくことで、親自身が楽になれるのです。
大切になってくるのは「べき思考」に気付くことです。
自然と生活していると、いつの間にか「べき思考」に陥ってしまっているので、まずは
「いかんいかん、べき思考だった」と気付くことが大切です。
気づいてから、自分に問いかけをしてみて、上記のように、本当にこの「べき思考」は妥当なものなのか、という反論を考えていくのです。これを繰り返していくことで、「べき思考」はゆるまってきます。
べき思考からの解放が親子関係を豊かにする
「べき思考」を抱える親の多くが、子どものためを思って頑張っています。それ自体は素晴らしいことです。しかし、その頑張りが「負担感」や「ストレス」として心身に影響を及ぼすとしたら、本末転倒です。
「べき思考」を手放すための3つのポイント
完璧を求めない
認知行動療法でも言われるように、「完璧主義」は心を追い詰める元凶の一つです。育児には「できる日」と「できない日」があって当然。うまくいかない日には「まあ、いいか」と受け流す柔軟性を持ちましょう。
事実に目を向ける
子どもの「できたこと」にフォーカスする習慣をつけると、成長が自然と見えてきます。「片付けできたね!」「ありがとう、助かったよ」といった具体的なフィードバックが、子どもをさらに成長させます。
他者と気持ちを共有する
配偶者やパートナーと家事や育児のタスクを分担することはもちろん、育児のストレスや悩みを共有するだけでも気持ちが軽くなります。話しているうちに、自分の「べき思考」に気がつくことがあります。話してみると意外に大したことではない、と思うことはよくありませんか?
べき思考の「囚われ」から自由へ
「べき思考」を手放すことで、子どもと向き合う時間がより楽しく、心に余裕を持ったものになります。そしてそれは、親子の信頼関係を深める第一歩にもなるでしょう。ある程度の「べき」は健全だと思います。しかし、それが自分を苦しめているのであれば、それは行き過ぎた「べき」ではありませんか?完璧であることを目指すのではなく、お互いを尊重し合う親子関係を築いていきましょう。「べき」に縛られない日々は、きっと軽やかで自由なものです。