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マーケティングトレース 日常編③

「キリンビール」におけるマーケティングトレース

 本noteでは、キリンビールが発売した新ブランド「キリンビール 晴れ風」におけるマーケティングトレースを行う。晴れ風は17年ぶりにキリンビールから発売された新ブランドであり、4月に発売されてから1ヶ月でキリンビールの過去15年間のビール類新商品の中で最大の売上を達成し、その2ヶ月後には300万ケースを突破するなど大ヒットを遂げている。このヒットの裏にはどのようなマーケティング戦略があるのかについて考察する。

「キリンビール」に関するリサーチ

 キリンビール株式会社はキリンホールディングスのグループ会社で、2007年に設立された。テレビCMや新聞広告だけでなく、noteなども含めた様々な媒体で顧客とのコミュニケーションを行っている。主力商品は「キリン一番搾り生ビール」で、2023年にはパッケージや中味もリニューアルしつつ売り上げを拡大した。
 その中で、キリンビールは「晴れ風」を開発。ビールの新定番として晴れ風を位置づけ、発売前から大掛かりなプロモーションを行った。テレビCMや新聞広告には天海祐希さん、内村光良さん、今田美桜さん、目黒蓮さんらを起用した。また、「ビールからの恩返し始めます」というメッセージと共に「晴れ風ACTION」という活動を開始。晴れ風の購入や公式サイトを訪問する事で1日1枚配布される晴れ風コインの寄付によって、桜や花火大会など日本各地の風物詩を守るための支援を行うことが出来るようにしている。

考えられるマーケティング戦略

 このようなプロモーションの狙いとして、2つのものが考えられる。

①晴れ風の周知と期待感の醸成
 晴れ風の発売にあたって、キリンビールは販売前から大規模なプロモーションを行った。発売2週間前からテレビCMやイベントなどを通じて晴れ風の存在を周知していた一方で、敢えて商品名は公表しないままにしていた。これによって晴れ風に対する関心を集めると共に、商品名が公表された時のインパクトをより大きいものにすることが出来たと考えられる。実際、X(旧Twitter)では晴れ風に関する投稿が約280万件にまで上るなど、大きな話題化に成功した。

②ビール離れが進む若い世代を含めた顧客の獲得・囲い込み
 現代において若者のビール離れは進んでおり、Z世代がビールを飲用する割合は他の世代よりも低くなっている。そこで若者に人気のある今田美桜さんと目黒蓮さんをCMに起用する事で、ビール離れが進む若い世代に対して晴れ風という新たなビールの選択肢を提示していたのではないかと考えられる。また、晴れ風ACTIONは顧客の囲い込みにおいて一役買っていたと言える。風物詩に対する寄付の方法は(1)商品の購入と(2)晴れ風コインでの寄付の2通りあるが、商品の購入はもちろんのこと、晴れ風コイン出の寄付においてはサイトへの訪問によって必然的にブランドとの結びつきが強くなるのである。さらに、この活動自体が企業イメージの向上や晴れ風に対するポジティブなイメージの形成にも繋がっており、まさに良い事づくめのプロモーションになっていると言える。

トレースを終えての感想など

 今回は、キリンビールの晴れ風におけるマーケティングトレースを行った。若者の中でビールの飲用割合が減ってきている中で、味ではない所で「晴れ風が良い」と思わせることが出来たという点が晴れ風の大ヒットに大きく影響しているのではないかと感じた。

参考文献

キリンビール 晴れ風|ビール・発泡酒・新ジャンル|キリン (kirin.co.jp)
fJ6s.pdf (irpocket.com)
キリンビール「晴れ風」過去15年で“最大売り上げ” 「相反する味わい」、「Snow Man」目黒蓮、今田美桜らCM…好調の“要因”とは(オトナンサー) - Yahoo!ニュース
ID-POS市場分析 vol.1 「キリンビール 晴れ風」を徹底分析!今後の“ニュースタンダード”になるか? | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング (loyalty.co.jp)
今、Z世代が求める「ビール」とは?【ビール消費に関する実態調査】|ミルコミ│運営マクロミル (note.com)



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